買い手掛かり難で続落、中国8月PMIを注視

著者:冨田康夫
投稿:2015/08/31 19:52

明日の東京株式市場見通し

 1日の東京株式市場は、引き続き買い手掛かり材料に乏しいことから、売り優勢となり日経平均株価は続落となりそうだ。

 あすは、中国国家統計局が午前中に発表する8月の製造業PMIの内容に関心が集まる。21日に発表された財新PMIが、2009年3月以来の低い水準だったことが嫌気され、その後上海総合指数の下落に拍車がかかった経緯があるため市場参加者の注目度は高い。

 市場関係者からは「製造業PMIの数値が想定の範囲内に収まり、極端に低調な水準でなければ“悪材料出尽くし”と受け止められる可能性もある」との見方が出ていた。

 31日の東京株式市場は、新たな手掛かり材料を欠くなか軟調推移。日経平均株価終値は、前週末比245円84銭安の1万8890円48銭と4日ぶり反落した。ただ、東証1部の値上がり銘柄数918に対して、値下がり銘柄数は897(変わらずは79銘柄)と、250円近い大幅な下げとなったにもかかわらず、値上がり銘柄数が値下がりを上回り、中小型株の堅調さが目立った。

31日の動意株

 ユビキタス<3858>=4日続伸。
同社はきょう、米シリコンバレーに初の海外拠点を設立すると発表。今後の事業展開などが期待されているようだ。活動開始は9月14日を予定。世界の最先端技術の発信地域における最新情報や、ベンチャー企業との情報交換および協業、事業提携の検討を通じて、注力しているIoT関連事業の成長加速と新規事業の創出を目指す。

 アプリックスIPホールディングス<3727>が後場急伸。
一時、前週末比150円ストップ高の865円まで買われる場面があった。同社はきょう、保有するビーコン関連技術を利用した「IoT ソリューション」が、パイオニア<6773>による自動車業界初となるテレマティクス・ソリューション「クルマDEビーコン サービスプラットホーム」向けに採用されたと発表。これが材料視されているようだ。同社では、IoT ソリューションの採用は順調に進んでおり、次世代のビジネスマーケットのさらなる拡大に努めるとしている。

 石井工作研究所<6314>=ストップ高。
三井住友海上が小型無人機「ドローン」を活用した企業向けのリスクコンサルティングサービスを9月から開始する方向にあるなかで、「ドローン関連株に位置付けられる銘柄で値動きの速い同社株に投機性の強い個人資金が集結している」(国内投資顧問)ようだ。同社は後工程の半導体装置を手掛けるが、ドローンを開発・販売する子会社を設立しているモバイルクリエイト<3669>が30%強の株式を保有する筆頭株主であり、思惑高につながっている。
 
 ラクオリア創薬<4579>=ストップ高カイ気配。
前週末28日の取引終了後、同社の「新薬の種を大学発シーズから創出し、ライセンスアウトで収益を上げる創薬事業」が、経済産業省による「平成27年度商業・サービス競争力強化連携支援事業(新連携支援事業)」に採択されたと発表しており、今後の業績への貢献などを期待する買いが入っている。同事業は、名古屋大学などの学術機関が持つ豊富なシーズを出発点として創薬研究を行い、「創薬」に関する新しいサービスモデルの開発研究を進めながら事業効率を向上させ、製薬会社が求める革新的な新薬の種を創出し、ライセンスを売却して収益を上げるというもの。

 盟和産業<7284>=上昇加速。
国景気の減速や上海株の暴落など中国リスクに端を発する世界株安連鎖に東京市場も巻き込まれるかたちになったが、「全体戻り相場では(急落前までの)リスクオンに傾斜した相場への反省から個別にはバリュー面で割安なものを拾うという動きが出ている」(国内中堅証券)という。同社株は独立系でトランク部分やマットなど自動車向け樹脂製部品を手掛ける。足もとの業績は低調で株価は1年半ぶりの安値圏に沈んでいるが、PBRが0.3倍台、PER11倍台、配当利回り3%台とバリュー株の典型であり、それに着目した投機筋の買いが流入する格好となっているもよう。

 ピーエス三菱<1871>=4連騰。
為替や原油、中国株市場など海外要因に影響されにくい内需セクターとして建設株に物色の矛先が向かうなか、都市再開発プロジェクトや国土強靭化の政策テーマを背景とした首都圏高速道路の補修需要などを取り込む材料株として注目度が高まっている。中期的なトレンドとして東京23区の大規模オフィスビルの供給量拡大が見込まれており、「今後は政府による規制緩和の推進も不動産大手企業の投資拡大に反映される見通し」(国内証券)と指摘される。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想