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日経平均株価のニュース
明日の株式相場に向けて=要警戒、“全部売り”状態の東京市場
週明け17日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比712円安の3万8102円と急反落。取引時間中は3万8000円台を下回る場面もあった。前週末を振り返ると、日銀金融政策決定会合は事前の想定通り国債買い入れ減額を決めたとはいえ、想定よりもハト派的な内容であったという見方が強まり、後場に日経平均は頑強な値動きを示した。しかし、安心感が広がったのも束の間、植田和男日銀総裁の記者会見を経て時間差でリスクオフの波が押し寄せる格好となっている。前週末の引け後の日経平均先物の値動きが、週明けの東京市場の軟調展開を予想させたが、実際は大方の想定以上に深押しとなった。
これだけの売りを浴びながら背景が今一つはっきりしない。日銀の政策転換への思惑もあるとはいえ、それだけではなさそうだ。前週末に時計の針を戻すと、まず欧州株市場の動向に目が行く。主要国の株価が全面安に売り込まれたが、そのなかフランスの主要株価指数であるCAC40の下落率が約2.7%に達するなど顕著な下げとなった。ここ数日のフランス市場はまさに「釣瓶(つるべ)落とし」の形容が当てはまる崩れ足となっている。
背景は極右勢力の台頭。今月末から投票が始まるフランスの国民議会選挙(下院)でマリーヌ・ルペン氏率いる極右政党が勝利するパターンとなった場合、フランスのEU離脱の可能性までシナリオとして描かれ、株式市場にとってもリスク回避ムードが意識されざるを得なくなっている。これを受けて市場関係者の間では「欧州系の海外投資家が日本株を合わせ切りしている」(中堅証券ストラテジスト)という見方が示されていた。
11月のビッグイベント米大統領選については「ダブルへイター」、いわゆるどちらも支持したくないという白けた状況が伝わっているが、それでも熱狂的な支持者を有するトランプ氏が優位という見方が強い。トランプ氏が大統領に返り咲くとすれば「欧州と共鳴する形で、これからの世界はナショナリズムの台頭あるいは、グローバリズムの後退が一つの潮流を形成しそうだ」(ネット証券マーケットアナリスト)という。これだけでは一概に株式市場にネガティブとは言い切れないが、米国中心に自国ファーストとなれば世界的な有事リスクが今よりも高まる公算が大きく、そうなると世界景気減速の中でのインフレ再燃という、スタグフレーションの亡霊が再び姿を現す可能性がある。
ECBは前回の会合で利下げを決めたが、FRBはすぐにこれに追随することに躊躇している。また、ECBの継続的な利下げを見込む向きも今のところ少数派だ。インフレの火種がくすぶるなか、利下げが景気減速に追いつかないケースを株式市場は危惧しているようにも見える。とりわけ米国の逆イールドの解消(2年債利回りと10年債利回りの再逆転)のタイミングは注意を要する。それは債券市場のメカニズムとして正常化に向けた動きであっても、福音となるとは限らない。「逆イールド期間の長さやスプレッドの大きさを考えれば、その解消局面が静かに訪れると期待するほどマーケットは楽観的ではない」(ネット証券アナリスト)という。時間軸的にその瞬間は、実勢経済や株式市場にとって非常にリスキーな風景が眼前に広がっている可能性を示唆する。
日銀の国債買い入れ減額は事実上の量的引き締め(QT)といっていいが、会合後の東京市場は頑強な値動きとなった。仮に引け後の植田総裁の記者会見で「思ったよりタカ派っぽい」という認識が広がったにせよ、その指摘には矛盾がある。メガバンクや大手生保の下落トレンドに歯止めがかからないことだ。トヨタ自動車<7203.T>やNTT<9432.T>の下げっぷりに唖然とするだけではなく、足もとでは半導体関連をはじめとするハイテク主力株であろうが、メガバンクであろうが投資資金は退避する一方だ。気が付けば三菱商事<8058.T>など大手商社株もバフェット効果が完全剥落した状態に放置されている。押し目買い好機と買い下がる前に、これらが何を意味するのかに思考を巡らす時間が必要かもしれない。
