まだまだ物色材料アリ。10月買うならバイオ株。

著者:本村健
投稿:2015/10/07 19:18

ノーベル医学賞の日本人受賞で、注目されるバイオ株

10月5日に行われたノーベル医学賞の発表では、見事に日本人の受賞が決定し、北里大学特別栄誉教授の大村智博士が選ばれた。

アフリカを中心とした多くの人々を救う“奇跡の薬”「イベルメクチン」の元となる化合物を発見したことが評価されたわけだが、同氏は共同研究を行った米国の製薬会社メルク社や、WHOを通じて延べ10億人以上にイベルメクチンを無償提供することに同意し、その部分についての特許権を放棄するなど、その人間性においても話題となっている。

さて、今回の受賞によりバイオ関連の銘柄は、当然ながら注目を集めているわけだが。

中でも目立って上昇したのが(4572)カルナバイオサイエンスであろう。同社は、マラリアの治療薬などで北里大学と共同研究を行っており、関連株として人気化し、ノーベル賞発表翌日の取引で18%ほど上昇した。

元々、10月はバイオ株が上がりやすい傾向にある。
春と秋は医薬学会のシーズンであり、中でも10月はノーベル賞の発表が行われるため物色が進みやすいのだ。

加えて、毎年10月中旬にはアジア最大級のバイオのパートナリングイベント「Bio Japan」が開催される。
1万人以上が来場し、多数の企業がバイオ産業の最先端技術の発表を行うので、市場にとっては材料を得る絶好の機会となるのであろう。

■再び注目を集める「再生医療」関連

現在、特に関心を集めているのがiPS細胞を用いた「再生医療」

安倍政権においても、再生医療を成長戦略の一つとして位置付けており、再生医療製品の審査期間の大幅な短縮を行うなど、実際に普及に向けた施策が打ち出されている。

先月18日には(4543)テルモの心不全治療向け再生医療製品「ハートシート」が、厚生労働省より異例の早さで認可を受け、その他にも、理化学研究所がiPS細胞から作った目の網膜組織を移植する手術から1年経過したことを受けて記者会見を開き、健康上の異常が見られないことを発表するなど、業界内で動きが見られている。

iPS細胞を用いた再生医療の分野は応用範囲が広く、可能性は未知数。
理論的には人間を形成するすべての細胞や組織の再生が可能となるので、従来の治療と異なり、部位そのものを取り替えるという治療行為の根本から変える技術に投資家の多くは夢を抱いている。

これは再生医療だけでなく、創薬ベンチャー全般に言えることであろう。
医療という可能性が未知数な製品を取り扱うからこそ、バイオ株の天井は読めず、投資する人間が後を立たないのだと考えている。

本日までに日経平均は6日続伸。市場が活況づいたことで個人の売買も増えており、バイオ株のような値動きの軽いものに関心が集まりやすい。

改めて再生医療関連の銘柄を洗い直して見てはいかがだろうか。
本村健
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想