地政学リスクを警戒、売買エネルギー不足懸念

著者:冨田康夫
投稿:2015/11/25 19:30

明日の東京株式市場見通し

 26日の東京株式市場は、地政学リスクに対する警戒感が続くことに加え、外国為替市場での円高・ドル安進行を受けて自動車、電機、機械など輸出関連の主力銘柄の売りも予想されるため、日経平均株価は続落となりそうだ。

 トルコ軍によるロシア軍機の撃墜や、チュニジアの大統領警護隊のバスを狙ったテロ事件の発生など、地政学リスクの高まりへの警戒感から運用リスクを回避する投資姿勢が強まりそうだ。ただ、「一億総活躍社会」実現への緊急対策取りまとめには一定の期待感はある。

 市場関係者からは「このところの上昇は、外国人の積極買いが牽引してきただけに、感謝祭の祝日で26日の米株式市場が休場になることは不安材料。東証1部の売買代金が減少傾向にあり、売買エネルギー不足が懸念される」との見方が出ていた。

 25日の東京株式市場は、前日までの上昇の反動もあって利益確定の売りが先行した。ただ、下値では押し目買いが入り下げ幅は限定的にとどまった。日経平均株価は、前日比77円31銭安の1万9847円58銭と6日ぶり反落した。東証1部の売買代金は2兆1891億円と減少傾向に拍車が掛かっている。

25日の動意株

 菊池製作所<3444>=急騰し一時ストップ高。
ここ個人投資家資金の市場回帰が鮮明で特に値動きの大きい新興市場銘柄に物色の矛先が向かっている。国内ネット証券大手では「ここ個人の資金の回転が効いており、店内をみると直近の信用評価損益率が8月18日以来の水準まで回復している。これは中国リスクで全体相場が急落した前の段階で、値動きの大きい銘柄で出遅れているものに資金が集中しやすい傾向があり、同社はその典型」としている。同社については「子会社が電源を必要としないマッスルスーツを開発したことが伝えられ、これが材料視されたかたちだが、それ以上に新興市場全体の需給関係の改善が大きい」との指摘が出ている。

 アライドアーキテクツ<6081>=後場に入って急動意。
同社はきょう、アパレルITベンチャーのIROYA(東京都渋谷区)と資本業務提携したと発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。IROYAは、「色」をコンセプトにしたEコマースサイト&セレクトショップ「IROZA」などを展開している企業。両社は提携により、アパレル市場向けのマーケティング支援プラットフォームの構築・展開を推進していく。

 ベリサーブ<3724>=続伸。
前日に20%高の急騰をみせたが、きょうもその余勢を駆って新値追い。システム開発および製品開発時におけるテスト実行の自動化を支援するサービスを開始したと発表し、これが短期資金攻勢の足掛かりとなった。また、自動運転車分野では実走行時の走行分析データ収集解析のサービス「VSAS(バーサス)」の提供で関連有力株としてマークされている。

 オンコリスバイオファーマ<4588>=ストップ高。
同社は24日の取引終了後、15年12月期の単体業績予想の修正を発表。売上高を従来予想の1億500万円から1億1800万円(前期比4.2倍)へ、営業損益を16億200万円の赤字から10億6400万円の赤字(前期8億2700万円の赤字)へ、最終損益を15億1200万円の赤字から9億6800万円の赤字(同7億3800万円の赤字)へ修正、赤字幅が縮小することが好感されている。ペンシルベニア大と同大学元教授などによる研究開発成果の商業化を目的に設立された米国Liquid Biotech社との間で、がん検査薬OBP―401(テロメスキャン)のライセンス契約と北米での事業展開に関する業務提携を同時に発表しており、契約締結による受取契約一時金が発生。これに加えて各種経費の見直しや再配分などの取り組みが奏功している。

 アンドール<4640>=ストップ高。
24日の取引終了後、Windows10対応の機械系汎用CADソフト「EASY DRAW(イージードロー)Ver.20」を28日から販売すると発表しており、新製品による業績への寄与を期待した買いが入っているようだ。「EASY DRAW」は、1994年に最初のバージョンを発売以来、プロフェッショナル仕様の本格CADが初心者でも簡単に操作できるソフトとして、幅広い層に支持されているロングセラー製品。

 Jストリーム<4308>=ストップ高。
24日の取引終了後、企業がテープで保管している決算報告会や社内イベントなどの映像をデジタル化し、動画配信プラットフォーム「J-Stream Equipmedia」にアップロードする「映像資産デジタル化パック」の提供を開始したと発表しており、業績への寄与を期待した買いが入っている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想