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カワチ薬品のニュース
―過剰流動性相場で本領発揮、決算通過で改めて絞り込むここからの上値追い有望株―
相場は常に上下に動いているようで、その大半が「波」の状態。つまりそこに「流れ」は存在しない。水面(みなも)を揺らしていても、実際は移動せずに同じ場所を往来するに過ぎず、真の意味での“動”ではない。しかし、長い目で見れば1年のうちに何度かは潮流が発生する場面に遭遇する。政治経済の枠組みの変化や何らかの社会現象が生じると、これが起爆剤となって一方向に相場の大きな流れが形成されることになる。
●実体経済を映さない株式市場
今年を振り返れば、2月下旬を境に地球規模でかつてない衝撃波をもたらしたのが新型コロナウイルス感染症の拡大であった。これによって世界の株式市場は巨大な渦に飲み込まれるかのような下落に見舞われた。しかしここを起点に(厳密に言えばここから1ヵ月後を起点に)発生したのは、大方の予想を覆す強烈な“上げ潮”だった。それまでの株高をもたらしていた金融相場の余韻が消えないうちに、新型コロナに対応したグローバルな超金融緩和策による過剰流動性相場がスタートした。実体経済面では新型コロナの影響で経済活動がフリーズし、景気や企業業績が極度の落ち込みをみせた。ところが、経済を映す鏡であるはずの株式市場は、3月下旬以降それとは全く別の景色を映し始めた。経済が立ち行かない中での怒涛の戻り相場である。
仮に株式市場が経済に対し半年程度先見性を持っているとしても、ここまでの上昇トレンドの構築は妥当性を欠いている。そう判断するのが“人間の感性”だ。セオリーから大きく外れた上昇相場であるからこそ反動安を見込んだ空売りを誘導し、それを肥やしに踏み上げ相場が繰り返され、気がつけば米国ではナスダック総合指数の史上最高値更新、日本では日経平均のアベノミクス相場の頂点越え(バブル後最高値更新)という現実をもたらした。これはいずれ“コロナバブル”という位置づけで株式市場の歴史に刻まれそうだ。
●再び襲いかかる新型コロナの恐怖
しかし、ここにきて新型コロナが再び牙を剥き、その存在感を大きくしている。今週11日に、世界の新型コロナの1日当たり新規感染者数が66万人を超え過去最多を記録した。特に欧米での感染拡大が加速しており、再び医療システム崩壊の懸念も浮上している。米国では新規感染者数が2日間連続で14万人を超えるという状況で、ワクチン開発への過度な期待感を足もとの現実が吹き飛ばすような形となっている。12日のNYダウは一時500ドル近い下げをみせ、2万9000ドル台を割り込む場面もあった(※本稿執筆は日本時間11月13日)。
12日は欧米の主要中央銀行3行のトップが一堂に会して討論が行われたが、パウエルFRB議長、ラガルドECB総裁、イングランド銀ベイリー総裁いずれも新型コロナへの警戒感をあらわにし、金融緩和策の継続で一致するとともに、財政政策の必要性についても論議された。これによって危機感は共有された。
では、日本国内はどうか。欧米と比べて感染者数は2ケタ違うとはいえ、決して対岸の火事ではない。12日時点で新型コロナ感染者数は1600人を超え過去最多を更新した。東京で感染者数が400人近くに膨らんだほか、気温の低い北海道での感染者数の増加が目立ち、これから季節が冬場に向かうなか、関東や関西でも警戒感が高まる状況にある。「検査件数が少なく、実態はこれよりもはるかに多いことは確か」(国内証券アナリスト)という状況であり、菅首相は見直さない考えを示しているものの「Go To キャンペーン」がアダ花となってしまっていることは否めない。
●グローバルマネーはTOKYOへ
こうした環境下にあって、本来であれば東京市場も先行き不透明感が改めて意識される場面だ。今週12日まで日経平均は8日続伸し、この間に株価水準を2500円以上も切り上げており、それだけに行き過ぎの反動が出て当然のタイミングでもある。ところが、週末13日は日経平均が後場に入り下げ渋り、結局135円安で引けている。また、既に調整局面が一巡したマザーズ市場は75日移動平均線をサポートラインに弾みつき、3日続伸とむしろ上値指向に転じている。
結論から言えば、日本株についてはこれまで通り押し目は買いで報われる地合いと考えてよさそうだ。企業の決算発表がほぼ出揃ってきたが、「7~9月期の改善色が鮮明で上方修正に動く企業が想定以上に多いことで、機関投資家にも安心感が広がっている」(国内投資顧問エコノミスト)という。それを裏付けるように足もとではグローバルマネーが日本を目指している。日経平均が一気呵成の2500円高を演じた直近の大立ち回りで、その前半戦となった11月第1週(2日~6日)の投資部門別売買動向をみると、外国人投資家は現物と先物合計で1兆1000億円弱の大幅買い越しに転じている。株価推移を見る限り、この流れが第2週に入ってからも続いている可能性は高い。
●好決算で成長テーマに乗る5銘柄
とはいえ、日経平均に連動しやすい大型株をここから買いに行くのには抵抗があるという投資家も多いだろう。できれば日経平均にアウトパフォームする銘柄を探したいというのは当然のニーズだ。その条件を満たす銘柄として有力なのは、直近の決算で業績が上り坂にあることが確認され、なおかつ今後の成長シナリオを分かりやすく内包する企業である。更にチャート妙味も重視して、中期的に上値期待が膨らんでいる5銘柄を選抜した。
