10月の「黒田バズーカ」機運が高まる

著者:小野山功
投稿:2015/09/28 20:10

~ 小野山功が見通す「今週の株価材料」 ~

★【2013年4月以来の前年比マイナス】物価下落が10月の「黒田バズーカ」機運が高まる要因に

日経平均株価はまたしても18000円を割り込みました。25日は300円高と反発しましたが、前日までの2営業日で860円ほど下落していたことを考えると物足りない印象です。

東証1部の騰落レシオ(25日)が24日時点で64.5と、アベノミクス相場始まって以来の最低水準を更新しました。(80を割り込むと売られすぎ)

■「秋の臨時国会」見送りに、総理発言は好感されず

通常国会は安保法制など重要法案が成立したことで、25日で事実上閉幕しました。臨時国会も今年は開催されない見通しの為、政府による政策面への期待感は高まっていません。

安倍総理は24日に、総裁再選が正式に決定したことを受けて記者会見し、「国内総生産600兆円の達成」などを表明しました。

しかし、通常国会は来年1月半ばまで開かれませんので、それまでは動きがあるわけではないとして、株式市場では好感されることはありませんでした。

一方、今週にわかに日銀による追加金融緩和への思惑を集めました。9月25日に安倍総理と黒田日銀総裁が会談し、経済情勢について意見交換を行った為です。

安倍総理と黒田総裁は定期的に意見交換を行っているため、会談=緩和とはなりませんが、物価が2年4ヶ月ぶりに下落に転じたことが分かった後だっただけに、いよいよ日銀が重い腰を上げるのではとの見方が広がりました。

■10月の「黒田バズーカ」に期待の声が高まる

25日に発表された8月の消費者物価指数は、前年同期を0.1%下回りマイナスとなりました。物価が前年比マイナスに落ち込むのは2013年4月以来、2年4ヶ月ぶりです。

2013年4月と言えば、就任間もない黒田日銀総裁が「量的・質的金融緩和」の実施を決めた時期です。

物価がマイナスに落ち込むのは、大規模な金融緩和を決定して以来初めてですので、今回の会談では物価が最大のテーマになったものとみられます。

日銀の金融政策決定会合は、10月6日(火)、7日(水)の日程で開催されます。

日銀が『消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するため』の量的・質的金融緩和を決定してまもなく2年半。

物価がいよいよマイナスに転じたことで、追加緩和を求める声が一層高まりそうです。

小野山 功
小野山功
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想