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パーソルホールディングスのニュース
組織マネジメントの在り方や人事部のかかわり方が新規事業の成否に影響
株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都港区、代表取締役社長:渋谷和久)は、企業における新規事業開発に関する調査結果を発表いたします。本調査は、企業の新規事業開発に関する実態について、主に人材マネジメントの側面から定量的なデータで把握し、経営・人事に資する提言を行うことを目的に実施しました。
調査結果概要
1. 新規事業の成功度
従業員数300名以上の企業で自社の新規事業開発を専任または兼務している担当者1,800人に、新規事業開発の成功度をたずねたところ、「成功している」との回答は30.6%であったのに対し、「成功に至っていない」との回答は36.4%であった。なお、企業規模や売上高による成功度の差異は見られなかった。
図表1.新規事業開発の成功度
2. 新規事業開発の進展度
現在、取り組み中の新規事業開発案件のうち、「将来、自社の主力事業になりそうな有望な事業」が生まれているという企業は全体の40.1%である。
図表2.新規事業開発の進展度
3. 新規事業開発を進める上での組織マネジメントの課題
新規事業開発担当者が感じている組織マネジメント上の課題としては、「担い手となる人材の確保」(38.9%)、「知識・ノウハウ不足」(38.6%)がともに4割近く、次いで「意思決定の遅さ」と「評価制度の不適合」が約3割となり、課題感が強い。一方で、「経営層の関与」や「社外との連携」、「担当者の士気」に対する課題感は弱い。
図表3.新規事業開発担当者が感じている組織マネジメントの課題
4. 新規事業開発の最終決裁者
新規事業開発の最終決裁者については、新規事業開発を自社単独で行っている企業では「社長/CEO」(44.0%)が最も多く、社外組織と連携して行うオープンイノベーション型の企業では「新規事業開発担当役員」(40.8%)が最も多い(図表4)。また、「社長/CEO」が最終決裁者の場合には、「意思決定の迅速さ」「新規事業開発のプロセス構築」「社内の関心の高さ」などの組織マネジメントに課題がある傾向が見られた(図表5)。
図表4.新規事業開発の最終決裁者
図表5.新規事業開発の最終決裁者別に見た組織マネジメントの状況
5. 新規事業開発に対する人事部の関与
新規事業開発に対し、人事施策の側面から人事部が積極的に関与している企業は33.2%であった(図表6)。また、人事部が積極的に関与している企業において、その取り組みを「効果的」ととらえている新規事業開発担当者は70.7%に上る(図表7)。
図表6.新規事業開発に対する人事部の関与度
図表7.新規事業開発に対する人事部の関与の効果
6. 新規事業開発の成功のために強化すべき人事施策
「新規事業開発担当者」と「人事部管理職」それぞれに対し、新規事業開発を成功させるために強化すべきだと思う人事施策は何かについてたずねたところ、新規事業開発担当者では、「上長の理解やサポートの促進」(47.0%)、「挑戦的な取組みを推奨・評価する人事評価制度」(38.8%)が上位に挙がった。一方で、人事部管理職では、「新規事業開発に適した人材の採用」(33.7%)が最も多く、新規事業開発担当者ではランキング2位に挙がっていた「挑戦的な取組みを推奨・評価する人事評価制度」が、人事部管理職では6位にまで後退するなど、両者の間でやや認識のギャップが見られた。
図表8.新規事業開発の成功のために強化すべき人事施策(ランキング比較)
分析コメント~開発担当者の孤軍奮闘では新規事業開発の成功はない。人事部、経営層、開発者がそれぞれの役割を果たしつつ協働を~(パーソル総合研究所 上席主任研究員 佐々木 聡)
マーケットの成熟化による既存事業の頭打ちに直面し、多くの日本企業が新たな事業開発に注力している。しかし、本調査では新規事業開発に成功している企業は約3分の1にとどまっていた。
特に一定規模以上の企業においては、既存事業に特化した組織体制・組織運営の在り方等により、新規事業の創出が阻害されることが指摘されている。そこで、今回我々は、新規事業開発の成功・阻害に影響する組織マネジメントの要素に注目して分析を行った。図表9は組織マネジメントの要素について、新規事業開発の重要度(成功度との相関)と、各要素の現状の実施率との関係を、<新規事業開発の体制づくり><新規事業開発チームの状況><社内資源の活用>に分けて示している。
特に、次の要素は、実施率が比較的低いが成功度との相関が高く、注力すべきポイントとみられる(図表9の赤枠参照)。
<新規事業開発の体制づくり>体制整備・リソース確保:「新規事業開発人材の確保」「スキル・ノウハウ獲得」「適切な評価・マネジメント」「プロセス構築」
<新規事業開発チームの状況>スムーズな意思決定:「意思決定の迅速さ」
<社内資源の活用>社内の協力体制:「既存事業からのリソース確保」「社内の関心の高さ」
また、図表3で見た担当者の課題感が比較的低かった要素(「チームの士気の高さ」「社外リソース確保」「経営層のコミットメント」や、「社内連携のスムーズさ」「目標・体制整備」)は、重要度が高く実施率も比較的高い結果となった(図表9の青枠参照)。
図表9.組織マネジメント要因 重要度×実施率
<新規事業開発の体制作り>
<新規事業開発チームの状況>
<社内資源の活用>
これらの結果から、新規事業開発の成功に向けて、経営層、人事部それぞれが果たすべき重要な役割、取り組みは以下といえる。
