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【QAあり】Veritas In Silico、核酸医薬品の独自研究を再開 ハイブリッド型ビジネスへの転換により高い成長の実現を目指す

投稿:2024/08/15 17:00

2024年12月期 第2四半期(中間期)ハイライト

中村慎吾氏(以下、中村):Veritas In Silico代表取締役社長の中村慎吾です。本日は当社の決算説明会にお時間をいただきまして、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。

まずはこの上半期の概況を振り返ります。事業進捗の状況では、当社の主力事業であるプラットフォーム型ビジネスは、順調に推移したことをご報告します。現在パートナー4社との共同創薬研究を進めていますが、マイルストーン達成や目標とする特性を細胞レベルで示す低分子化合物を複数取得する等の成果が得られました。

また、かねてより進めていた当社独自の核酸医薬品の研究を再開し、パイプラインを創出できる体制の整備を進めました。これは当社の将来価値向上に寄与するパイプラインを創出することで、純粋なプラットフォーム型ビジネスからハイブリッド型ビジネスへ転換していくための取り組みであり、これにより今後より高い成長を実現していく方針です。

この上半期の事業収益は、定期的に受け取る研究支援金と、研究の進捗に応じてスポット的に受け取るマイルストーン収入を合わせて1億1,500万円となりました。

営業利益以下の各段階利益は残念ながら赤字にとどまったものの、下半期中にはさらなるマイルストーン収入や、新規契約の獲得等により収益を確保していきます。したがって、2024年2月にお知らせした業績見通しの数値目標を達成していく方針です。

mRNA標的低分子創薬を実現させた当社創立者のバックグラウンド

ここであらためて自己紹介します。設立者であり現在CEOである私、中村は前職こそ投資家でしたが、元は科学者でした。mRNA(メッセンジャーRNA)についての研究に2000年から取り組み、実際に汎用的なmRNAに対する低分子創薬を発想して特許を申請したのは、私が世界で最初です。

その先見性を持った上で、武田薬品、Dow Chemical、Catalentといったグローバル企業でのビジネスの実際の経験を踏まえて、当社を運営しています。

Contents

本日は、ご覧の項目に沿ってご説明します。

2024年12月期 第2四半期(中間期)の事業ハイライト

まず、この上半期の事業の進捗を定性的、俯瞰的にご説明します。この上半期における事業進捗のハイライトです。

詳細はそれぞれ個別スライドでご説明しますが、当社の主席研究員によるAI活用に関する論文発表に加え、ハイブリッド型のビジネスに転換していくためのパイプライン創出の取り組み開始、さらに武田薬品との共同創薬研究におけるマイルストーンの達成、ラクオリア創薬との共同創薬研究における化合物探索の進捗などの成果がありました。

武田薬品との共同創薬研究・ライセンス契約でマイルストーン達成

収益につながる成果として、武田薬品との共同創薬研究におけるマイルストーン達成についてご説明します。2024年6月の適時開示でお知らせしたように、武田薬品との共同創薬研究でマイルストーンを達成し、マイルストーン収入の獲得につながりました。収入としてはわずかですが、当社の共同創薬研究が着実に進んでいることを示しています。

ラクオリア創薬との共同創薬研究において化合物探索が順調に進捗

続いて、ラクオリア創薬との共同創薬研究の進捗です。ラクオリア創薬と進めている共同創薬研究では、互いの持つ技術力の強みを活かしつつ、細胞実験において目標とするプロファイルを示す複数の低分子化合物を取得するといった成果をあげることができました。

この成果については、マイルストーンの設定がなされていないため、上半期中のマイルストーン収入にはつながりませんでした。引き続き非臨床試験に入ることのできる化合物の創出を目指し、研究活動を進め、その過程でマイルストーン収入等も取得していく見込みです。

各製薬会社との共同創薬事業において実績が積み上がっている

ご紹介した2社を含め、国内の製薬会社4社との共同創薬研究を進めています。これらの共同創薬研究はそれぞれ順調に進捗し、実績を積み上げています。引き続き1日でも早い臨床候補化合物の取得のために、パートナー製薬会社とともに取り組んでいるところです。

