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日本電技 Research Memo(4):工場全体を自動制御

配信元:フィスコ
投稿:2019/07/05 15:04
■事業概要

3. 産業計装関連事業(インダストリーオートメーション事業)
産業計装は、プロセス(生産工程)と搬送、そして工場全体の自動制御を行っており、製品管理や品質保持、生産性向上、省コスト化、環境への配慮などあらゆるニーズに対応、顧客のバリューチェーンを高度化することを目的としている。

(1) 生産設備
日本電技<1723>は、制御システムの設計から制御盤の制作、施工、メンテナンスまで、計装エンジニアリング技術に裏付けられたトータルプロデュース力に定評がある。食品や薬品などの製造現場において、安全性の確保や仕分け作業の精度向上、効率性向上などをサポートしている。食品・薬品工場(サニタリー・省配線)、化学プラント(防爆)など工場の仕様に合わせた電気計装工事、食品・薬品工場などの特殊な仕様に対応したユーティリティ設備(冷温水、蒸気、圧縮空気等)の設計施工、食品・薬品工場の仕様に合わせたコンピュータソフトウェアやシステムの開発、特殊仕様が可能な同社製の制御盤・動力盤の設計製作、設備環境に応じた最適な調節計・現場機器・各種分析計・工業用調節弁など制御機器類の選定——などを行っている。

(2) 省エネ
工場などで不要になって排出される廃温水や大気中の熱を回収して再利用するなど、廃熱を有効活用している。設備の内容に応じてシステムを見直したりヒートポンプ乾燥システムを利用したりすることで、環境負荷の低減や工場・プラントでの省エネ化、運用コストの削減などをサポートしている。なお、コンバーター向けヒートポンプ乾燥システム「WECON(ウィーコン)」は、高効率のヒートポンプと蓄熱燃焼装置から回収した廃熱を利用することで、加熱に使用するエネルギーの消費量を大幅に削減することができる。

(3) ロボット
同社の技術をロボットに活用し、高度な製造工程の自動化を主に食品業界向けに実現している。製品を箱詰め・検査・組み立て・荷捌するピッキングロボットや、重たい原材料を搬送する多関節パレタイジングロボットなどを活用し、生産性の向上や人材不足の解消、人が介在しないことによる安心・安全(フードディフェンス)といった様々なニーズに応えることができる。

(4) 地域冷暖房エネルギー供給施設
地域冷暖房とは、一定地域内の建物群に地域導管を通して、熱供給設備(地域冷暖房プラント)から熱媒となる冷水・温水・蒸気などを供給し、冷房・暖房・給湯などを行うシステムである。近年、地域単位で総合エネルギーネットワークが形成されつつあり、エネルギーを効率的に利用する都市計画が広がりつつある。同社は、地域冷暖房プラント(熱供給設備)の自動制御に関わるシステムを提供するとともに、AIやIoT技術を活用して需要予測や運転計画を策定し、プラントの最適稼働や運転状況の監視・異常の検知、供給実績データの記録などの付加サービスを提供している。

(5) テクニカルセンター
東京・東陽町にあるテクニカルセンターでは、ABB IRB 360「FlexPicker®」や、三菱電機<6503>製の垂直多関節形ロボットなど実験用のロボットを導入し、ロボットのシステム開発を行っている。組立工程、ピッキング工程を自動化することが可能な実際のロボットで、見学からシミュレーション、ワークテストまで行うことができる。また、同社では、空調計装や産業計装の実現に欠かすことのできないシステム制御パネルを、ISO9001を取得した自社工場で製造している。このため、システムの引渡時のみならずメンテナンスに至るまで、安定した品質と十分なサポートを提供することができる。さらに、工場と各事業が連携することで、自動制御設計、施工、パネル製造、調整、保守など一元管理が可能で、製品からのワンストップサービスを提供することができる。


「計装エンジニアリング」自体が強み
4. 強みと特徴
同社は、経験が物を言う計装の大手で、かつ唯一のエンジニアリング企業である。このため、計装を提案しつつ、顧客の要求する品質・安全性・スペックなどに合わせたり、ローコスト化や省エネ改修工事に対応したりすることができる。この「計装エンジニアリング」というユニークなポジションそのものが、同社最大の強みと言える。さらに、地球環境問題への関心がますます高まるなか、空調という分野のビジネスの特徴を生かして将来的に優位な事業展開が可能と考えられる。また、空調計装分野で培った技術力を産業計装分野で展開しており、「総合」エンジニアリング企業としても今後の成長が楽しみである。1つ気になる点は、特定仕入先アズビルからの仕入依存度が高いことである。とはいえ、空調計装で圧倒的なシェアを持つアズビルの特約店であるため、信頼性の高いアズビル製品の仕様頻度が多くなるのは仕方ないことである。一方、産業計装においては、ユーザーの要望に応じてアズビル以外の製品も多用している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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配信元: フィスコ
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