10月末~11月中旬は空売りを意識して!

著者:堀篤
投稿:2015/10/13 19:44

今年後半戦、最初の山場が終わろうとしている。

日経平均株価は、前々回のコラムで示唆したうち、3つ目のシナリオに向かった。
すなわち、日経225のチャートは、逆三尊にもダブルボトムにもならず、17000円程度まで下落したのだ。
そのあと戻りに入ったが、17000円を一度割る動きをしたことで、年末までの間にもう一度、大きな調整が来る可能性が高くなっている。

①「ボーナスステージ」は終了

前々回のレポートで指摘した通り、日本郵政など「郵政三社」の仮条件が決まり、かつ、懸念の上海市場が国慶節の休場となる10月7日までの間の「ボーナスステージ」では、日経平均株価は、予定通り、上昇した。
17000円近辺からのスタートとなった相場は、10月7日終値の18322円までで約1400円、8%強の上昇を達成した(その後先週末の9日には18438円)。
国連総会なども重なったこの期間、原油価格も戻り、WTIは50ドルを一時回復している。

しかし、これら日程的なボーナスステージは終了した。

9月中の下落が、逆三尊、もしくはダブルボトムを形成するパターンであれば、戻りも19000以上が想定できたはずだったが、17000円割れまでいった下落後のボーナスステージでは、これでも「よくやった」と言わざるを得ないだろう。

②11月前半の不確定要素が怖くなる

しかし、機関投資家の一定のコンセンサスは、「11月前半の乱」にある。
11月4日に予定される「郵政3社」の上場は、1兆円以上の資金を株式市場から吸い上げる。
このことは、市場にとっては需給面での大きな悪材料だ。
もちろん、そんなことは百も承知の政府・日銀は、公的資金を使い、一定の策をうってくる可能性はある。しかし、仮条件の決定やブックビルディングへの興味に比べ、上場後の市場の安定、ということに「緊急性」はない。
二つ目の懸念点は、3月決算企業の2Q決算が発表される10月末から11月15日にかけて、業績予想の下方修正が続く可能性があることだ。
4月の期初に比べ、中国経済の弱さは明らかに増している。
したがって、中国・東南アジアでの活動が業績に大きく影響する企業は、早目に通期の業績予想を下方修正してくるかもしれない。
一部に言われるように、中国経済の後退が欧米にまで大きく影響しているようだと、その傾向はかなり大きくなる。中国依存度が強いドイツが難民問題やVWで揺さぶられていることは、非常に不安感を感じさせる。

最後は、更なる中国経済リスクだ。原油価格が戻ってきている、ということは、中国系ファンドにとって、またしても「売る余裕ができてきた」ということだ。彼らは、中国経済に異変を感じさせる政府発表が行われるときに、上海市場での株式売却を制限される可能性が高い。しかし、上海市場と連動性が高いといわれる資源価格先物を売却することでそのリスクを補うことはできるのだ。
つまり中国当局にとっては、今なら経済のバッドニュースを出しても、投資家を上海市場の下落を「ヘッジさせる」ことができる。
中国経済に、いまやリスクのあるニュースは山のようにある。

③10月末から11月半ばは空売りを併用した運用で

まとめていえば、10月末から11月半ばにかけて、市場は苦しみながら結局下がる、という展開をしやすくなるのではないか。
その後年末にかけて戻る相場展開は十分に考えられるが、17000円、というわかりやすい底値を9月末に経験した市場は、18000円近辺では「売り」を仕掛けやすい。

だとすると、個人投資家でも「空売り」を活用した運用に成果が期待できるのではないだろうか。

業績予想下方修正や達成率が弱い銘柄を空売りする戦略
業績予想の下方修正を発表した銘柄の類似銘柄などを空売りする戦略、
比較的予想しやすい日経225先物の空売り
日経平均採用銘柄の空売り
中国経済の影響を受けやすい銘柄の空売り

これらの戦略を実行できるだけの練習・準備をしておくのが、この局面で投資効率を上げることになるだろう。
堀篤
日本マネジコ、東京スコットマネジメント代表取締役
配信元: 達人の予想