買い材料難続き手控え、75日線割れに警戒感

著者:冨田康夫
投稿:2015/08/19 21:32

明日の東京株式市場見通し

 20日の東京株式市場は、国内外で買いにつながる材料が乏しいことから、引き続き手控えムードが強まりそうだ。ただ、19日の上海総合指数は、後場に入って中国政府系ファンドによる買い支え思惑が浮上したことで、終値で前日比45.945ポイント(1.22%)高の3794.109と反発して引けており、日本株に押し目買いの入る可能性もある。

 19日の東京株式市場は売り先行で始まり、その後も下値を探る推移。後場に入ると一気に下げ幅を広げる展開となり、日経平均株価終値は、前日比331円84銭安の2万222円63銭と大幅続落した。

 市場関係者からは「きょう大幅安したことで、日経平均株価は7月10日以来約1カ月ぶりに終値で75日移動平均線(2万321円=19日)を下回り、しばらくは調整色の強い推移が避けられそうもない。場合によっては、2万円攻防となる可能性もある」との見方が出ていた。

19日の動意株

 ナカバヤシ<7987>=新値追い。
図書館ソリューション部門で、二次元カラーコード(カメレオンコード)を利用した蔵書管理システムの導入や公共図書館などからのアウトソーシング事業の受注が拡大しており、7日に発表した今16年3月期の第1四半期(4~6月)連結営業損益で2億9800万円の黒字(前年1億4000万円の赤字)を計上、通期予想の営業利益15億円(前期比11.5%増)達成へ向けて業績が好調に推移していることが評価されている。マイナンバー制度導入へ向けてシュレッダーへの特需発生期待もある。

 シノブフーズ<2903>=後場急伸。
午後2時ごろに自社株買いを発表しており、これを好感した買いが入っている。上限を30万株(発行済み株式数の2.30%)、または1億9500万円としており、取得期間は8月24日から来年3月31日まで。資本効率の向上と経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行のために取得するとしている。

 ビオフェルミン製薬<4517>=4日続伸。
「ヒト由来の乳酸菌」を根幹に整腸剤や便秘薬などの大衆薬を主力に展開。すぐれた整腸効果を発揮する「新ビオフェルミンS」の顆粒タイプが台湾を中心にアジアからの外国人旅行客から土産の定番として人気を集めていることから、インバウンド関連の一角として物色されている。

 東芝<6502>=急伸後値を保つ。
同社は18日、9月に発足する新体制を発表。社長に対する信任投票制を導入することなども明らかにした。また、同時に09年3月期から14年4~12月期までの決算の修正も発表した。これを受け、市場には目先の悪材料出尽くし感も台頭し、売り方の買い戻しも流入したようだ。

 タダノ<6395>=6日ぶり反発。
野村証券は、同社株を新規「バイ」とし、目標株価を2500円に設定している。同証券では、「16年3月期の営業利益は円安や売価の上昇などに支えられ、前期比5%増の3期連続最高益更新が見込まれる一方、16年3月期予想PERは11倍と割安感がある」と指摘。また、16年3月期の北米と中東のエネルギー関連向け売上高は大幅減を予想しているが、北米など海外でのシェア上昇と売価上昇、米国の非エネルギー向けや国内の建設用クレーンの好調な販売がカバーし営業増益は確保できる、と予想している。

 ラクオリア創薬<4579>=ストップ高。
同社は18日の取引終了後、同社が創出した選択的ナトリウムチャネル遮断薬の物質特許のうち、アリールアミド誘導体とピロロピリジノン誘導体が米国で特許査定を受けたことを発表、これを好感している。ナトリウムチャネル遮断薬は、テトロドトキシン感受性(TTX-S)ナトリウムチャネルに対して特異的に作用し、複数の疼痛モデル動物において、高い有効性を示すことが確認されている。心臓で重要な働きをするテトロドトキシン抵抗性(TTX-R)ナトリウムチャネルに対して良好な選択性を示すことから、副作用の少ない画期的新薬として、さまざまな疼痛状態に対する未充足の医療ニーズに応えることが期待される。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想