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日経平均株価のニュース
明日の株式相場に向けて=エヌビディア躍進と東京市場に潜む悲観
きょう(19日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比88円高の3万8570円と続伸。前日の欧州株市場は全面高となったが、ドイツやフランスなどいずれも1%に満たない上昇率で、とりあえず下げ止まったという格好。また、米国株市場の方もナスダック指数が7連騰で連日の史上最高値更新というと聞こえはいいが、5ポイント高とほぼ横ばいで着地。NYダウも続伸ながら0.1%の上昇にとどまった。モヤモヤ感が拭えないなか、東京市場も怪しい値動きとなった。日経平均は朝方300円を超える上昇をみせる場面はあったが、その後はどうにも上値の重い地合いで、後場取引後半には値を消す展開に。大引けの日経平均は高くなったが、その直前まで前日終値近辺を千鳥足で徘徊した。
米株市場では大手ハイテク株の躍進が目立つ。その筆頭はいうまでもなくエヌビディア<NVDA>で、最高値圏での快進撃が続いている。前日は遂に時価総額でマイクロソフト<MSFT>を抜き去り、世界トップの座に躍り出た。AI用半導体で大脚光を浴びたGPUの独占的サプライヤーとして、業績と株価の躍進ぶりについて今更触れるまでもない。ただ、この天をも切り裂くような先鋭化したチャートは、新たに資金を投入する側からすれば躊躇するのが普通の感覚である。バンジージャンプ並みの思い切りが必要といってもよい。しかし、パフォーマンスで後れを取るわけにいかない機関投資家は、持たざるリスクに背中を押されて資金を投下する。俗に言うFOMO(フォーモ)に洗脳された構図となっている。
中国の古典に「千丈の堤も螻蟻(ろうぎ)の穴をもって潰(つい)ゆ」という言葉がある。どんなに頑丈な堤防であっても、時が来ればそれまで気にも留めなかった“蟻の一穴”が崩壊の端緒となることを言ったものだ。今は一世を風靡するエヌビディアの株価もその瞬間がいずれは訪れる。今、その話を持ち出すのは時期尚早にも思えるが、実はそうでもない可能性がある。東京市場の半導体製造装置大手の最近の株価推移は、エヌビディアをはじめとする米半導体セクターと不自然なくらいにギャップが大きい。特にエヌビディアと収益連動性が高いはずのアドバンテスト<6857.T>の株価の出遅れ感が気になる。
変調なのは半導体関連だけではない。内需株も危険な匂いを漂わせている。インバウンド関連の追い風が強まるなか、ここ最近の日本航空<9201.T>やANAホールディングス<9202.T>など空運、そして東武鉄道<9001.T>、京浜急行電鉄<9006.T>、小田急電鉄<9007.T>など私鉄やJR東日本<9020.T>、JR東海<9022.T>なども合わせ鉄道株の崩れ足も何かを語っている可能性がある。ありていに言えば日本から投資マネーが逃げ出しているようなイメージを想起させ、少なくとも楽観できる局面ではないことを教えている。
当面、個別株戦略は機動的に半身に構えた感じで対処する。リスクヘッジ的な意味合いでは、有配企業でありながら解散価値を大幅に下回る銘柄群の下値を拾う作戦がひとつ。例えば今3月期営業75%増益の40億円予想で大幅増配を計画し、配当利回りが4%あまりに達しているアーレスティ<5852.T>。同社株のPBRは何と0.33倍。解散価値の半値はおろか、3分の1というのはさすがに放置され続ける水準とは思えない。このほか、ここ動意含みの大同信号<6743.T>はPBR0.3倍台。また、同じく上値慕いをみせる大同メタル工業<7245.T>はPBR0.4倍台。もちろん、いずれも有配企業である。
投資テーマでは、エヌビディア関連からひと捻り入れた「サイバー防衛」が旬といえそうだ。生成AI市場の急拡大を背景に、データ改竄(かいざん)や情報漏洩、フェイク動画、ジェイルブレークなどさまざまなリスクが極大化の傾向をたどるなか、セキュリティー関連株への注目度が高まりやすい。FFRIセキュリティ<3692.T>、ラック<3857.T>、サイバートラスト<4498.T>、ソリトンシステムズ<3040.T>などに目を向けておきたい。