あすのスケジュールでは、IPOが1社予定されており東証グロース市場にインテグループ<192A.T>が新規上場する。また、この日はトヨタ自動車<7203.T>の株主総会が行われる。海外では5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値、6月の欧州経済研究センター(ZEW)独景気予測指数、ハンガリー中銀、豪中銀の政策金利発表、5月の米小売売上高、5月の米鉱工業生産・設備稼働率、4月の米企業在庫、4月の対米証券投資など。また、米20年国債の入札も予定されている。なお、インドネシア市場は休場。(銀)
出所:MINKABU PRESS
これだけの売りを浴びながら背景が今一つはっきりしない。日銀の政策転換への思惑もあるとはいえ、それだけではなさそうだ。前週末に時計の針を戻すと、まず欧州株市場の動向に目が行く。主要国の株価が全面安に売り込まれたが、そのなかフランスの主要株価指数であるCAC40の下落率が約2.7%に達するなど顕著な下げとなった。ここ数日のフランス市場はまさに「釣瓶(つるべ)落とし」の形容が当てはまる崩れ足となっている。
背景は極右勢力の台頭。今月末から投票が始まるフランスの国民議会選挙(下院)でマリーヌ・ルペン氏率いる極右政党が勝利するパターンとなった場合、フランスのEU離脱の可能性までシナリオとして描かれ、株式市場にとってもリスク回避ムードが意識されざるを得なくなっている。これを受けて市場関係者の間では「欧州系の海外投資家が日本株を合わせ切りしている」(中堅証券ストラテジスト)という見方が示されていた。
11月のビッグイベント米大統領選については「ダブルへイター」、いわゆるどちらも支持したくないという白けた状況が伝わっているが、それでも熱狂的な支持者を有するトランプ氏が優位という見方が強い。トランプ氏が大統領に返り咲くとすれば「欧州と共鳴する形で、これからの世界はナショナリズムの台頭あるいは、グローバリズムの後退が一つの潮流を形成しそうだ」(ネット証券マーケットアナリスト)という。これだけでは一概に株式市場にネガティブとは言い切れないが、米国中心に自国ファーストとなれば世界的な有事リスクが今よりも高まる公算が大きく、そうなると世界景気減速の中でのインフレ再燃という、スタグフレーションの亡霊が再び姿を現す可能性がある。
ECBは前回の会合で利下げを決めたが、FRBはすぐにこれに追随することに躊躇している。また、ECBの継続的な利下げを見込む向きも今のところ少数派だ。インフレの火種がくすぶるなか、利下げが景気減速に追いつかないケースを株式市場は危惧しているようにも見える。とりわけ米国の逆イールドの解消(2年債利回りと10年債利回りの再逆転)のタイミングは注意を要する。それは債券市場のメカニズムとして正常化に向けた動きであっても、福音となるとは限らない。「逆イールド期間の長さやスプレッドの大きさを考えれば、その解消局面が静かに訪れると期待するほどマーケットは楽観的ではない」(ネット証券アナリスト)という。時間軸的にその瞬間は、実勢経済や株式市場にとって非常にリスキーな風景が眼前に広がっている可能性を示唆する。
日銀の国債買い入れ減額は事実上の量的引き締め(QT)といっていいが、会合後の東京市場は頑強な値動きとなった。仮に引け後の植田総裁の記者会見で「思ったよりタカ派っぽい」という認識が広がったにせよ、その指摘には矛盾がある。メガバンクや大手生保の下落トレンドに歯止めがかからないことだ。トヨタ自動車<7203.T>やNTT<9432.T>の下げっぷりに唖然とするだけではなく、足もとでは半導体関連をはじめとするハイテク主力株であろうが、メガバンクであろうが投資資金は退避する一方だ。気が付けば三菱商事<8058.T>など大手商社株もバフェット効果が完全剥落した状態に放置されている。押し目買い好機と買い下がる前に、これらが何を意味するのかに思考を巡らす時間が必要かもしれない。
あすのスケジュールでは、IPOが1社予定されており東証グロース市場にインテグループ<192A.T>が新規上場する。また、この日はトヨタ自動車<7203.T>の株主総会が行われる。海外では5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値、6月の欧州経済研究センター(ZEW)独景気予測指数、ハンガリー中銀、豪中銀の政策金利発表、5月の米小売売上高、5月の米鉱工業生産・設備稼働率、4月の米企業在庫、4月の対米証券投資など。また、米20年国債の入札も予定されている。なお、インドネシア市場は休場。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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