プラットフォーム型ビジネスの収益ポテンシャル

こちらのスライドでは、収益のポテンシャルを示しています。プラットフォーム契約の特徴として、10年先までの経済条件も盛り込まれた取り決めを最初に行うため、短期だけでなく、中長期で安定的な事業収益を見積もることが可能です。

ここで短期とは研究開始からおおむね3年以内、中期とは3年から10年程度、長期とは10年先とお考えください。また、スライドにはお示ししていませんが、追加的な長期的収益として、医薬品が上市された場合には数パーセント程度のロイヤリティ収入も見込まれます。

これらの数字は既存の契約先4社の契約書に記載されている金額だけを示しています。上半期の収入により、取得済み総額は約7.6億円となりました。

既存の契約の進展によって収益は拡大し、加えて当社は年間2社と同様の契約を積み重ねていきます。これらの契約を積み重ねることによって、中長期の収益もさらに拡大していきます。

年間2社との新規提携に必要な秘密保持契約数の確保

当社の成長戦略についてもう少し補足します。当社は契約締結の実績に基づき、事業開発を集中的に展開しています。これまで、契約交渉の際に必要となる秘密保持契約(CDA)の締結後に契約に至ったのが約半数、契約までの期間の中央値は14ヶ月とご紹介しています。

現時点では、アクティブな秘密保持契約は1社増えて5社となりました。この中には海外企業が含まれています。現在は、当社の全体戦略に合致した契約の締結を最優先して進めているところです。

​​このように、当社は秘密保持契約から契約に至る確率を意識し、事業開発に重点を定めて効率的かつ計画的に共同創薬研究契約等を獲得し、成長していきます。

RNA標的低分子創薬におけるAIの活用に関するレビュー論文

この上半期に、主席研究員の森下がレビュー論文を発表しました。これは当社がAI創薬についてリーディングカンパニーであるとみなされ、海外の専門誌より森下が直接依頼されるかたちでの発表となります。

実はレビュー論文の海外からの依頼は、これで2度目になります。このレビュー論文は『Expert Opinion on Drug Discovery』の2月号に掲載されています。

RNAが標的とする低分子化合物に関する膨大なデータが蓄積されつつある中で、有用な情報を見つけ出し、創薬のさまざまな段階における意思決定を支援するために、AIがどのように活用されているかを論じました。

さらにAIを活用し、RNAを標的とした創薬の効率、精度および成功率を高めるための今後の研究の方向性についても論じています。

2024年12月期 第2四半期(中間期)業績概要

萩原宏昭氏:これより先の財務ハイライトは萩原よりご説明します。この上半期、1月から6月までの損益計算書の要約をスライドに示しています。

この上期中の事業収益は、プラットフォーム事業によるものです。主な内訳は、研究支援金等で5,500万円、マイルストーン収入で6,000万円、合わせて1億1,500万円となりました。適時開示でお知らせしたマイルストーン収入だけではなく、研究支援金による収入も着実に出ていることにご注目ください。

事業費用は、研究開発費7,000万円、販売費および一般管理費1億1,200万円、合わせて1億8,200万円となりました。営業利益はマイナス6,600万円となりました。

営業外損益は、2月の東証上場に関連する費用1,200万円、上場時の公募増資等の新株式発行費用900万円、合わせて2,200万円の営業外費用があり、経常利益はマイナス8,800万円となりました。

これに法人税等100万円を調整し、税金等調整後の中間純利益はマイナス9,000万円で着地しています。

財務状況の推移

貸借対照表の状況です。この上半期時点の総資産は、前期末の16億5,500万円から7億3,700万円増加の23億9,300万円となりました。流動資産は、現金及び預金の増加7億700万円、売掛金の増加2,300万円などにより、7億4,300万円増加の23億7,200万円となりました。固定資産は、主に減価償却による有形固定資産の減少で500万円減となりました。

流動負債は、未払金の減少600万円、前受金の減少1,200万円などにより、4,200万円減少の3,700万円となりました。純資産は、2月から3月にかけて実施した公募増資等の払込みにより、資本金、資本剰余金がそれぞれ4億2,300万円増加しています。