【高度紙はEV関連の有望株、戻り相場の初動】
ニッポン高度紙工業 <3891> [JQ]は10月下旬にマドを開けて上放れた後、1600円台後半から1900円台前半のゾーンで売り買いを交錯させているが、ここは上昇第2波に向けた踊り場とみて強気で報われそうだ。コンデンサー向け絶縁紙(セパレーター)を主力とし、世界シェア60%という断トツの競争力を誇っている。電気自動車(EV)関連の有望株としても存在感を示す。21年3月期営業利益は従来予想の9億円から19億円(前期比91%増)に大幅増額し注目を浴びた。データセンター増設の動きや5G関連投資に絡むコンデンサー用セパレーターの旺盛な需要を取り込んでいるほか、電池向けでは環境性に優れEV・燃料電池車(FCV)といったエコカーや産業機械の電力回生にも活用される電気二重層キャパシタ用セパレーターが収益に貢献している。PERは依然として15倍台にとどまっており、2018年2月には3675円の高値をつけるなど天井も高く、今は戻り相場の初動といえる。
【蛇の目は超割安、EV時代にロボット更新需要も】
蛇の目ミシン工業 <6445> はマド開け急騰後一服も、ここを踊り場に一段の上値追いが見込める。家庭用ミシン のトップメーカーだが、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に手作りマスクがブーム化してミシンの販売台数が大きく伸びた。しかし、これは“マスク特需”とも言い切れない。7~9月期もミシンの販売台数は好調を持続しており、巣ごもり化による消費者のライフスタイルの変化が大きく影響し、追い風に持続性があると会社側ではみている。21年3月期は営業利益段階で従来予想の20億円から38億円(前期比3.3倍)に大幅増額した。一方、自動車向けを主力にロボット分野にも注力するが、今後はEVの世界的普及に伴う更新需要が収益チャンスにつながっていく公算が大きい。ロボットは医薬品や食品業界の需要開拓も進めていく構えで、中期的な成長シナリオが描ける。PERは5倍前後、PBRは0.5倍前後といずれも超割安。増配により配当利回りの高さも目を引く。
【タケエイは再資源化ビジネスで活躍の舞台へ】
タケエイ <2151> は5日・25日・75日の3つの移動平均線が収斂(しゅうれん)する1000~1100円のゾーンで煮詰まり、大上放れの気配を漂わせている。同社は首都圏を地盤に建設関連の廃棄物回収・処理及び再資源化ビジネスなどを手掛けている。資源循環型社会への貢献を経営理念に掲げており、廃棄物の収集運搬に始まり破砕・圧縮などの中間処理による再資源化、残留物の最終処分に至るまでの一貫処理システムを確立している。バイデン米新政権が目指すパリ協定復帰など、世界的に「脱炭素社会」への取り組みが加速するなか、同社は高技術力を有する環境関連銘柄として頭角を現しそうだ。業績も好調、20年4-9月期は営業利益段階で前年同期比22%増の17億5000万円と大幅な伸びを達成した。21年3月期通期では前期比12%増の37億円予想と2ケタ成長を確保する見込みで、年間配当は前期実績に10円上乗せの30円を計画するなど株主還元に前向きな点も評価される。
【KADOKAWAはポップカルチャーで脚光】
KADOKAWA <9468> は25日移動平均線とのカイ離修正を待って買いで対処してみたい。老舗の出版 大手であるとともに動画サイト運営のドワンゴとの統合によってリアルとネット両面でコンテンツを展開できる強みを持っている。出版不況がいわれるなか今年は新型コロナウイルスによる逆風も加わったが、eコマースの活用や電子書籍などが好調で出版事業の利益は高水準の伸びを示している。4-9月期営業利益は前年同期比23%増の78億4700万円だが、7-9月期でみれば営業利益の伸び率は46%に達している。また、ゲーム事業も巣ごもり需要を追い風として、売れ筋タイトルのリピート販売が牽引して大きく業績に貢献している。今月6日に「ところざわサクラタウン」を埼玉県所沢市にオープンしたが、これはホテルやショップ、ミュージアムのほか書籍製造工場なども備える複合施設であり、国内最大級のポップカルチャー発信拠点として今後脚光を浴びる可能性が高い。
【カワチ薬は攻めの経営評価で低PBR修正局面】
カワチ薬品 <2664> は10月中旬以降一貫した下値切り上げ波動を形成、7月29日につけた年初来高値3300円奪回から新波動形成が期待される。ここをクリアすればリーマン・ショック前の2007年10月以来約13年ぶりの高値で実質的な青空圏に突入する。北関東や東北など東日本でドラッグストアを運営、郊外大型店や中型店を積極展開し、収益も成長路線を走っている。今期出店数は新型コロナウイルスの影響から期初計画には未達となったが、中期的な業容拡大に向けた強気の出店戦略は高く評価できる。これから冬場に向かい消費者のマスクやアルコール除菌剤などへのニーズは継続することが予想され同社の業績を押し上げそうだ。21年3月期営業利益は前期比50%増の85億円予想にあるが増額含みだ。指標面でもPER12倍前後で、年45円配当を継続しているにもかかわらずPBR0.7倍前後と解散価値を3割下回る株価水準に放置されており、見直し余地は大きい。
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