手掛かり不足で続落、重要イベント控えで慎重

著者:冨田康夫
投稿:2015/11/30 21:59

明日の東京株式市場見通し

 1日の東京株式市場は名実ともに師走相場を迎えるが、買い手掛かり材料不足の地合いのなかで手控えムードが続き、日経平均株価は続落となりそうだ。

 市場関係者からは「先週後半に日経平均株価が2万円を目前にしながら、大台回復を達成できなかったことで、参加者の心理がやや弱気に傾いているようだ」との見方が出ていた。

 また、今週は現地3日に開催される欧州中央銀行(ECB)理事会で、ドラギ総裁の量的緩和に向けての姿勢が注目されるなど、重要なイベントが相次ぐことから、投資家は慎重な投資姿勢で臨まざるを得ない。

 週明け30日の東京株式市場は、主力株中心に買い手控えられ、全般は下値模索の動きとなった。ただ、小型材料株を中心に個別物色意欲は旺盛で、大幅高する銘柄が目立った。日経平均株価終値は、前週末比136円47銭安の1万9747円47銭と続落した。

30日の動意株

 レオン自動機<6272>=大幅高で年初来高値を更新。
製パン機メーカーで高い商品技術力に定評があり、好業績を背景に11月初旬に上放れてから一貫した上昇波を形成している。長期波動でも2014年1月につけた高値818円を払拭し1996年12月以来約19年ぶりの高値圏に突入している。15年4~9月期の連結売上高は129億500万円(前年同期比16.5%増)、営業利益は17億4300万円(同2.1倍)と高変化を示した。食品加工機が国内コンビニ業界向けや海外では米国向けに伸びて収益を押し上げている。また、食品製造販売事業では米国でのオレンジベーカリーでは、バタークロワッサンの販売が好調で業績に寄与している。

 シンデン・ハイテックス<3131>=一時ストップ高。
米アップルから18年に発売する「iPhone(アイフォーン)」に有機ELパネルを採用する方針や、韓国LGディスプレーがスマートフォン向けに中小型有機ELパネルの新工場を建設すると伝えられたことを受けて、LGディスプレーや同じく韓国のSKハイニクス製品を扱う電子部品商社の同社にも商機拡大の期待感が強まっているようだ。

 ジオマテック<6907>=後場一時ストップ高。
きょう付の日刊工業新聞で「ジャパンディスプレイ(JDI)は、スマートフォン向け有機ELパネルの量産を2018年春に始める」と報じられたことを受けて、主な取引先にジャパンディスプレイ<6740>があり、また有機EL向け有機薄膜素子を開発している同社に思惑的な買いが入っているようだ。同社の有機薄膜素子は光透過性に優れているほか、電極層としても利用できるのが特徴としており、JDIの有機EL量産化による需要増が期待されている。

 タカキタ<6325>=ストップ高。
前週末27日の取引終了後、東京証券取引所および名古屋証券取引所の承認を受けて、12月4日付で東証・名証2部から東証・名証1部市場に指定されることになったと発表しており、TOPIX連動ファンドなどによる買い需要を先取るする格好で買われている。同社は飼料作物の収穫・調製用作業機械の製造・販売が主な事業で、新幹線用車軸や風力発電向け軸受けなども展開。16年3月期単独業績予想は売上高62億9300万円(前期比6.5%増)、経常利益5億6300万円(同7.8%増)を見込んでいる。

 倉元製作所<5216>=一時、ストップ高。
米アップルがiPhoneの表示装置用に有機ELパネルを採用すると報道されたことや、これに絡んで韓国LGが有機ELパネルを大増産するための巨額投資に動くことなどが伝わるなかで、関連銘柄への物色人気も波状的に続いている。同社は有機EL向けに低抵抗で透過率が高いITO(酸化インジウムスズ)膜などを手掛け、関連有力株として投機資金が集結する格好となっている。

 石川県を地盤とする老舗百貨店の大和<8247>=大幅反発。
前週末27日の取引終了後、16年2月期の連結業績見通しについて、純利益を従来予想の3億円から11億5000万円(前期比7.0%増)へ上方修正したことが好感されている。保有する投資有価証券の一部を売却したことで投資有価証券売却益9億1700万円を特別利益として計上したことなどが要因。なお、売上高は495億円(同0.3%増)、営業利益は8億8000万円(同0.5%増)の従来予想を据え置いている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想