上昇軌道復帰へ値固め、下げ止まり機運浮上

著者:冨田康夫
投稿:2015/09/26 14:06

来週の株式相場見通し

 来週(28日~10月2日)の東京株式市場は、下値固めから上昇軌道復帰を模索する展開となりそうだ。日経平均株価の想定レンジは、1万7400~1万8400円とする。

 今週は、大型連休中に表面化した独フォルクスワーゲンのディーゼル車排ガス不正問題の世界経済へのマイナス影響や、中国経済の減速懸念などを嫌気して24日に急落したものの、きょうは9月末の配当権利付き最終日に伴う権利取りの買いがきっかけとなり、押し目買いに拍車が掛かった。

 市場関係者からは「きょう300円高を超える反発をみせたことで、一応下げ止まり機運が出てきた。ただ、外部懸念は払拭されておらず不安定さは残る」との見方が出ていた。国内では1日に発表される日銀短観9月調査に関心が集まる。海外では、1日の中国9月の製造業PMIの内容が注目だが、中国株式市場は1~7日まで国慶節で休場となる。また、2日の米9月の雇用統計発表を前に週後半は、見送りムードが強まりそうだ。

 日程面では、8月の鉱工業生産、8月の商業動態統計(30日)、日銀短観9月調査、スポーツ庁発足、国勢調査実施(1日)、8月の家計調査、9月のマネタリーベース(2日)に注目。
海外では、米8月の個人所得・個人支出(28日)、米7月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(29日)、米9月のADP雇用統計(30日)、中国9月の製造業PMI、米9月のISM製造業景況指数(1日)、米9月の雇用統計(2日)が焦点となる。

<動意株・25日>=メディネット、ヤクルト、東急不HDなど

 メディネット<2370.T>=後場急伸。同社は正午ごろに、iPS細胞を用いた免疫細胞治療の共同開発について東京大学と基本合意したと発表しており、今後の事業展開への期待感から買いが入っている。今回の基本合意に基づき、メディネットは東京大学医科学研究所・幹細胞治療研究センター幹細胞治療分野・中内啓光教授と、iPS細胞を用いた免疫細胞治療(CTL)の新規治療技術の開発を行うとしており、iPS細胞の特性を生かして若返らせて再生されたCTLを用いるという、これまでとは全く異なった免疫細胞治療の開発への期待が高まっているようだ。なお、15年9月期業績に与える影響は軽微としている。

 ヤクルト本社<2267.T>=後場一段高。同社は24日、炎症性腸疾患などに関与する免疫細胞の誘導メカニズムを解明したことを発表した。これは同社の梅﨑良則特別研究員と慶應義塾大学医学部の本田賢也教授らを中心とする共同研究グループが感染症への抵抗性、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)や、自己免疫疾患の病態形成に密接に関わっている免疫細胞であるTh17細胞が腸内細菌によって誘導されるメカニズムを世界に先駈けて解明したもの。今回の成果は、炎症性腸疾患の予見やプロバイオティクス開発への応用が期待される。

 東急不動産ホールディングス<3289.T>=3日ぶりに大幅反発。きょう付の読売新聞で、傘下の東急不動産が10月にも「東京・六本木など都心の『超一等地』で、中古マンションを1棟丸ごと改装して販売する事業に参入する」と報じられており、これを好感した買いが入っている。東京都心部では、富裕層を中心に高層マンションなどの人気が高いが、その一方で好立地の確保や建設費高騰などの問題から供給は難しくなっており、これを解消するためにも中古マンションをリノベーションして再販売する事業に乗り出すもよう。記事によると、年間100億円の売上高を目指すとあり、業績への貢献が期待されている。

 ユアテック<1934.T>=急反発。東北電力系の電気工事会社で親会社の設備投資増強が追い風となっているほか、省エネ改修工事の提案営業強化で需要を確保し工事単価上昇につなげている。関東にも進出しており、首都圏の東京五輪特需に絡む都市再開発案件も業績に寄与する。「16年3月期営業利益は前期比24減の85億円を会社側では計画しているが、保守的で増額の公算が大きい」(国内中堅証券)とみられている

 ファンケル<4921.T>=大幅続伸。同社は24日取引終了後に8月の月次売上高を発表。連結売上高が66億7200万円(前年同月比16.5%増)に伸びたことが好感されているようだ。内訳は、化粧品が40億2900万円(同14.1%増)、栄養補助食品が21億4800万円(同24.9%増)、その他が4億9400万円(同3.7%増)となっている。

 テックファームホールディングス<3625.T>=後場に入りストップ高。衆議院内閣委員会で「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案(通称IR推進法案)の継続審議が決定したことから、関連銘柄として注目を集めているようだ。同社はカジノ向けのモバイル決済サービスなどを手掛けており、同法成立への期待の高まりとともに、物色人気も高まっているようだ。

※未確認情報が含まれる場合があります。株式の売買は自己責任に基づいて、ご自身でご判断ください。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想