一方、4月に減資を行ったことにより、資本金4億4,800万円を資本剰余金に振り替えています。また上期中にストックオプションの行使があり、資本金及び資本剰余金が1,100万円増加しています。これらの結果、6月末時点の自己資本比率は98.4パーセントとなりました。

キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況です。この上半期中に、現金及び現金同等物は7億700万円増加し、6月末時点の現金及び現金同等物の残高は22億5,600万円となりました。

キャッシュ・フローの内訳を見ますと、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フローはそれぞれ資金の支出がマイナスとなったものの、財務活動によるキャッシュ・フローでは、東証上場時の新株式発行による収入8億6,100万円、上場関連費用の支出1,200万円があり、差し引き8億4,800万円の資金獲得となりました。

mRNA標的低分子創薬に取り組むプラットフォーム型のバイオテク企業

中村:ここからは、再び中村より当社の事業内容やビジネスモデルなどをご説明します。当社は本社を東京の五反田に置き、基礎研究所を神奈川県川崎市、応用研究所を新潟県新潟市に置いています。社員14名のプラットフォーム型バイオテク企業です。

設立以降、実績を積み上げて着実にmRNA標的低分子事業を拡大

当社の沿革については、こちらのスライドをご覧ください。

治療“できない”を“できる”にするmRNA標的低分子創薬

医薬品業界には、大きなアンメット・メディカル・ニーズがあります。すべてのタンパク質のうち、疾患に関連するタンパク質は5,068種類あると言われています。そのうち、現在医薬品が創出されている対象は、ほんの13パーセントにすぎません。

その他の疾患関連タンパク質は医薬品開発に適さないか、従来法では“ Undruggable(創薬不可能)”なタンパク質とされており、これらが大きなアンメット・メディカル・ニーズとなっています。ここに、我々にとってのブルーオーシャンがあります。

これらの疾患関連タンパク質がそもそも生成されないようにすれば、これら疾患も治療できることになります。タンパク質の設計図であるmRNAを標的にすることにより、これら疾患関連タンパク質の生成が抑えられ、疾患が治療できる可能性があります。つまり、大きなアンメット・メディカル・ニーズに応えられる可能性があるということです。

ブルーオーシャンでmRNAを標的とした低分子医薬品を創出

当社の事業についてあらためてご説明します。当社はmRNAを標的とする低分子医薬品の創出を主事業としています。

当社はmRNAを解析する独自技術を有しており、これにより個別のmRNAに対して低分子医薬品を創出し、mRNAからのタンパク質の生成を抑えることで、結果的に特定の疾患を治療可能とすることを目指しています。

低分子医薬品は製造と流通にまったく問題がない商材ですので、ブルーオーシャンを開拓するのに最適だと考えています。

さまざまな疾患の治療に適用できる汎用性のある作用メカニズム

mRNAを標的とする化合物の細胞内での効果についてです。当社が探索し発見できるmRNA上の構造を低分子化合物の結合によって安定化することで、細胞内でタンパク質の合成を阻害し、対応するタンパク質の量を低下させます。

これにより、タンパク質の働きを停止させる従来の低分子医薬品と同様の治療効果が期待できます。この作用メカニズムには汎用性がありますので、さまざまな疾患の治療に応用が可能です。

ibVISで未だ満たされない医療ニーズに応える

したがって、当社の創薬プラットフォーム「ibVIS(アイビス)」を利用したmRNA標的低分子創薬は、さまざまなアンメット・メディカル・ニーズに応えることができます。

実際に製薬会社と共同での創薬事業を行っています。それらの会社に加え、多くの製薬会社からmRNAを狙って低分子医薬品を作ることや、この手法で取り組みたい疾患についてご相談をいただいています。

これらの情報から、我々の技術を使って、どのような低分子医薬品を作りたいと専門家が考えているかが読み取れます。それを集計した結果、がんや中枢神経疾患といった低分子医薬品が強い領域を中心として、mRNA標的低分子創薬により、循環器、呼吸器、免疫、感染症など、さまざまな疾患に対する医薬品を創出できると専門家が考えていることがわかりました。

