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アップルインターナショナルのニュース
■中長期の成長戦略
(4) いすゞ自動車との資本業務提携
アップルインターナショナル<2788>は2017年4月にいすゞ自動車と資本業務提携を結び、同年5月にいすゞ自動車を割当先として第三者割当増資を行った。
この資本業務提携により、タイ製中古車のASEAN諸国への輸出を加速させる。自動車メーカーにとって、中古車の輸出が拡大すれば、タイ国内の中古車が品薄状況となり中古市場価格が安定する。下取り価格を高めに設定でき、新車販売を促進することになる。同社にとっては、商材を安定的に確保できることになる。
タイが右ハンドル国ということもあり、同国市場を日系メーカーが席巻している。2018年のメーカー/ブランド別販売台数シェアは、トップのトヨタ自動車が30.2%、続くいすゞ自動車が17.1%、3位の本田技研工業(ホンダ<7267>)が12.3%であった。以下、三菱自動車工業(三菱自動車<7211>)が8.1%、日産自動車<7201>が6.9%、マツダ<7261>が6.8%、フォード(米フォード・モーター)が6.3%、スズキ<7269>が2.7%、MGが2.3%、シボレー(米ゼネラルモーターズ)が1.9%、その他が5.4%であった。日系の合計シェアは、84.1%に達した。
2018年のタイにおける自動車販売台数は前年比19.2%増の1,039千台、うち乗用車が15.4%増の399千台、商用車が22.2%増の642千台であった。軽量商用車である1トンピックアップトラックは、20.6%増の511千台と全体の49.2%を占めた。
2018年に、いすゞ自動車のタイにおける1トンピックアップトラックの販売台数は前年比10.9%増の162千台であった。乗用車の販売をしていないため、同車種のいすゞ自動車の総販売台数に占める割合は91.2%と極めて高い。乗用車でトップシェアを持つトヨタ自動車の1トンピックアップトラックへの依存度は56.3%であった。1トンピックアップトラック販売台数では、トップのトヨタ自動車が34.6%のシェアを持ち、次いでいすゞ自動車が31.7%と2大勢力を築いている。
(5) 自動運転のインパクト
自動走行への移行は、車両価格を引き上げる。一方、技術革新のスピードが速く、急激な陳腐化と中古車価格の急落をもたらすおそれがある。従来車は、燃費の改善や自動ブレーキシステムなど安全性の面で進歩が見られたものの、基本的な性能に大きな変化はなかった。今後搭載される自動走行のコストが100万~200万円かかるとすると、車両価格が1.5倍から2倍に跳ね上がる可能性がある。
経済産業省と国土交通省の検討会として2015年2月に設置された「自動走行ビジネス検討会」の報告書(2017年3月)では、自動走行レベルの定義を米SAEに準拠してレベル0から5までに分けている。SAEレベル0は運転自動化なし、レベル1は運転支援、レベル2は部分運転自動化としており、ここまでは運転者が安全運転に関わる監視と対応主体となる。レベル3に進むと条件付運転自動化となり、フォールバック中は運転者が対応するものの、基本はシステムによる運転となる。レベル4は高度運転自動化、そして最高レベルの5では完全運転自動化となり、システムがすべての運転タスクを実施し、予備対応時においても利用者が応答することは期待されない。
一般車両(自家用)による自動走行のスケジュールは、高速道路では2020年までに運転者が安全運転に関わる監視を行い、いつでも運転操作が行えることを前提に、加速や車線変更が可能なレベル2を実現する。2025年までにレベル3の分流・合流を可能とし、走行時負担軽減だけでなく、一部セカンドタスク可とする。2025年以降は、レベル4へと移行する。国道、主な地方道となる主要幹線・幹線道路では、2020年からレベル2のシステムによる白線・標識を認識し、車線を維持した走行、周辺車両を認識し追従、車線変更を可能とする。2025年になると、交通信号を認識し、交差点の直進・右左折が可能となる。または、自動走行を3にレベルアップし、右左折不可とするものの、渋滞時負担軽減と一部セカンドタスク可とする方向も想定している。一方、事業用では、2020年から2025年にかけて一部地域におけるレベル4の移動サービスや無人宅配の実現が見込まれている。
2020年初めから、世界40ヶ国で「AEBS(先進緊急ブレーキシステム)」の新車への搭載が義務化された。自動走行は開発途上の技術であり義務化されていないため、一挙に浸透することにはならない。ただし、自動走行に進むことは不可逆的変化であることから、それを見越して同社はビジネスモデルの変革を進める。日本向けに開発された自動走行システムが海外で機能しない場合、輸出中古車はシステム分の価値がはく落してしまい、価格競争力の維持が難しくなる。中古車輸出事業は、輸出先の経済状況、為替、関税などに関する政策変更などが業績の変動要因となる。それゆえ、中長期かつ多岐な成長戦略としてタイにおけるオートオークション事業、中古車買取販売店舗の展開・FC本部運営、いすゞ自動車などのタイ製LCVの中古車輸出とリスクを軽減しながら、同社グループの強みが生かせ、競争優位性が発揮できる成長分野を伸ばす。また、タイでの成功事例を近隣諸国で展開することも計画している。
■株主還元策
1株当たり配当金は5円を据え置く
2017年12月期に1株当たり5円の配当金で8期ぶりの復配を果たした。連結配当性向は32.5%であった。2018年12月期の配当金は、1株当たり5円を据え置いた。海外子会社の清算にかかる一時的な為替差益が発生したため、配当性向は7.1%に低下した。2019年12月期は、5円配当を維持し、予想配当性向は21.3%となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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(4) いすゞ自動車との資本業務提携
