大幅続伸の後受け一服、金融政策決定会合を注視

著者:冨田康夫
投稿:2015/12/17 20:29

明日の東京株式市場見通し

 18日の東京株式市場は、きょうまでの2日間で日経平均株価が合計787円と大幅上昇した反動に加え、週末のポジション調整の売りも想定されることから、日経平均株価は上昇一服となりそうだ。また、市場関係者の関心はあまり高くないものの、市場の一部には日銀の金融政策決定会合での追加緩和に期待する向きもある。

 市場関係からは「きょうは株価指数先物主導の上昇で、一時は心理的フシ目の1万9500円を上回る場面もあったが、後場に入ると利益確定の売りに押され次第に上昇幅を縮小した。上昇波動本格復帰の確率を高めるためには、25日移動平均線(1万9562円=17日)や、200日移動平均線(1万9504円=同)の奪回が必要となる」との見方が出ていた。

17日の動意株

 アイリッジ<3917>=ストップ高。
この日、ビットコイン基盤技術を応用した「プライベート・ブロックチェーン」の開発技術「mijin」を有するフィンテック企業のテックビューロ(大阪市西区)と提携し、「mijin」を使ったフィンテック関連スマートフォン用アプリの共同開発を開始すると発表しており、成長力強化につながるとの見方から買いが集中しているようだ。

 旭ダイヤモンド工業<6140>=続伸。
同社の看板商品である電着ダイヤモンドワイヤ「エコメップ」は、高張力のワイヤに特殊技術でダイヤモンド砥粒を電着した細径の長尺ワイヤで、海外のLED向け需要を取り込み今下期の回復が見込まれている。「17年3月期はこのエコメップの回復が一段と強まる可能性が高く、それを先取りするかたちで中期スタンスの買いが流入しているもよう」(市場関係者)。テクニカル的にも12月早々に13種移動平均線と26週移動平均線のゴールデンクロスが示現しており、上昇トレンドを後押ししている。

 ダイフク<6383>=切り返し急。
全体好地合いに乗ってマドを開けて25日移動平均線を上回ってきた。自動車工場向けなどを主力に搬送システムを手掛けるが、業績は大幅増収増益基調を継続、16年3月期も営業利益段階で前期比31%増の195億円予想と高変化を見込む。北米市場で拡大が続く自動車メーカー向けに更新需要が顕在化しているほか、半導体向けも台湾メーカーの旺盛な設備投資需要も取り込み会社側計画を上回る状況。

 トプコン<7732>=4日ぶり急反発。
建設機械や農機に装着する自動運転装置で高実績を持ち、足もとは停滞しているものの、TPP締結を境とする農業分野の競争力強化をテーマに今後IT農業向けで需要を取り込むことが予想される。コスト低減努力やリストラの進捗もあり、17年3月期も2ケタ増益を予想する声が強い。同社は16日、高速処理を実現した測量用データコレクタを発売すると発表、これも株価を刺激している。

 プロパスト<3236>=ストップ高。
同社は16日、9月25日に資本業務提携したシノケングループ<8909>と共同で民泊プロジェクトを立ち上げると発表。これが材料視されているようだ。シノケングループの連結子会社である小川建設の技術力を最大限に活用するなどして、法令に適合した物件を対象にデザイン力や企画力を生かした付加価値の高いバリューアップ業務を推進する。

 アルファクス・フード・システム<3814>=急反発。
同社は16日取引終了後に、店舗展開企業などの経費削減コンサルティングを手掛けるエキスパート・リンク(東京都品川区)と業務提携したと発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。同社は、サービス拡充と顧客層を広げる事業推進を図るうえでシナジーが期待でき、それぞれが得意とするサービス分野を生かした業務提携を目指すとしている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想