市場マインド改善で続伸、売買代金減少には警戒感

著者:冨田康夫
投稿:2015/12/07 18:36

明日の東京株式市場見通し

 8日の東京株式市場は、きょう日経平均株価が反発に転じたことや、外国為替市場での円安傾向持続を好感して、売り物薄のなか買い優勢で続伸の推移となりそうだ。

 市場関係者からは「きょうの上昇で、200日移動平均線(1万9471円=7日)割れを回避できたことに加え、25日移動平均線(1万9609円=同)を直ちに上回ってきたことで、深押し懸念が緩和されてきた」との見方が出ていた。

 ただ、きょうの東証1部の売買代金は、6日ぶりに2兆円を下回る1兆8918億円と、10月20日以来約1カ月半ぶりの低水準となった。買い手控え姿勢が根強いことは考慮しておきたい。したがって、海外株式相場や外国為替市場の変動により株価指数先物主導で、現物市場に波乱が及ぶ可能性もある。

 週明け7日の東京株式市場は、朝方から買い優勢のスタート。その後も一段高となり上げ幅が一時300円を超える場面もあった。ただ、後場に入ってじりじりと上昇幅を縮小した。日経平均株価終値は、前週末比193円67銭高の1万9698円15銭と反発した。

7日の動意株

 MRT<6034>=ストップ高。
前週末4日の取引終了後、光通信<9435>およびその子会社で医科歯科の予約・送客システムを運営するアイフラッグと資本・業務提携に関する基本合意書を締結したと発表しており、業績への寄与を期待した買いが入っている。非常勤医師の紹介サイトなどを展開し、医師・看護師などの医療従事者と医療施設との広く強いネットワークを有するMRTと、光通信およびアイフラッグの強みである営業力、販売力、国内トップクラスの予約・送客システムのノウハウを提供し合うことで相乗効果を最大限に生かした事業基盤の強化を図ることが狙い。

 クラウドワークス<3900>=ストップ高。
前週末4日午後に提出された大量保有報告書で、英運用会社のベイリー・ギフォード・アンド・カンパニーが同社株を76万4300株(保有割合5.76%)保有していることが明らかになっており、需給思惑から買いが入っているようだ。なお、保有目的については、投資一任契約に基づく顧客資産による保有としている。

 イーレックス<9517>=急騰。
いちよし経済研究所は4日、同社株のレーティングを新規「A」としフェアバリューを3000円とした。16年4月からの電力小売り全面自由化以降に向けた戦略が具体化しつつあり、業績の拡大基調を予想している。同社は、電力小売り自由化のノウハウを持つ米国電力小売り会社と業務提携し、販売面では阪和興業<8078>グループと提携し、新市場への拡販に向けた布石を打っている。また、電源開発の一環としてPKS(パーム椰子殻)を燃料とするバイオマス発電を土佐発電所で行っており、今後もPKSによる発電を推進する計画であり、中期的な収益貢献を予想している。

 良品計画<7453>=4日ぶり急反発。
2万6000円台を一気に回復し、再び25日移動平均線を上に抜けてきた。「(同社は)2015年3~11月期の連結営業利益が250億円強と前年同期比4割増え、この期間で最高になったもようだ」と5日付の日本経済新聞が報じた。これを好感するかたちで買いを集めている。国内では「無印良品」が店舗改修効果なども出て顧客数の拡大が顕著、中国などアジアで展開する「MUJI」ブランドも好調で業績を牽引している。

 エイチ・アイ・エス<9603>=大幅高。
同社は4日取引終了後、16年10月期の連結業績予想を発表した。売上高は5900億円(前期比9.8%増)、営業利益は228億円(同14.2%増)、最終利益は123億円(同12.9%増)を見込んでいる。前期の大幅増益に続き、営業利益、最終利益ともに2ケタ増益を達成し最高利益更新が続く見通し。国内旅行事業はインバウンド効果などの後押しで伸びが続く。ハウステンボスも積極的に集客に向けた戦略を推し進め、一段と需要を取り込む構えにあり、好調な業績を改めて評価する買いを誘っている。

 丸千代山岡家<3399>=急反発。
前週末4日の取引終了後、従来、6円67銭を予定していた16年1月期の期末一括配当について、普通配当を10円に引き上げるとともに上場10周年を記念して4円の記念配当を行い、14円(前期20円、ただし11月1日付で1対3株の株式分割を実施)にすると発表しており、株主還元重視の姿勢を評価した買いが入っている。また、同時に発表した第3四半期累計(2~10月)単独決算は、売上高72億9000万円(前年同期比10.7%増)、営業利益3億5500万円(同2.8倍)だった。5店舗の新規出店を行ったほか、期間限定メニューの定期的実施やメールマガジンを中心としたモバイルコンテンツを活用した販売促進策などが寄与。また、引き続き厳格なロス管理を行っていることも利益増に貢献した。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想