このことから当社の技術プラットフォームが、あらゆるアンメット・メディカル・ニーズに応えられることがおわかりいただけると思います。

タンパク質標的に匹敵するmRNA標的低分子医薬品の潜在市場

ビジネスモデルについてです。当社が手掛けているビジネスは多種多様なアンメット・メディカル・ニーズに応えることができるため、mRNA標的低分子医薬品市場は、将来の成長と発展が見込まれる領域です。現在の医薬品市場において最大セグメントである低分子医薬品市場は、現在そのすべてがタンパク質を標的としています。

先ほどお伝えしたとおり、mRNAを標的とすると、今までの創薬手法では狙えなかった疾患を対象として、低分子医薬品の創出を試みることができます。

ある時点で、その市場サイズは現在のタンパク質標的低分子創薬市場と同等の規模となっていくと考えています。当社はその潜在的な市場のシェアをいち早く獲得していこうと考えています。

また、潜在的な市場があるということは、医薬品を待っているたくさんの患者さまが存在しているということでもあります。当社がプラットフォーム型ビジネスモデルを主事業とするのは、多種多様な医薬品を迅速に患者さまに届けることができる可能性があるためです。

創薬研究の初期から長期にわたり安定した事業収益を実現

プラットフォーム型ビジネスを可能とするために、当社は創薬研究の初期から安定した事業収益を実現する収益構造を採用しています。

当社の創薬プラットフォーム「ibVIS」は、mRNAの構造解析と、mRNAに結合する化合物を見つけ出すスクリーニング法だけではなく、スクリーニングで見つかったヒット化合物の検証法、さらにはリード化合物の最適化手法を統合してでき上がっています。

「ibVIS」により、製薬会社が持っている低分子医薬品インフラを用いたmRNA標的低分子創薬が可能となります。

当社のプラットフォーム技術が非常に強力であることから、最初の契約時点で、将来の収入に関する条件もすべて取り決めてしまう、いわゆるペプチドリームが行っているようなプラットフォーム契約が可能となっています。

このように、当社の実働部分を研究に集中し、たくさんのパートナーと同時並行的に創薬を行える体制が構築できています。

スタートアップ・バイオテク企業から持続成長可能なスペシャリティファーマへ

当社の成長戦略と施策についてです。スライドに、我々の考える短中長期的な成長の姿を示しています。

現在はプラットフォーム企業として活動していますが、当社のプラットフォーム技術は社内で自社創薬を行うことにも適用できます。したがって、今後は自社創薬も進めるハイブリッド型ビジネスに移行を進めていきます。

長期的には再度業態を転換してスペシャリティファーマとなり、持続的な成長をもとに展開していきたいと考えています。

スペシャリティファーマの前段階としてハイブリッド型ビジネスに転換

当社ではまさに今、従来のプラットフォーム型ビジネスと合わせて、パイプライン型ビジネスを本格化し、新たな収益源とすることによってハイブリッド型ビジネスへ転換していく取り組みを進めています。

当社では、かねてより核酸医薬品の独自研究を行っています。これを今後さらに本格化し、事業化を進める方針です。このパイプライン型事業を計画どおりに進めることにより、中長期的にさらなる成長を実現していきます。

mRNA関連創薬の事業の多角化による持続的成長を目指す

これまでのmRNAを標的とした低分子創薬を中心とした研究の結果、その基礎となるmRNAを解析する技術が大いに蓄積されてきました。これらを活用し、mRNA標的低分子創薬だけではなく、いわゆるmRNAを標的とした核酸医薬の創出も進めています。

さらに、mRNAについて深く理解した結果、mRNA自体を医薬品に用いるmRNA補充療法についての要素技術も得られつつあります。

このように当社は、mRNA標的低分子医薬品事業だけではなく、mRNAを中心としたあらゆる医薬品を創出する多角化による持続的成長を目指しています。

事業安定を支える核酸医薬品のパイプライン候補およびその他プロジェクト

一番重要な技術であるmRNA解析技術そのものは、実は低分子創薬に先立ち、核酸医薬品についての先行研究によって発展しました。その先行研究では、急性腎疾患やALSなどの難病に対する核酸医薬が実際に創出されており、社内のプロジェクトとして物質特許を申請するまでに進行しています。

