「軸は上向き、日銀への期待感だけで上昇か」

著者:黒岩泰
投稿:2015/10/23 20:48

「買い方はイケイケドンドン」

 本日の日経平均は389.43円高の18825.30円で取引を終了した。ECBドラギ総裁の「12月緩和発言」を受けて大幅高スタートとなったものの、買い一巡後は上値の重い展開。膠着感の強い一日となった。ドラギ発言を受けて、来週の日銀緩和への期待も高まることになり、金融、不動産などの“日銀銘柄”に積極的な買いが入る展開。全体相場を押し上げた。ただ、週末ということもあり、株価の上値はかなり重かった。

 日経平均の日足チャートでは、窓を空けて上昇。前日の上ひげを一気に突破しており、相場の強さを物語っている。軸は完全に上向きであり、かなりの上昇余地が残る形となっている。目先は上方の大きな窓(19192.82円-19435.83円)を目指す展開が予想され、短期的には610円程度の上値余地があるだろう。急激な株価上昇が期待できるということになる。

 ただ、本日はローソク足で上ひげが出現したことで、下方の窓(18579.14円-18746.61円)を埋めやすい状態にある。上昇相場が続いていたとしても、短期的には240円程度の下落余地があり、ここまでは「調整の範囲内」と考えたい。

 東京株式相場は、真空地帯を駆け上がる展開となりそうだ。来週は日米金融政策という重要イベントを控えているものの、先行して欧州が金融緩和へと舵を切った。「日銀も続け」という雰囲気が醸成されており、目先は「期待感のみ」で株価が上昇しそうだ。

 もちろん、日銀が切れるカードは限られている。国債買い増し、ETF・REITの増額、付利撤廃などなど。この程度は市場も織り込み済みである。あとは、物価上昇率2%というインフレターゲットに加えて何をやるのか。一部では先日、安倍首相が掲げた「2020年までにGDP600兆円」を日銀が担保するのではないか、という見方も出ており、「新手」に注目が集まっている。
 当然、日銀は「通貨・物価の番人」であることから、GDPに言及することは「畑違い」である。それでも「黒田バズーカ3」が期待されている今、「ETF・REITの増額」だけでは、マーケットは失望売り一色となってしまう。今後は日銀が一歩前に踏み出せるかが最大の焦点となりそうだ。

 こうなってくると売り方は完全に撤退である。日経平均でいえば、上段の窓上限(20033.29円)までの上昇余地があるのだから、そんなリスクをとれるわけがない。チャートが強気転換した銘柄から順次外していくしかなく、最低限のポジションまで落とすしかないだろう。

 一方、買い方はイケイケドンドンである。上値余地が一気に広がったことで、基本的には何を買っても儲かる状態にある。よほどの癖のある銘柄以外は、一定の成果が見込めそう。主力株を中心に、積極的にポジションを積み上げる局面だ。銀行、証券、不動産などのベータ値の高い銘柄(指数感応度の高い銘柄)であれば、効率の良い投資ができそうだ。あくまでも「上昇」を前提にするのであれば、そういうことになる。
黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想