あすのスケジュールでは、東京都知事選が告示される(投開票は7月7日)。6月の月例報告、5月の主要コンビニエンスストア売上高が発表されるほか、5年物国債の入札が午前中に行われる。また、この日はPostPrime<198A.T>とWOLVES HAND<194A.T>が東証グロース市場に、タウンズ<197A.T>が東証スタンダード市場に新規上場する。海外では、6月の中国最優遇貸出金利、5月の米住宅着工・許可件数、週間の米新規失業保険申請件数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数などが注目される。また、インドネシア中銀、スイス中銀、ノルウェー中銀などが政策金利を発表する。(銀)
出所:MINKABU PRESS
米株市場では大手ハイテク株の躍進が目立つ。その筆頭はいうまでもなくエヌビディア<NVDA>で、最高値圏での快進撃が続いている。前日は遂に時価総額でマイクロソフト<MSFT>を抜き去り、世界トップの座に躍り出た。AI用半導体で大脚光を浴びたGPUの独占的サプライヤーとして、業績と株価の躍進ぶりについて今更触れるまでもない。ただ、この天をも切り裂くような先鋭化したチャートは、新たに資金を投入する側からすれば躊躇するのが普通の感覚である。バンジージャンプ並みの思い切りが必要といってもよい。しかし、パフォーマンスで後れを取るわけにいかない機関投資家は、持たざるリスクに背中を押されて資金を投下する。俗に言うFOMO(フォーモ)に洗脳された構図となっている。
中国の古典に「千丈の堤も螻蟻(ろうぎ)の穴をもって潰(つい)ゆ」という言葉がある。どんなに頑丈な堤防であっても、時が来ればそれまで気にも留めなかった“蟻の一穴”が崩壊の端緒となることを言ったものだ。今は一世を風靡するエヌビディアの株価もその瞬間がいずれは訪れる。今、その話を持ち出すのは時期尚早にも思えるが、実はそうでもない可能性がある。東京市場の半導体製造装置大手の最近の株価推移は、エヌビディアをはじめとする米半導体セクターと不自然なくらいにギャップが大きい。特にエヌビディアと収益連動性が高いはずのアドバンテスト<6857.T>の株価の出遅れ感が気になる。
変調なのは半導体関連だけではない。内需株も危険な匂いを漂わせている。インバウンド関連の追い風が強まるなか、ここ最近の日本航空<9201.T>やANAホールディングス<9202.T>など空運、そして東武鉄道<9001.T>、京浜急行電鉄<9006.T>、小田急電鉄<9007.T>など私鉄やJR東日本<9020.T>、JR東海<9022.T>なども合わせ鉄道株の崩れ足も何かを語っている可能性がある。ありていに言えば日本から投資マネーが逃げ出しているようなイメージを想起させ、少なくとも楽観できる局面ではないことを教えている。
当面、個別株戦略は機動的に半身に構えた感じで対処する。リスクヘッジ的な意味合いでは、有配企業でありながら解散価値を大幅に下回る銘柄群の下値を拾う作戦がひとつ。例えば今3月期営業75%増益の40億円予想で大幅増配を計画し、配当利回りが4%あまりに達しているアーレスティ<5852.T>。同社株のPBRは何と0.33倍。解散価値の半値はおろか、3分の1というのはさすがに放置され続ける水準とは思えない。このほか、ここ動意含みの大同信号<6743.T>はPBR0.3倍台。また、同じく上値慕いをみせる大同メタル工業<7245.T>はPBR0.4倍台。もちろん、いずれも有配企業である。
投資テーマでは、エヌビディア関連からひと捻り入れた「サイバー防衛」が旬といえそうだ。生成AI市場の急拡大を背景に、データ改竄(かいざん)や情報漏洩、フェイク動画、ジェイルブレークなどさまざまなリスクが極大化の傾向をたどるなか、セキュリティー関連株への注目度が高まりやすい。FFRIセキュリティ<3692.T>、ラック<3857.T>、サイバートラスト<4498.T>、ソリトンシステムズ<3040.T>などに目を向けておきたい。
あすのスケジュールでは、東京都知事選が告示される(投開票は7月7日)。6月の月例報告、5月の主要コンビニエンスストア売上高が発表されるほか、5年物国債の入札が午前中に行われる。また、この日はPostPrime<198A.T>とWOLVES HAND<194A.T>が東証グロース市場に、タウンズ<197A.T>が東証スタンダード市場に新規上場する。海外では、6月の中国最優遇貸出金利、5月の米住宅着工・許可件数、週間の米新規失業保険申請件数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数などが注目される。また、インドネシア中銀、スイス中銀、ノルウェー中銀などが政策金利を発表する。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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