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あらたのニュース
―市場は成長の一途で裾野拡大、コロナ禍のブーム後も参入企業は後を絶たず―
ペット市場は、コロナ禍を受けた一時的なブームからは落ち着きをみせつつあるものの、着実な成長を遂げているのには変わりがない。健康維持を目的とした高付加価値型のフードやペット家電といった新商品が相次いで発売され、愛犬・愛猫と入店できるカフェやレストラン、ホテルも増えている。関連銘柄の直近の決算をみても、好業績を満喫する企業は多く、投資妙味が顕著に強まっている状況だ。
●「子ども」より多い国内飼育頭数
ペットフード協会のまとめによると、2022年の国内での飼育頭数は犬が705万3000頭、猫が883万7000頭、犬猫の合計は1589万頭だった。日本の15歳未満の子ども人口(23年4月1日時点で1435万人)を上回る規模である。犬と猫を合わせた飼育頭数そのものは21年比で横ばいとなったものの、犬の新規飼育頭数は42万6000頭と過去10年で最多。平均寿命は犬、猫ともに10年以降、伸びが続いているという。
商業施設ではペット同伴可能エリアを設置・拡大する動きが相次いでいる。 ホームセンターではペット連れの顧客の姿が目立つようになり、実際に横浜市北部の大型店舗を訪れてみると、1階の入り口の正面には広大なペット用品の売り場が待ち構え、その正面奥にある生体販売コーナーでは、小窓越しの子犬の姿に表情を緩めている客の姿がある。ペット雑貨の販売業者が集う屋外型イベントも全国各地で開催されており、例えば横浜赤レンガ倉庫とその周辺エリアで12月8日から開かれる「BAY WALK MARKET 2023」では、愛犬と一緒に楽しむクリスマスをテーマとして、さまざまな店舗が立ち並ぶ予定だ。
●大リーグ大谷選手の胸元にも…
大リーグ・エンジェルスの大谷翔平選手の胸元で抱えられた犬が、SNS上で大きな話題となったことも記憶に新しい。犬種はコーイケルホンディエとみられ、ペットショップへの問い合わせが急増しているようだが、希少種だけに乱繁殖に警鐘を鳴らす声も広がっている。コロナ禍の巣ごもり需要の拡大で消費の対象となったペットに関しては、飼育放棄の増加が日本だけでなく世界各国で社会問題化している。衝動的な生体購入は厳に慎むべきだ。
半面、ペットとの関わりを通じて精神的な安らぎを得ている人間が数多く存在するのも事実であり、企業側も愛犬・愛猫との時間をより豊かにできる商品やサービスの開発に注力している。パナソニック ホールディングス <6752> [東証P]は、音に敏感なペットに配慮した設計の空間除菌脱臭機を製品化したほか、愛犬家へのマーケティング戦略で定評のあるホンダ <7267> [東証P]は子会社を通じ車室用ペットシートなどの純正アクセサリーを販売。一部、ディーラーではペットとともに来店を可能にするなどサービスの差別化を図っている。万一の事故や病気に備えて飼い主がペット保険に加入するのは今や当たり前のこととなり、シニア向けフードや介護用品の需要も拡大している。
●関連銘柄の最高益予想相次ぐ
こうした潮流は関連企業の業績に大きな浮揚力をもたらしている。ペットフード・用品卸大手のエコートレーディング <7427> [東証S]の24年2月期最終利益は前期比2.1倍の12億1700万円と過去最高となる見通し。高付加価値型商品の拡充や価格改定による商品単価の上昇が寄与し、9月に業績予想を上方修正した。それでもPER(株価収益率)は6倍台と割安感が意識される。
ペット向けヘルスケア製品を手掛けるペットゴー <7140> [東証G]も今期は最高益を計画。採算性の高い自社製品の販売が拡大し、サブスク型の販売も好調に推移している。200日移動平均線を下回る株価水準は押し目買いの好機にも映る。
ペット保険最大手のアニコム ホールディングス <8715> [東証P]の23年4~9月期経常利益は、通期計画に対する進捗率が65%台と順調だ。保険金支払いのための余力を示す「ソルベンシー・マージン比率」の誤算出に伴い、適正と判断する資本水準を超える約40億円を自己株取得に充てると5月に発表。9月まで約10億円分を買い入れた。残りの30億円分の自社株買いが株価にもたらすインパクトに期待が膨らむ。
●エステー・あらた・トランザクなど恩恵享受へ
ペット専業以外でも、ユニ・チャーム <8113> [東証P]はペットケア関連が業績をけん引するドライバーとなっているほか、水産大手のマルハニチロ <1333> [東証P]は中期経営計画のなかで、海外市場でのペットフード事業の強化に取り組む方針を示している。両社はともにペット関連の中核銘柄でもある。
また、エステー <4951> [東証P]は8月、シンガポールに本社を置きアジア各国で動物病院などペット事業を展開するアルダへの出資を発表。ペット分野での事業展開を加速させる構えだ。10月に国内の商品数を3割削減して収益力を強化する方針を示したが、中期的な利益面へのポジティブな影響を想定すれば、足もとの株価水準はエントリーポイントと考えることができる。
今期最高益を計画する日用品卸大手のあらた <2733> [東証P]の23年4~9月期決算では、「ペット・その他」部門の好調ぶりが目を引く。高付加価値型フードの需要増が追い風となる同社は11月に1対2の株式分割と上限60万株の自社株買い、配当予想の実質増額修正などを発表。18年の上場来高値(7830円)を意識した水準修正に期待が膨らむ。
デザイン雑貨のトランザクション <7818> [東証P]は、連結子会社のトレードワークスがペットウェア・関連製品ブランド「Calulu」などを手掛けている。株価は上場来高値近辺で推移していたが、短期的に強まった過熱感は徐々に解消に向かっている。全体相場の調整局面では好業績期待の押し目買いを集める展開も想定される。
特殊粘土鉱物「ベントナイト」最大手のクニミネ工業 <5388> [東証S]は、猫用トイレ砂を製品群に持つ。23年4~9月期の経常利益は為替効果もあって、計画を上振れして着地した。配当利回りは4%台と下値では配当狙いの個人投資家の買いが見込めそうだ。
このほか関連銘柄としては、アース製薬 <4985> [東証P]がノミ・マダニ対策製品やペット向けの消臭剤などを販売。リソルホールディングス <5261> [東証P]が首都圏近郊でペットと泊まれる宿泊施設を展開する。サンフロンティア不動産 <8934> [東証P]はシェアオフィス「A YOTSUYA(エーヨツヤ)」において、ペット同伴で出社可能なオフィス開発のための実証実験を実施した。
保育・学童施設とともにペットシッターサービスを展開するポピンズ <7358> [東証S]、グループ会社でペットフードを販売するカメイ <8037> [東証P]、日本ペット少額短期保険を傘下に持つスカラ <4845> [東証P]も要マーク。DCMホールディングス <3050> [東証P]やコーナン商事 <7516> [東証P]といったホームセンター各社もペット市場の成長が追い風となっており、このうちアークランズ <9842> [東証P]は大型ペット専門店「NICO PET」で攻勢をかけている。はごろもフーズ <2831> [東証S]や日本動物高度医療センター <6039> [東証G]、ペット用滑り止めワックスなどを販売するアサヒペン <4623> [東証S]は、株式の流動性向上に期待したい。
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