現在、低分子医薬品の研究によって得られたmRNA解析技術についての知見をフィードバックし、これらの核酸医薬についてあらためて最適化研究を行っているところです。進捗によっては、これらを当社のパイプラインにすることを検討します。

これまでアプローチできなかったODSの顧客層との契約締結を目指す

当社はこうした研究の事業化を進めている一方、直近では欧州の顧客と共同創薬研究を勝ち取ることを課題としています。

その課題を解決するために、当社はすでに技術力に定評のあるフランスのCROであるOncodesign Services(ODS)と事業協力を行っています。

その事業協力の中で、当社はODSが主催するウェビナーにも参加しています。このウェビナーをきっかけに参加者からアプローチがあり、欧州の企業と秘密保持契約の締結に至りました。現在、共同創薬研究契約の締結に向けた交渉等を行っているところです。

このように、欧州での露出を増やしつつ、特にODSの欧州における信用力を借りながら、海外企業との契約締結を目指しているところです。

社会や環境の持続可能性に配慮した経営

当社では、スライドに記載の事柄を通じ、社会や環境の持続可能性に配慮したサステナビリティ経営を行っています。

社会の科学力の持続性に向けた取り組み

それらのうち、科学技術の持続性に向けた取り組みについてご紹介します。国内外のアカデミアとの共同研究に加え、大学やビジネスフォーラム、諸団体での講演などを実施しています。

これらの取り組みにより、当社の創薬技術の向上を図るとともに、日本の科学技術向上を通じた持続可能な社会の実現に貢献することを意図しています。

mRNA標的低分子創薬で希望に満ちたあたたかい社会の実現を

当社は、完成されたモダリティとしての低分子医薬品をさらに大きく拡大していくmRNA標的低分子創薬を中心としたバイオテク企業です。

今後は、国内外へプラットフォーム事業を拡大していき、さらに自社パイプラインの創出を行っていくことにより、ハイブリッド型ビジネスを展開していきます。加えて、mRNA標的低分子創薬にとどまらない、第2・第3の柱も打ち立てていくことになります。それらによりリスクヘッジしつつ、企業価値の最大化を目指します。

長期的には、100年間持続的に成長し、責任を持って医薬品を社会に提供していく製薬会社に変革していくことを目指しています。このような変革を通じ、あらゆる疾患の患者さまが最適な治療を受けられるようにすることで「あたたかい社会の実現」を目指していきます。

今後ともみなさまのご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いします。

質疑応答:新規契約とマイルストーン達成の進捗について

質問者:新規の秘密保持契約の締結、おめでとうございます。今期2件の提携予定の品目はどのような進捗でしょうか? 8月ということもあり、予見性は高まっているかと思います。また、今期予定のマイルストーン達成の進捗は予定どおりで、期ずれなどの影響は考慮する必要はないのでしょうか?

中村:予見性については、お相手の方との機密保持の制約があり、本日時点で開示できる状況にはありませんが、見通しを変更していない以上、現時点で2社との契約締結を目指しています。実際に、複数の会社と契約交渉中です。

マイルストーン達成については、実際の研究等の進捗にも絡んできますので、期ずれや遅延等が生じることもあるかと思います。しかし、全体として整合性のとれた着地点になるのではないかと見込んでいるため、予算に関しても変更していません。

質疑応答:ラクオリア創薬とのマイルストーン収入について

質問者:ラクオリア創薬との関係についてです。マイルストーン契約を結んでいなかったというわけではなく、今回の第2四半期では設定したマイルストーンのところまで到達しなかったため、マイルストーン収入が発生していないということでしょうか?

中村:マイルストーン収入の設定は、多分に任意性があります。特に開発期間のように明確な区切りがありませんので、実は各社とはマイルストーンの設定に関してわりとばらつきがあります。

今回は進捗についてみなさまにお伝えしたいということでラクオリア創薬とお話がつきました。研究の区切りではありますが、お金が発生する契約にはなっていなかったため、マイルストーン収入も発生しなかったということです。

質問者:毎回マイルストーンについて交渉するのではなく、基本的にはすべて設定しているということでしょうか?