【1】経営層:開発現場が効果的にマネジメントできるような環境をつくる
社長/CEOが最終決裁者である組織においては、「意思決定の迅速さ」「新規事業開発のプロセス構築」「社内の関心の高さ」などの組織マネジメントに課題が見られた。組織体制やプロセスを見直す、現場に権限を与えて迅速な意思決定ができるようにする、といった経営層だからこそできる支援を行い、開発現場が効果的にマネジメントできる環境をつくることが肝要である。
【2】人事部:開発者と協働しながら新規事業開発の職場環境を整える
新規事業開発が成功している企業では、図表10にあるような新規事業開発を成功に近づけるための人事施策を人事部が積極的に推進しており、人事部の関与の重要性が明らかになった。こうした人事施策について、開発担当者と認識のすり合わせを行いながら優先順位をつけて実行に着手することが必要となるだろう。
図表10.新規事業開発の成功度を高める人事施策
※本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と明記してください。
URL:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/New-Business-Development.pdf
※報告書内の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計と内訳の計は必ずしも一致しない場合があります。凡例の括弧内数値はサンプル数を表しています。
調査概要
■【株式会社パーソル総合研究所】<http://rc.persol-group.co.jp/>について
パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、タレントマネジメントシステム提供、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。
■【PERSOL(パーソル)】<https://www.persol-group.co.jp/>について
パーソルグループは、「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに、人材派遣サービス「テンプスタッフ」、転職サービス「doda」、ITアウトソーシングや設計開発など、人と組織にかかわる多様な事業を展開しています。グループの経営理念・サステナビリティ方針に沿って事業活動を推進することで、持続可能な社会の実現とSDGsの達成に貢献していきます。また、人材サービスとテクノロジーの融合による、次世代のイノベーション開発にも積極的に取り組み、市場価値を見いだす転職サービス「ミイダス」、テクノロジー人材のエンパワーメントと企業のDX組織構築支援を行う「TECH PLAY」、クラウド型モバイルPOSレジ「POS+(ポスタス)」などのサービスも展開しています。
株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都港区、代表取締役社長:渋谷和久)は、企業における新規事業開発に関する調査結果を発表いたします。本調査は、企業の新規事業開発に関する実態について、主に人材マネジメントの側面から定量的なデータで把握し、経営・人事に資する提言を行うことを目的に実施しました。
調査結果概要
1. 新規事業の成功度
従業員数300名以上の企業で自社の新規事業開発を専任または兼務している担当者1,800人に、新規事業開発の成功度をたずねたところ、「成功している」との回答は30.6%であったのに対し、「成功に至っていない」との回答は36.4%であった。なお、企業規模や売上高による成功度の差異は見られなかった。
図表1.新規事業開発の成功度
2. 新規事業開発の進展度
現在、取り組み中の新規事業開発案件のうち、「将来、自社の主力事業になりそうな有望な事業」が生まれているという企業は全体の40.1%である。
図表2.新規事業開発の進展度
3. 新規事業開発を進める上での組織マネジメントの課題
新規事業開発担当者が感じている組織マネジメント上の課題としては、「担い手となる人材の確保」(38.9%)、「知識・ノウハウ不足」(38.6%)がともに4割近く、次いで「意思決定の遅さ」と「評価制度の不適合」が約3割となり、課題感が強い。一方で、「経営層の関与」や「社外との連携」、「担当者の士気」に対する課題感は弱い。
図表3.新規事業開発担当者が感じている組織マネジメントの課題
4. 新規事業開発の最終決裁者
新規事業開発の最終決裁者については、新規事業開発を自社単独で行っている企業では「社長/CEO」(44.0%)が最も多く、社外組織と連携して行うオープンイノベーション型の企業では「新規事業開発担当役員」(40.8%)が最も多い(図表4)。また、「社長/CEO」が最終決裁者の場合には、「意思決定の迅速さ」「新規事業開発のプロセス構築」「社内の関心の高さ」などの組織マネジメントに課題がある傾向が見られた(図表5)。
図表4.新規事業開発の最終決裁者
図表5.新規事業開発の最終決裁者別に見た組織マネジメントの状況
5. 新規事業開発に対する人事部の関与
新規事業開発に対し、人事施策の側面から人事部が積極的に関与している企業は33.2%であった(図表6)。また、人事部が積極的に関与している企業において、その取り組みを「効果的」ととらえている新規事業開発担当者は70.7%に上る(図表7)。
図表6.新規事業開発に対する人事部の関与度
図表7.新規事業開発に対する人事部の関与の効果
6. 新規事業開発の成功のために強化すべき人事施策
