売り姿勢に傾き反落、金融政策決定会合を注視

著者:冨田康夫
投稿:2015/11/18 19:15

明日の東京株式市場見通し

 19日の東京株式市場は、日銀の金融政策決定会合の内容によって左右されることになりそうだ。一部に追加緩和観測はあるものの、市場関係者の多くは「現状維持」と予想しているようだ。それでも、緩和期待が不発に終わると売り姿勢に傾く可能性もある。

 ただ、きょう約3カ月ぶりに日経平均株価が一時1万9800円台乗せまで上昇したあと、後場に入って200円近くも下落したことを考慮すると、時価水準から判断してあすの大幅反落は避けられそうだ。

 市場関係者からは「きょうの終値で、日経平均株価の75日移動平均線(1万8922円)を25日移動平均線(1万8961円)が下から上に抜けるゴールデンクロス(GC)を達成しており、先高期待感が高まっていることは確か」との見方が出ていた。

 18日の東京株式市場は、朝方買い先行も、前場後半を境に一貫して上昇幅を縮小し、 日経平均株価終値は、前日比18円55銭高の1万9649円18銭と小幅続伸にとどまった。TOPIXも含め全体指数はプラス圏で着地したものの、値下がり銘柄数は980と値上がり銘柄の797を上回った。

18日の動意株

 イソライト工業<5358>=急伸。
ここにきて、「個人投資家の個別株物色の動きが再燃している。物色対象は直近IPO人気に沸く新興市場と、1部では値幅取り効率の良い低位株に矛先が向かっている」(国内準大手証券)という。そのなか、セラミックファイバー最大手の同社は半導体装置向けなどの高水準の需要を取り込み、15年4~9月期は本業の儲けを示す営業利益が前期比48%増の6億3900万円と高変化をみせており、PBR0.7倍台、PER10倍未満と株価指標面でも水準訂正余地を示唆している。

 アエリア<3758>=後場一段高。
午後0時15分ごろ、連結子会社リベル・エンタテインメントが運営する恋愛リズムアドベンチャー「アイ★チュウ」について、TOKYO MXの深夜アニメ放送枠中心にテレビCMを100本放送すると発表しており、テレビCM効果によるユーザー拡大に期待した買いが入っているようだ。「アイ★チュウ」は、プレイヤーが教師兼プロデューサーとなり、アイドルの卵アイチュウを一人前のアイドルに育成する恋愛リズムアドベンチャーゲーム。Android版は6月26日、iOS版は7月3日からサービスを開始しており、10月20日には累計ダウンロード数が40万ダウンロードを突破している。

 大日本塗料<4611>=急動意。
日経平均が2万円大台をうかがう強調相場にあって、低位株への物色人気が波及している。同社は建材や重防食など総合塗料メーカーで、構造物分野の出荷が会社側想定以上に好調ななか、利益率の高い高付加価値製品が収益を牽引、ナフサ価格下落に伴う採算改善も手伝い、16年3月期は営業利益段階で54億5000万円と期初予想を5億円強上方修正している。PERも9倍近辺と割安感が強い。11月に入り190円近辺で強弱拮抗していたが、きょうは寄り後に大口の買いが流入し株高に火をつけたかたちだ。

 ロックオン<3690>=急伸。
同社は17日、ビッグデータや人工知能、IoTを活用し、リアル領域を含めたマーケティングを支援する「マーケティング ロボット カンパニー」として今後、事業を推進していくことを改めて発表。これが期待材料となっているようだ。 同社はこれまでデジタルマーケティングおよびEコマースの2つの成長分野で事業を展開してきたが、今後はネットを中心とした「マーケティング オートメーション カンパニー」からリアルとネットを融合した「企業と顧客のコミュニケーションの円滑化(自動化・効率化)」を支援する事業を展開していくという。

 イオンモール<8905>=大幅続伸。
同社は17日の取引終了後に自社株買いを発表しており、これを好感した買いが入っている。上限を340万株(発行済み株式数の1.49%)、または60億円としており、取得期間は12月1日から来年1月15日まで。同時に、簡易株式交換によりダイエー100%子会社のOPA(東京都江東区)の完全子会社を発表しており、今回の自社株取得はOPA株主への交付(47億2600万円)および株主還元を主な目的としているという。これにより、来年3月には国内最大級の都市型ファッションビル・ディベロッパー企業が誕生することになり、業容拡大への期待も高まっているようだ。

 ユニオンツール<6278>=大幅高。
きょう付の日本経済新聞で、「2018年12月期まで、自社株買いと配当を合わせて純利益額の100%以上を株主還元に充てる」と報じられており、これを好感した買いが先行している。記事によると、配当が純利益の約25%、自社株買いが約75%で、取得した自社株は原則として消却するという。自己資本比率の高さから積極的な株主還元が求められていただけに、株主重視の姿勢が好感されているようだ。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想