買い材料乏しく軟調、円高進行に警戒感も

著者:冨田康夫
投稿:2015/09/15 21:59

明日の東京株式市場見通し

 16日の東京株式市場は、買い手掛かりに乏しいなか、小口の売りで値を消す銘柄が目立つ展開となりそうだ。日経平均株価は反落の展開を予想する。

 14日までの3日続落で、日経平均株価の下落幅が合計804円に達していたことに加え、14日の東証公表の空売り比率が42%と、過去最高水準に達していたことから、きょうは朝方から売り方の買い戻しが加速し、一時前日比300円を上回る上げ幅となり1万8300円を超えた。しかし、午前10時過ぎからは上下動を繰り返しながらも、上値を切り下げる軟調な推移となり、地合いの弱さが浮き彫りとなった。

 また、現物株市場が終了した午後3時以降に外国為替市場で円高・ドル安が加速し、1ドル=119円台半ばとなっていることにも警戒感が強まりそうだ。

 15日の東京株式市場は、上下に値動きの荒い展開が続き、買い一巡後は伸び悩んだ。日経平均株価終値は、前日比60円78銭高の1万8026円48銭と反発。

15日の動意株

 イワキ<8095>=急動意。
「寄り付き早々に大口の買い注文が入り、それに追随して短期の値幅取り狙いの個人資金が株価を押し上げた」(国内ネット証券)という。同社は医薬品商社で自社系列品の割合が高く、特に政府が普及を積極推進しているジェネリック医薬品で強みを持つ。足もとは円安に伴う輸入原料価格上昇が利益の足かせとなっているものの、稼ぎ頭の皮膚科薬でジェネリック対応を進め、16年11月期は営業2ケタ増益トレンドに復帰するとの見方も強い。「朝方に仕掛け的な買いが入ったが、その後は買いが途切れており、高値圏をキープしているのは売り圧力の乏しさを映している」(同)と指摘する。

 アドバンテッジリスクマネジメント<8769>=3日続伸し年初来高値を更新。
同社はきょう、「ストレスチェック義務化」に伴うサービス強化のため、全国45都道府県70拠点のメンタル専門医療機関・医師と提携したと発表。さらなるユーザー獲得など拠点拡大効果が期待されているようだ。ストレスチェック制度は、今年12月から施行。従業員が50人以上の会社は従業員に対してストレスチェックを行い、高ストレスと判定され、かつ面接を希望する従業員には医師による面接指導を実施する義務がある。

 戸上電機製作所<6643>=6日続伸。
継続的な買いが観測されるなか5日移動平均線を下支えに日足7陽連と材料株特有の上げ足をみせている。電力向け配電盤機器を主力としており、来年4月からの電力小売り完全自由化も追い風に、次世代配電ネットワークに絡み商機が拡大している。16年3月期は営業利益段階で前期比15.5%減の22億円を見込むが、足もとは会社側想定を上回る受注が継続していることから、市場関係者の間では大幅増額修正の可能性が指摘されている。

 トランスジェニック<2342>=ストップ高。
同社はきょう、早期癌マーカーとしてのジアセチルスペルミンに関する特許が米国で成立したと発表。これが材料視されているようだ。この特許は、同社と東京都、東京都医学総合研究所、シー・アール・シーが尿中に排泄されるジアセチルスペルミンが既存の腫瘍マーカーに比べて早期癌のマーカーとなることを見出し、共同出願していたもの。現在、国内や中国の診断薬メーカーで、市販に向けた取り組みを進めている。

 星光PMC<4963>=急伸。
製紙用薬品を手掛けるが、植物由来の軽量素材であるセルロースナノファイバー関連として、材料株特有の値運びの軽さが魅力。セルロースナノファイバーは政府も普及を後押しする構えにあり、そのなか同社はサンプル出荷を進捗させ、需要開拓に向けた下準備の段階にある。業績も好調、前期に買収した合成樹脂子会社の利益貢献に加え、印刷用インキ樹脂がアジア市場をとらえて好調に伸びており、15年12月期営業利益は前期比3.8倍の12億円を見込む。

 コスモ・バイオ<3386>=一時、ストップ高。
同社は14日の取引終了後、組織培養用培地のパイオニアであるコージンバイオ(埼玉県坂戸市)が実施する第三者割当増資の一部を引き受けると発表しており、出資による関係強化を期待した買いが入っている。コージンバイオは、大学・公的研究機関や企業への製品提供で、日本トップクラスの実績を有する企業。工場内にいち早く再生・細胞医療用の細胞培養加工施設(CPC施設)を設け、再生医療分野での事業拡大を目指しており、そのための資金調達として、第三者割当増資を実施するという。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想