【買い】朝日インテック (7747):ニッチ市場の覇者。製品競争力強く、今後はグローバルシェアの拡大が期待できる=GLA戸松信博

著者:戸松信博
投稿:2015/08/15 16:57

ニッチ市場の覇者。製品競争力強く、今後はグローバルシェアの拡大が期待できる

「ガイドワイヤー」をはじめ、「ガイディングカテーテル」、「バルーンカテーテル」といった、カテーテル治療に不可欠な医療機器を主力としています。産業機器に使用される極細ステンレスワイヤーロープの開発・製造・販売から出発し、現在PTCA(経皮冠動脈形成手術)ガイドワイヤーの国内シェアはNo.1 です。

1976年設立当時は極細ステンレスロープの製造・販売を行っていましたが、当時カテーテル治療が難しいとされていた慢性完全閉塞(CTO)治療が可能なガイドワイヤーの開発依頼を受け、医療機器事業へ参入することになりました。

当時、この慢性完全閉塞治療をカテーテル治療で行う常識はない時代でした。元々海外大手医療機器メーカーに依頼があったものの、当時の技術では不可能とされ同社に依頼が持ち込まれたのでした。同社は、素材からの一貫生産体制をとっており、素材段階から製品に必要な伸縮と硬度を調整する技術も持っているため、医師の意見を取り入れながら行錯誤を繰り返し、ガイドワイヤーの開発に成功しました。海外大手医療機器メーカーで実現できなかった慢性完全閉塞(CTO)のカテーテル治療用ガイドワイヤーの開発に成功したことで、同社の認知度が世界中で高まることとなり、現在では世界100以上の国・地域で展開しています。

同社は産業用で培ったステンレス素材の加工技術に強みを持ち、素材から製品までの一貫生産を行っています。素材の加工から可能であるため、開発段階において素材立ち返る試行錯誤が可能であることは、技術的にも、またコスト競争力の面でも、医療機器分野以外に産業機器分野を扱っている同社の強みと言えます。

カテーテル治療とは、心臓の血管(冠動脈)がコレステロールなどによって詰まったり狭くなって発症する狭心症や心筋梗塞などの疾患を治療する方法の一つです。従来は、投薬による薬物治療か、症状が重い場合は開胸して大がかりな外科手術となる冠動脈バイパス術が一般的でした。バイパス手術は身体への負担が大きいため、高齢者や合併疾患がある人には実施できないことがあります。その点、カテーテル治療では開胸手術が不要で、患者にとって負担の軽い治療とされています。

そして、心臓血管(冠動脈)におけるカテーテル治療がPTCAです。PTCAは体にメスを入れるバイパス手術に比べ肉体的・精神的負担を最小限に抑えられるメリットがあります。一時、再狭窄リスクの懸念がありましたが、米国アボット社(同社の海外販売の委託先企業)が薬剤溶出ステント「ザイエンス」を発売してからPTCAは世界的に拡大しています。

この中で同社は業績を堅調に拡大。8月11日に発表された2015年6月度期の業績は売上が25.5%増の353億2300万円、営業利益が33.0%増の79億7600万円、経常利益が37.7%増の83億9900万円、純利益が33.7%増の58億2800万円と純利益は市場コンセンサスを上回る好決算となっています。
戸松信博
グローバルリンクアドバイザーズ(株)代表取締役
配信元: 達人の予想

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