ギリシャよりも上海!

著者:比嘉洋
投稿:2015/07/08 18:56

3週間で3割の下落

5日のギリシャ国民投票でEU提案が拒否されたことも驚きでしたが、それ以上に気がかりなのが下げ止まらない中国上海株の動向。3週間で3割下落、金額にすると中国株で390兆円の資金が失われたとの報道も。中国政府は下げ止まらない株価に対して立て続けに対策を打ち出してはいますが、かえって市場不安を増幅させ、さらなる株安の要因とされています。

かつて中国は日本のバブル崩壊について研究を行っていたようですが、このところの対応を見ていると、活かされているようには思えません。場合によっては市場をクローズすることも考えられそうです。

この株式の損失は世界中に投資されている中国マネーの逆流(特に不動産市場か)を意味しますので、ギリシャ問題よりも深刻な問題と受け止められています。結果、米国に資金が流入、米10年債利回り低下、ドル買い(ドルインデックスは7日のNY時間に97台を示現)となっています。

上記の懸念材料を受け、IMFは米国の利上げに反対の意向を示しています。もちろん、この発言は強制力を伴うものではありませんが、当たり屋ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラックは「FRBの年内に利上げをすることはない」との見方を改めて示しています。

折しも、明日早朝FOMC議事録の公表、さらには10日にイエレン議長の講演が控えています。利上げ時期の後ズレとなれば、一時的にドル売りが持ち込まれることも想定されますが、ギリシャ・中国動向の流れが変わらない限り、基軸通貨であるドルに資金が流入、ドル/円中心のトレードを意識する時間帯かもしれません。
比嘉洋
マネースクエア シニアコンサルタント
配信元: 達人の予想