中村:もちろん決まっていますが、今回の進捗については、マイルストーンとしてのお金に関する取り決めがありませんでした。

質疑応答:下期の事業収益について

質問者:通期の業績予想を変更していませんが、下期以降に事業収益がだいぶ増える計算になると思います。上期と比べた時の増収分は、マイルストーン収入が大半になるという理解でよいのでしょうか?

中村:マイルストーン収入に加え、新規契約分も含んでいます。

質疑応答:通期の業績目標について

質問者:新規契約に関して2社増えるというお話がありましたが、それが達成される前提で通期の業績目標は作られているのでしょうか?

中村:秘密保持契約の数を開示しているとおり、我々はKPIとしてその数字を利用しています。秘密保持契約を締結後、およそ半分が契約に至っていますので、ゼロ計算というよりは、我々の予想として約半分の企業と契約できるだろうと考えています。したがって、今回の2社との契約についても、ある程度蓋然性が高いと考えて予算に入れています。

質疑応答:損益分岐点の考え方について

質問者:第1四半期と第2四半期累計の決算短信を見ると、事業収益は伸びていますが、赤字幅はほとんど変わっていません。第2四半期の3ヶ月だけで見ると、赤字幅と収支がほぼ同じになる計算になります。したがって、第2四半期の事業収益が損益分岐点に近い規模と考えてよいのでしょうか?

中村:当社は完全に収益モデルが確立されている会社ではありません。大きなマイルストーンや契約一時金等が入ることによって業績がずいぶん左右されます。したがって、現時点で四半期の実績を取り出して損益分岐点の議論を行うのは少しミスリーディングになるではないかと考えています。

質疑応答:今後のIRについて

質問者:「mRNA標的低分子創薬事業は順調に推移している」という力強いお言葉をいただいてはいるものの、やはり年間の予算の半分まで達成していないため、投資家として心配しています。

これは要望になりますが、「順調に推移している」という部分をよりIRで示していただきたいと思っていますので、今後のIRについての考え方を教えてください。

中村:IRについては、昨今の状況の変化等もあり、我々も製薬会社とかなり交渉や討論を重ねながら開示を行っているところです。この上期に適時開示をさせていただいた、武田薬品についての開示もかなり大変でした。我々としてはもちろん投資家のみなさまのご要望や東証の要請以上に応えるべく、開示を進めていきたいと思っています。

一方で、「個人投資家のみなさまを惑わす情報は開示を控えるべき」というご意見もあります。そのバランスについては、関係各所と相談しながら進めていこうと思います。

そのような中で、ラクオリア創薬とは企業規模も近く、我々としては足並みを揃えていけるお相手となりそうです。今回、マイルストーン収入に関わらないかたちではありますが、一歩踏み込んだIRを試みた次第です。

我々としては引き続き、より踏み込んだ適正なIRに注力していこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

質問者:ありがとうございます。今のお言葉をぜひ実践していただけるとうれしいです。

中村:努力してまいります。

中村氏からのご挨拶

中村:今回のハイライトに関して補足説明をさせていただきます。1つ目のmRNA標的低分子創薬事業が順調に推移していることは、武田薬品やラクオリア創薬との進捗からもご理解いただけたかと思います。

しかし、我々としては2つ目についても注目していただきたいと思っています。みなさまのご支援により、幸い上場することができました。我々は、自社パイプラインを作り、ハイブリッド型ビジネスに転換していくことについて、現在急速に取り組んでいるところです。

進めようとしなければいつまでも引きずってしまう部分でもあり、お金が必要となる部分でもあります。ただ、我々はこの部分について非常に投資効率が高く、かつ将来の我々の企業価値が高められるものだと考えているため、特に注力して取り組んでいます。

なかなか表に表れない部分ではありますが、我々としてはハイブリッド型ビジネスへの転換を遅らせることなく邁進していることを、今回あらためてお伝えします。

ありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス
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