今週「要注意」の銘柄と、注目したい市場

著者:小野山功
投稿:2015/08/31 19:25

~ 小野山功が見通す「今週の株価材料」 ~

★「半値戻しは全値戻し」となるか?今週「要注意」の銘柄と、注目したい市場

中国の景気減速懸念に発端とした世界的な株安の連鎖が起こり、先週前半のマーケットは荒れに荒れました。

8月25日(火)までの6営業日で、日経平均株価はなんと2814円(13.6%)も急落。同日には東証1部の4割強にあたる、833銘柄が年初来安値を更新しました。

中国の景気減速という何とも釈然としない理由で株価が下がっていたため、このチャンスを逃すまいと、信用買いで下げ相場に立ち向かった投資家が大勢いました。

ただ、反発しないままに3000円近くも一気に急落したため、いよいよ追証がせまり、投げざるを得なかった投資家の売りが株価を一段と押し下げる悪循環が起こったのです。

■鍵となるのは中国市場と原油先物市場

この株安の連鎖を打ち切ったのは、震源地である中国でした。25日(火)の東京時間終了後に、中国人民銀行(中央銀行)が追加の金融緩和を発表。翌日から日経平均株価は上昇に転じ、ひとまず落ち着きが見られています。

日経平均株価は200日移動平均線である「19,042円」を回復し、半値戻しもほぼクリアしました。「半値戻しは全値戻し」という相場格言があるように、再び20600円を目指す展開が期待できるのでしょうか。

半値戻しを達成したため戻り待ちの売りが出やすく、今週は19000円台を維持できるかが焦点になります。引き続き中国株式市場の動向と、原油先物市場の動きが鍵になりそうです。

27日のニューヨーク市場で原油価格が急反発し、前日比3.96(10.3%)ドル高の1バレル42.56ドルで取引を終えました。

中国の景気減速が市場で懸念されるようになって、初めに反応したのは株ではなく原油先物市場でした。真っ先に売られた原油が10%超の大幅高となったことが、投資家心理改善につながっています。

また、米国のダウ平均株価はエクソン・モービルなどエネルギー関連株の影響を受けやすく、原油価格が上昇すると上がりやすい傾向にあります。

■引き続き「信用買い残」が多い銘柄にはご注意を

一方、信用買い残が多い銘柄は「追証」の売りに注意が必要です。買い方による信用評価損益率が、25日(火)に△18.87%(松井証券)と過去最悪の水準まで悪化しています。

信用評価損益率を開示しているのは松井証券のみですが、ネット証券首位のSBI証券も同様に、25日に追証が多発したことが予想されます。

東証の信用買い残が21日時点で3兆5865億円と高水準です。追加の保証金を差しいれ、何とか強制決済を回避した投資家の売りが、今後の株価の上値の重しになる可能性がありそうです。

小野山 功
小野山功
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想