大幅安の反動で買い優勢、きょうの後場下げ渋りに関心

著者:冨田康夫
投稿:2015/12/14 20:18

明日の東京株式市場見通し

 15日の東京株式市場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)を前にして引き続き買い手控え姿勢は強いものの、きょうの大幅反落への反動も想定できることから、買い優勢で日経平均株価は反発となりそうだ。

 市場関係者からは「きょうは、前週末の米株式相場の急反落、外国為替市場での円高・ドル安進行と悪材料が重なったことを受け、日経平均株価は一時前週末比600円を超える下げ幅となった。しかし、後場は下げ幅を縮小して始値近辺まで戻し、“ほぼ十字足”を形成したことで下げ止まり感が出ている」との見方が出ていた。

 14日の日経平均株価終値は、前週末比347円06銭安の1万8883円42銭と急反落でほぼ全面安商状。きょうの東京市場は、世界的な株安連鎖のなかで主力株中心に大幅な下げに見舞われた。

14日の動意株

 ザインエレクトロニクス<6769>=後場に入って切り返す。
同社はきょう、ヒロセ電機<6806>と協力し、来年1月6日から9日まで米ラスベガスで開催される家電見本市「Internatinal CES 2016」で、HDの高解像度に対応した車載サラウンドビューモニター(SVM)システム向け伝送技術を発表することを明らかにした。車載SVMシステムは、自動車などの車体の前後左右に取り付けられたカメラにより撮影された車外の映像を、車体上部から鳥瞰した映像に構成し直す技術。現在、カメラの高解像度化が進んでおり、同社はこれに対応した伝送技術を実証開発した。

 インフォテリア<3853>=後場ストップ高。
同社は前引け後に、クレオネットワークス(東京都港区)、アイ・エス・アイソフトウェアー(大阪市中央区)と共同で、同社のASTERIAシリーズの「ASTERIA WARP(アステリアワープ)」と、クレオネットワークスのクラウド型業務プロセス管理プラットホーム「BIZ PLATFORM(ビズプラットフォーム)」との連携機能を担う専用アダプタ「BIZ PLATFORMアダプタ」の提供を開始すると発表しており、業績への寄与を期待した買いが入っている。

 山陽特殊製鋼<5481>=続伸。
新日鉄住金系の特殊鋼メーカーで原油市況安により原燃料コスト低下の恩恵を受ける。16年3月期は営業利益段階で前期比25.4%増予想と回復が顕著だ。また、同社は11日、メキシコでベアリング用中間製品(素形材)の新工場を設立すると発表しており、これも株価を刺激している。メキシコでは日本や欧米の資本が入ったベアリングメーカーがここ相次いで進出、中長期的にベアリング前工程の現地生産需要の拡大が期待されており、今回の新工場建設で業容拡大に対する期待が高まった。

 東光<6801>=逆行高。
米アップルのiPhoneを中心とするスマートフォン市場の拡大や電装化が進展する自動車向けに付加価値の高いメタル系コイルが収益に寄与し業績は好調だ。そのなか、東海東京調査センターが11日付で同社のレーティングを「ニュートラル」から「アウトパフォーム」に引き上げ目標株価を新たに500円に設定しており、これを好感する買いが優勢となった。

 マルマエ<6264>=一時、前週末比100円ストップ高。
同社は9日に鹿児島大学大学院理工学研究科との共同研究契約を締結すると発表したことをきっかけに、前週末にかけて2日連続ストップ高まで買われた流れを引き継ぐ格好となっている。また、同社は12日に11月度の月次受注残高(速報値)が3億6800万円(前年同月比2.5%増)になったと発表しており、これも買い手掛かりのひとつとなっているようだ。

 フリービット<3843>=大幅続伸。
同社が前週末11日の取引終了後に発表した第2四半期累計(5~10月)連結決算が、売上高133億4400万円(前年同期比26.8%増)、営業利益は8億4400万円(同40.9%増)と大幅営業増益となったことが好感されている。MVNO(仮想移動体通信事業者)向け支援サービス事業やアドテクノロジー事業などが順調に推移した。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想