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―12月1日スタート、参入企業相次ぎ検知器+ソリューションへと裾野広がる―
12月1日から、自家用車と同様の白ナンバー車を業務に使用する事業者に対して、安全運転管理者によるアルコール検知器(チェッカー)での飲酒検査の義務化がスタートする。本来は昨年の4月に開始予定だったが、延期を望む声を受け同年10月施行に変更したものの、世界的な半導体不足がアルコール検知器の製造にも影響を及ぼし、更に延期されていた。警察庁資料によると、約35万2000事業所、運転者は約808万人が対象としており、その需要は大きい。スタートを目前に「アルコール検知器」関連株を追った。
●再延期を経て開始へ
アルコール検知器での飲酒検査の義務化が目前に迫ってきた。2021年に千葉県八街市において、下校中の小学生の列に飲酒運転のトラックが衝突し、5人が死傷したことがきっかけとなった。事故を起こした車両はいわゆる「白ナンバー」で、こうしたことを受け今年12月に安全対策として、白ナンバー事業者に対して義務化が始まる。白ナンバーは自家用車と同様の白地のプレートで、一般の社有車や営業車などのことをいうが、客や荷物などを有償で運ぶ「緑ナンバー」は既に義務化されていた。
半導体不足によりアルコール検知器の供給状況が不安定だったため再延期されたが、警察庁は「半導体不足や物流停滞も改善し、安定したアルコール検知器の生産・供給が可能な状況となっている」と判断し、今年12月に義務化を開始することになった。また、アルコール検知器を用いて運転者の酒気帯びの有無の確認を行い、その内容を記録して1年間保存しなければならない。
●“寿命あり”買い替え需要に期待も
アルコール検知器に関しては、事業者の調達が進んだことで義務化がスタートすることから、特需は一巡したとの見方もある。しかし、アルコール検知器には“寿命”があることをご存じだろうか。特にセンサー部分とされ、もちろん機種や使用頻度にもよるが、購入してからの寿命は1年から長くて2年とも言われている。こうしたことで、長期にわたり買い替え需要を取り込むことも考えられる。21年の道路交通法施行規則の改正でも、「アルコール検知器を常時有効に保持することを義務付ける」規定が設けられている。
ここ株式市場は、米国をはじめ世界的な金利上昇局面で向かい風の強い環境を強いられており、緊迫化する中東情勢も絡み上下に大きく揺れる状況にある。テーマ物色の材料にも乏しい相場環境のなか、白ナンバーへのアルコール検知器での飲酒検査義務化が約1カ月後に迫っており、関連株への関心が再び高まりそうだ。加えて、岸田文雄首相が検討を表明したライドシェア導入においても、今後ドライバーのアルコールチェックや健康管理の仕組みの構築を挙げる声もあり、思惑買いを誘う可能性もある。
●ニーズ捉えるJVCケンウ、鈴与シンワ
株式市場でも「アルコール検知器」関連株への注目度は高い。21年に警察庁の白ナンバー事業者に対しての義務化方針がメディアで伝わって以降、関連銘柄へ関心が向かった。
今年に入ってからも、アルコール検知器を巡る動きは活発化しており、株価を刺激している。1月にJVCケンウッド <6632> [東証P]が車両の運行管理システムを展開する事業者などに向けて、アルコール検知器と既存のシステムとの連携を短納期・低コストで実現する「アルコール検知器サービス連携パッケージ」の取り扱いを開始すると発表。更に、3月にはKENWOODブランドの記録・通信型アルコール検知器「CAX-AD300」と、4つのクラウド型点呼・勤怠管理システムとの連携を順次開始するなどニーズを捉えようとしている。また、鈴与シンワート <9360> [東証S]は3月、運転前アルコールチェック&検温クラウドサービス「あさレポ」の小型携帯用デバイス(アルコール検知器)がアルコール検知器協議会の認定機器になったと発表し物色される場面もあった。8月には「あさレポ」の契約デバイス数12万台突破を発表しており、今後も目が離せない。
●直近ではAKIBAが動意
直近では23日に、AKIBAホールディングス <6840> [東証S]が子会社のバディネットがアルコールチェック管理サービス「アルレポ」を提供するナビッピドットコム(東京都中央区)と企業の飲酒検査業務の運用・管理課題の解決、及びコスト削減を図る目的でサービス連携したと発表。これを受け同社株は動意し、投資家のアルコール検知器での飲酒検査の義務化への関心の高さをうかがわせるものとなった。これまでバディネットのコールセンター事業では、電話による飲酒検査の代行サービスを提供してきたが、ナビッピドットコムとサービス連携を行い、飲酒検査業務に課題を抱える企業に対し、電話確認のみならず検知器サービスもワンストップで提供することで、当該業務に発生するトータルコストの削減を実現するという。
●攻勢強めるサンコテクノ、エレコム
コンクリート用特殊ネジ大手サンコーテクノ <3435> [東証S]も関連株の一角として投資家の視線が熱い。17日には、「呼気アルコール検知システム ALC Face Mobile (商品名アルコフェイスモバイル)」を11月中旬から販売すると発表。同製品は、アルコール検知器に搭載したBluetoothとスマートフォンをペアリングすることで、測定データや測定中の顔写真をリアルタイムでクラウド上に保存できるという。アルコール検知器の需要拡大が予想されるなか、攻勢を強める構えだ。
パソコン周辺機器メーカーのエレコム <6750> [東証P]は、AIoTクラウド(東京都江東区)が提供する、アルコールチェックの結果をクラウド上で一元管理する「スリーゼロ」の販売を9月26日からスタートした。昨年8月から販売しているエレコムのアルコールチェッカーALSmart(アルスマート)と組み合わせて利用できる。ALSmartの検査結果はBluetooth通信によって、スリーゼロのスマホアプリに送信でき、結果の誤入力を防ぐとともに入力の手間も省くことが可能だ。また、検査結果はクラウドで管理されることで、管理者は運転者が外出先で検査した結果を遠隔でリアルタイムに管理することができるという。
また、関連株としてマークされるのが、ソシアックシリーズなど多くのアルコール検知器を取り扱い、全機種がアルコール検知器協議会の認定マークを取得している中央自動車工業 <8117> [東証S]や、飲酒検査・記録保管クラウドサービス「Cagou IT点呼 for 白ナンバー」を手掛けるコア <2359> [東証P]などだ。両銘柄とも、アルコール検知器関連として株価感応度も高いだけに目を配っておく必要がありそうだ。
●HOUSEI、ユビテックにも注目
顔認証ソリューションを展開するHOUSEI <5035> [東証G]にも注目。同社は、AI検温顔認証端末「WelcomID(ウェルカムアイディー)」及び「WelcomID検温プリンタ」とタニタ(東京都板橋区)製アルコール検知器「ALBLO(アルブロ)」との連携販売を行っており活躍のフィールドが広がりそうだ。
また、ユビテック <6662> [東証S]は9月に、白ナンバー事業者向けの安全運転管理を支援するサービス「D-Drive」に関し、USEN-NEXT HOLDINGS <9418> [東証P]の車両1500台に導入されたと発表。「D-Drive」は、運転者のアルコールチェック結果を自動でクラウドに保存し、適切なタイミングで検査が行われているか自動で判定する機能を持つという。
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