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ジェイテック Research Memo(3):高度人材「テクノロジスト」を通じて日本のものづくりを支える

配信元:フィスコ
投稿:2022/03/25 15:13
■事業概要

高度なスキルが必要とされる「機械設計」「電気・電子設計」「ソフトウェア開発」「建築設計」の4分野を得意領域として、研究開発部門及び設計部門等の上流工程の各プロセスへのアウトソーシング事業を通じて、ジェイテック<2479>は日本のものづくりの一翼を担ってきた。

技術職知財リース事業は、本体のジェイテックが担っており、新製品の開発や設計といった専門的で高度な技術を保有する人材「テクノロジスト」を数年間のスパンで派遣する。逆に一般派遣及びエンジニア派遣事業は、子会社のジェイテックアドバンストテクノロジが担当し、短期の開発案件や中高年の技術者派遣、工場の製造部門への人材派遣などが中心となっている。

また、一般派遣及びエンジニア派遣事業ではイベント支援スタッフの請負、携帯ショップの作業支援、住宅販売・運送業などの販売支援のための人材派遣、ポスティング事業などにも幅広く対応している。なお、グループ全体の売上高のうち技術職知財リース事業の割合(2021年3月期ベース)は約98%、一般派遣及びエンジニア派遣事業は約2%という構成比だ。

メイン事業である技術職知財リース事業のビジネスモデルは比較的シンプルであり、売上の構造は「稼働人数」「稼働率」「稼働時間」「単価」が構成要素となっている。なかでも「稼働人数」が最も重要なファクターであり、同社に関して言えば「テクノロジスト(技術者)」数の安定的な確保が事業拡大を考える際の大前提となる。同社の場合は、経営理念に「技術者の地位向上」を謳っていたり、創業当初から技術ファーストの文化を育み続けてきたこともあり、人材レベルの高さには定評がある。今後人材の教育体制を一層強化する方針も掲げており、人手不足の背景も相まって、「単価」については必然的に順次引きあがっていくことになると弊社では考えている。

もう1つのポイントとして、同社は事業・経営の安定性という観点から、基本的に特定業種に偏らない顧客構成を目指している。実際、2021年3月期実績では、トップ3が産業用機器関連(21.8%)、建築関連(20.5%)、自動車関連(17.6%)となっており、業種別売上構成比の分散化は継続的に維持されている。2019年3月期から2021年3月期の変化を見ると、産業用機器関連や半導体・集積回路関連が伸びている。これは、足元でも継続している世界的な半導体の需要増及び供給不足等も影響している面があり、今後もこの2つの領域については少しずつ割合が高まってくると弊社は予測している。ただし、前述した通りのスタンスを同社は取っているため、そうした需要の波に乗ることで、過度に何らかの領域に大きく依存した成長をしていくことは企図していないと見られる。

このように意識的に幅広い業種と取引を行うことに加えて、 「機械設計」「電気・電子設計」「ソフトウェア開発」「建築設計」の4分野にも強みを持つことで、上場企業及び優良中堅企業160社以上と取引を行っている。売上上位顧客10社(2021年3月期)には、ヤマハ<7951>、(株)デンソーテン、アイシン・ソフトウェア(株)、(株)本田技術研究所、SUBARU<7270>、リコージャパン(株)、三菱電機メカトロニクスエンジニアリング(株)、ヤマハ発動機<7272>、LIXIL<5938>、東レエンジニアリング(株)といった有名企業が名を連ねているが、同社のテクノロジストの技術力を暗に示している面もあるだろう。

2021年4月には創業以来最多となる100名の新卒テクノロジストを迎えた結果、同社の年齢構成は、30歳未満の技術者が前年の28%から一気に40%まで拡大し、ピラミッド化が急速に進んでいる。若手人材の割合は長期的な事業基盤と直結していると言っても過言ではなく、彼らが同社の高度な教育を受け、現場での経験を豊富に積んでいくことで、収益基盤が継続的に強化されていく方向にあると言える。

2022年1月に発表した新規事業「まなクル事業」は、同社がこれまで培った技術・スキルの教育ノウハウを広く一般の人にも提供していくものとなっている。人手不足の深刻さが年々増すなか、経験者や未経験者はもちろんのこと、結婚・育児・介護等の要因によっていったん仕事をリタイアした人、シニア層を対象として、新たな技術・スキルを習得してもらい、再度社会復帰を支援したり、経験者の場合はキャリアチェンジ(アップ)したりすることも目的としている。加えて、働き手の不足に伴う定年延長なども背景として「生涯現役」の機運も年々高まりつつある。さらに、近年は“自己の価値を高める学び直し”を意味する「リスキリング」や「リカレント」といった言葉を耳にする機会も増えたが、ビジネスや業務の高度化が進むなかで先述した生涯現役を実現するための取り組みも定着してきている。こうした流れの中で豊富に生じているニーズを「まなクル事業」によって捉える狙いだ。強みとしては、同社の現役のテクノロジストや元テクノロジスト(現場で豊富な経験を積んできた者)がこれまでの経験をもとに、指導支援を行うという強力な教育体制が挙げられる。また、指導教育だけではなく、同社がこれまで培ってきた派遣事業や人材紹介の事業とも密接に関わっているからこそ、教育から就職支援まで一貫して行うことが可能という点も強みとなる。

さらに、同事業では個人に限らず、法人も対象としている。法人向けでは、顧客企業の新卒社員の教育を一括で請け負う形や顧客の要望に合わせて重要スキルにポイントを絞った研修等が想定されている。まなクル事業としては受注していないものの、同社は過去に新卒教育を請け負った実績もあり、今後の需要の広がりが期待されよう。加えて、同社は厚生労働省が進めている職業訓練の実施機関の認定を受けていることもあり、公的訓練の教育を国から請け負うという事業も並行して進めていく方針だ。なお、まなクル事業の拠点としては、まなクル矢切(千葉県松戸市)、まなクル江坂(大阪府吹田市)、まなクル浄心(愛知県名古屋市)、まなクル博多(福岡県福岡市)、まなクル白石(北海道札幌市)、まなクル浜松(静岡県浜松市)の全国6店舗でまずはスタートし、順次新規店舗を展開していく予定としている。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)


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配信元: フィスコ
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