「新規事業開発担当者」と「人事部管理職」それぞれに対し、新規事業開発を成功させるために強化すべきだと思う人事施策は何かについてたずねたところ、新規事業開発担当者では、「上長の理解やサポートの促進」(47.0%)、「挑戦的な取組みを推奨・評価する人事評価制度」(38.8%)が上位に挙がった。一方で、人事部管理職では、「新規事業開発に適した人材の採用」(33.7%)が最も多く、新規事業開発担当者ではランキング2位に挙がっていた「挑戦的な取組みを推奨・評価する人事評価制度」が、人事部管理職では6位にまで後退するなど、両者の間でやや認識のギャップが見られた。
図表8.新規事業開発の成功のために強化すべき人事施策(ランキング比較)
分析コメント~開発担当者の孤軍奮闘では新規事業開発の成功はない。人事部、経営層、開発者がそれぞれの役割を果たしつつ協働を~(パーソル総合研究所 上席主任研究員 佐々木 聡)
マーケットの成熟化による既存事業の頭打ちに直面し、多くの日本企業が新たな事業開発に注力している。しかし、本調査では新規事業開発に成功している企業は約3分の1にとどまっていた。
特に一定規模以上の企業においては、既存事業に特化した組織体制・組織運営の在り方等により、新規事業の創出が阻害されることが指摘されている。そこで、今回我々は、新規事業開発の成功・阻害に影響する組織マネジメントの要素に注目して分析を行った。図表9は組織マネジメントの要素について、新規事業開発の重要度(成功度との相関)と、各要素の現状の実施率との関係を、<新規事業開発の体制づくり><新規事業開発チームの状況><社内資源の活用>に分けて示している。
特に、次の要素は、実施率が比較的低いが成功度との相関が高く、注力すべきポイントとみられる(図表9の赤枠参照)。
<新規事業開発の体制づくり>体制整備・リソース確保:「新規事業開発人材の確保」「スキル・ノウハウ獲得」「適切な評価・マネジメント」「プロセス構築」
<新規事業開発チームの状況>スムーズな意思決定:「意思決定の迅速さ」
<社内資源の活用>社内の協力体制:「既存事業からのリソース確保」「社内の関心の高さ」
また、図表3で見た担当者の課題感が比較的低かった要素(「チームの士気の高さ」「社外リソース確保」「経営層のコミットメント」や、「社内連携のスムーズさ」「目標・体制整備」)は、重要度が高く実施率も比較的高い結果となった(図表9の青枠参照)。
図表9.組織マネジメント要因 重要度×実施率
<新規事業開発の体制作り>
<新規事業開発チームの状況>
<社内資源の活用>
これらの結果から、新規事業開発の成功に向けて、経営層、人事部それぞれが果たすべき重要な役割、取り組みは以下といえる。
【1】経営層:開発現場が効果的にマネジメントできるような環境をつくる
社長/CEOが最終決裁者である組織においては、「意思決定の迅速さ」「新規事業開発のプロセス構築」「社内の関心の高さ」などの組織マネジメントに課題が見られた。組織体制やプロセスを見直す、現場に権限を与えて迅速な意思決定ができるようにする、といった経営層だからこそできる支援を行い、開発現場が効果的にマネジメントできる環境をつくることが肝要である。
【2】人事部:開発者と協働しながら新規事業開発の職場環境を整える
新規事業開発が成功している企業では、図表10にあるような新規事業開発を成功に近づけるための人事施策を人事部が積極的に推進しており、人事部の関与の重要性が明らかになった。こうした人事施策について、開発担当者と認識のすり合わせを行いながら優先順位をつけて実行に着手することが必要となるだろう。
図表10.新規事業開発の成功度を高める人事施策
※本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と明記してください。
URL:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/New-Business-Development.pdf
※報告書内の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計と内訳の計は必ずしも一致しない場合があります。凡例の括弧内数値はサンプル数を表しています。
調査概要
■【株式会社パーソル総合研究所】<http://rc.persol-group.co.jp/>について
パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、タレントマネジメントシステム提供、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。
■【PERSOL(パーソル)】<https://www.persol-group.co.jp/>について
パーソルグループは、「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに、人材派遣サービス「テンプスタッフ」、転職サービス「doda」、ITアウトソーシングや設計開発など、人と組織にかかわる多様な事業を展開しています。グループの経営理念・サステナビリティ方針に沿って事業活動を推進することで、持続可能な社会の実現とSDGsの達成に貢献していきます。また、人材サービスとテクノロジーの融合による、次世代のイノベーション開発にも積極的に取り組み、市場価値を見いだす転職サービス「ミイダス」、テクノロジー人材のエンパワーメントと企業のDX組織構築支援を行う「TECH PLAY」、クラウド型モバイルPOSレジ「POS+(ポスタス)」などのサービスも展開しています。
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