米中緊張が尾を引き続落、買い材料難解消せず

著者:冨田康夫
投稿:2015/10/27 20:51

明日の東京株式市場見通し

 28日の東京株式市場は、引き続き買い手掛かり材料の不足する地合いとなることが予想され、買い物薄のなか売り優勢の推移となりそうだ。

 27日午前に、中国が主権を主張する南シナ海・南沙(英語名スプラトリー)諸島の人工島から12カイリ(約22キロ)以内の海域に米海軍がイージス駆逐艦を進入させ哨戒活動に入ったと伝えられたことで、南シナ海全域の軍事的緊張が一気に高まった。あすもこの米中関係の緊張が相場に影響を及ぼす懸念がある。

 27日の東京株式市場は、朝方は売り買い交錯で始まったものの、その後は上値が重く前場後半から下値を模索する動きとなり日経平均株価終値は、前日比170円08銭安の1万8777円04銭と3日ぶりに反落した。中国景気の減速が日本企業の決算に与える影響を懸念した前倒し的な売りに加え、南シナ海での米中関係緊迫化や、外国為替市場での円高・ドル安進行も売り材料となった。

27日の動意株

 新日鉄住金ソリューションズ<2327>=後場大幅高でプラス展開。
同社はきょう午前11時30分に、16年3月期通期の連結業績予想修正を発表。営業利益は従来の173億円から206億円(前期比27.1%増)に引き上げた。売上高も2110億円から2220億円(同7.6%増)に増額修正。業務ソリューション事業の堅調さなどから、第2四半期累計(4~9月)が増収増益となったことを受けて見直した。

 ディー・ディー・エス<3782>=後場ストップ高。
同社はきょう、世界初となるウエアラブル指紋認証機器「マガタマ」を発表。11月末から出荷を開始するとしており、今後の展開が期待されているようだ。マガタマは、さまざまなWeb端末にかざすだけでIDやパスワード入力ができる製品。決済や鍵の必要な場面での利用などが想定される。

 サトーホールディングス<6287>=3日続伸。
27日、日本経済新聞が「同社はデジタル印刷技術をもつ英データレースの株式を30%取得した」と報じており、これが買い人気を助長しているもよう。「英社が持つレーザーを当てると発色して高画質な印刷ができる顔料をアジア・オセアニア地域で独占販売し、2020年に売上高200億円まで育てる」と伝えており、同報道について会社側では否定せず「数日内にリリースを出す予定」としている。同社の15年3月期の売上高は998億円で、同事業200億円規模の売り上げの上乗せは非常にインパクトが大きい。

 寿スピリッツ<2222>=急騰。
同社は北海道の「ルタオ」ブランドなどを中心に地域ブランド菓子を展開する菓子製造販売会社で、訪日観光客の急増が追い風となっている。26日取引終了後に、16年3月期の連結業績予想の修正を発表、営業利益を21億5000万円から26億7500万円(同31.6%増)へ、最終利益を13億9000万円から18億7000万円(同43.4%増)へそれぞれ大幅に増額しており、インバウンド需要の恩恵を裏付けた。首都圏エリアでの展開強化や主力商品の拡販など積極的な事業施策が奏功したほか、利益面では製造採算の改善や経費の効率化も寄与している。

 駅探<3646>=急伸。
同社は26日取引終了後に、16年3月期第2四半期累計(4~9月)の単独業績予想修正を発表。営業利益を従来の1億9300万円から2億7500万円(前年同期比16.0%増)と、一転して増益となることが好感されているようだ。売上高も13億8200万円から14億4500万円(同5.8%増)に増額修正。有料会員サービスの月額収入が堅調に推移していることや、広告ならびにトラベル事業の売り上げが拡大していることなどが収益を押し上げる。なお、通期業績見通しは従来計画を据え置いている。

 ブランジスタ<6176>=ストップ高。
きょう付の日本経済新聞で、「27日に全額出資子会社を設立し、スマートフォン(スマホ)向けを中心とするオンラインゲームを開発する」と報じられており、これを好材料視した買いが入っている。記事によると、第1弾として作詞家の秋元康氏を総合プロデューサーとして制作陣に迎え、「AKB48」に関連したゲームを2016年半ばをメドに投入する見通しとしており、人気化への期待が高まっているもよう。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想