前回は決算後に低PER銘柄が買われたが、今回は?

著者:小野山功
投稿:2015/07/27 19:24

~ 小野山功が見通す「今週の株価材料」 ~

★【内需株は堅調】前回は決算後に低PER銘柄が買われたが、今回は?


国際商品指数の総合的な値動きを示す「CRB指数」が、7月23日に6年4ヶ月ぶりの低水準まで下落しました。

世界最大の消費国、中国の景気に陰りが見られていることや、米連邦準備理事会(FRB)による約10年ぶりとなる利上げが年内に見込まれる為、低金利で高い利回りを求めて流れていた投機マネーが商品市場から引き揚げています。

■先週は資源関連株の下落が目立つ

資源価格の下落が嫌気され、先週は資源関連株の下落が目立ちました。海外に油田や鉱山の権益を持つ(8058)三菱商事(8031)三井物産など商社株が売られました。

また、鉄鉱石や石炭など新規の資源開発が滞るとの見方から、建機大手(6301)コマツ(6305)日立建機の株価もさえません。

この他、石油プラント首位の(1963)日揮や、原油貯蔵施設の建造を主力とする(6269)三井海洋開発は、年初来安値を割り込みました。

■インバウンド関連の一角には過熱感も

一方、内需株は堅調でした。(4911)資生堂(3088)マツモトキヨシHDが上場来高値を更新しました。

22日(水)に日本政府観光局が発表した訪日外国人旅行者数の増加が手掛かりになっています。2015年1月~6月の旅行者は推計で914万人と、前年同期に比べて5割近くも増加し、上期としては過去最高を更新したためです。

訪日外国人の増加を受けて、引き続きインバウンド関連銘柄への物色が継続しました。主力株だけではなく、(8202)ラオックス(9708)帝国ホテルなどが2部の銘柄にも資金が流入しています。

ただ、インバウンド関連の一角には過熱感も出てきているようです。ビジネスホテル「ドーミーイン」を展開する(9616)共立メンテナンスの予想株価収益率(PER)は35倍とサービス業のPER平均である29倍を上回っています。美白化粧品「雪肌精」が好調の(4922)コーセーは50倍に迫っています。

爆買い銘柄への物色が続いていますが、決算発表が本格化するのはこれからです。3ヶ月前の決算発表は、PERが低い商社や銀行株が決算後に買われた経緯があり、決算後には物色の流れが変化する可能性があります。

山高ければ谷深し、決算発表前後の取引は注意する必要がありそうです。


小野山 功
小野山功
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想