アップルインターナショナル<2788>は2017年4月にいすゞ自動車と資本業務提携を結び、同年5月にいすゞ自動車を割当先として第三者割当増資を行った。
この資本業務提携により、タイ製中古車のASEAN諸国への輸出を加速させる。自動車メーカーにとって、中古車の輸出が拡大すれば、タイ国内の中古車が品薄状況となり中古市場価格が安定する。下取り価格を高めに設定でき、新車販売を促進することになる。同社にとっては、商材を安定的に確保できることになる。
タイが右ハンドル国ということもあり、同国市場を日系メーカーが席巻している。2018年のメーカー/ブランド別販売台数シェアは、トップのトヨタ自動車が30.2%、続くいすゞ自動車が17.1%、3位の本田技研工業(ホンダ<7267>)が12.3%であった。以下、三菱自動車工業(三菱自動車<7211>)が8.1%、日産自動車<7201>が6.9%、マツダ<7261>が6.8%、フォード(米フォード・モーター
2018年のタイにおける自動車販売台数は前年比19.2%増の1,039千台、うち乗用車が15.4%増の399千台、商用車が22.2%増の642千台であった。軽量商用車である1トンピックアップトラックは、20.6%増の511千台と全体の49.2%を占めた。
2018年に、いすゞ自動車のタイにおける1トンピックアップトラックの販売台数は前年比10.9%増の162千台であった。乗用車の販売をしていないため、同車種のいすゞ自動車の総販売台数に占める割合は91.2%と極めて高い。乗用車でトップシェアを持つトヨタ自動車の1トンピックアップトラックへの依存度は56.3%であった。1トンピックアップトラック販売台数では、トップのトヨタ自動車が34.6%のシェアを持ち、次いでいすゞ自動車が31.7%と2大勢力を築いている。
(5) 自動運転のインパクト
自動走行への移行は、車両価格を引き上げる。一方、技術革新のスピードが速く、急激な陳腐化と中古車価格の急落をもたらすおそれがある。従来車は、燃費の改善や自動ブレーキシステムなど安全性の面で進歩が見られたものの、基本的な性能に大きな変化はなかった。今後搭載される自動走行のコストが100万~200万円かかるとすると、車両価格が1.5倍から2倍に跳ね上がる可能性がある。
経済産業省と国土交通省の検討会として2015年2月に設置された「自動走行ビジネス検討会」の報告書(2017年3月)では、自動走行レベルの定義を米SAEに準拠してレベル0から5までに分けている。SAEレベル0は運転自動化なし、レベル1は運転支援、レベル2は部分運転自動化としており、ここまでは運転者が安全運転に関わる監視と対応主体となる。レベル3に進むと条件付運転自動化となり、フォールバック中は運転者が対応するものの、基本はシステムによる運転となる。レベル4は高度運転自動化、そして最高レベルの5では完全運転自動化となり、システムがすべての運転タスクを実施し、予備対応時においても利用者が応答することは期待されない。
一般車両(自家用)による自動走行のスケジュールは、高速道路では2020年までに運転者が安全運転に関わる監視を行い、いつでも運転操作が行えることを前提に、加速や車線変更が可能なレベル2を実現する。2025年までにレベル3の分流・合流を可能とし、走行時負担軽減だけでなく、一部セカンドタスク可とする。2025年以降は、レベル4へと移行する。国道、主な地方道となる主要幹線・幹線道路では、2020年からレベル2のシステムによる白線・標識を認識し、車線を維持した走行、周辺車両を認識し追従、車線変更を可能とする。2025年になると、交通信号を認識し、交差点の直進・右左折が可能となる。または、自動走行を3にレベルアップし、右左折不可とするものの、渋滞時負担軽減と一部セカンドタスク可とする方向も想定している。一方、事業用では、2020年から2025年にかけて一部地域におけるレベル4の移動サービスや無人宅配の実現が見込まれている。
2020年初めから、世界40ヶ国で「AEBS(先進緊急ブレーキシステム)」の新車への搭載が義務化された。自動走行は開発途上の技術であり義務化されていないため、一挙に浸透することにはならない。ただし、自動走行に進むことは不可逆的変化であることから、それを見越して同社はビジネスモデルの変革を進める。日本向けに開発された自動走行システムが海外で機能しない場合、輸出中古車はシステム分の価値がはく落してしまい、価格競争力の維持が難しくなる。中古車輸出事業は、輸出先の経済状況、為替、関税などに関する政策変更などが業績の変動要因となる。それゆえ、中長期かつ多岐な成長戦略としてタイにおけるオートオークション事業、中古車買取販売店舗の展開・FC本部運営、いすゞ自動車などのタイ製LCVの中古車輸出とリスクを軽減しながら、同社グループの強みが生かせ、競争優位性が発揮できる成長分野を伸ばす。また、タイでの成功事例を近隣諸国で展開することも計画している。
■株主還元策
1株当たり配当金は5円を据え置く
2017年12月期に1株当たり5円の配当金で8期ぶりの復配を果たした。連結配当性向は32.5%であった。2018年12月期の配当金は、1株当たり5円を据え置いた。海外子会社の清算にかかる一時的な為替差益が発生したため、配当性向は7.1%に低下した。2019年12月期は、5円配当を維持し、予想配当性向は21.3%となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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