安心感から買い先行、日銀短観6月調査を注視

著者:冨田康夫
投稿:2015/06/30 21:07

明日の東京株式市場見通し

 1日の東京株式市場は、引き続きギリシャ問題に関連した外部要因による余波が予想される。ただ、ギリシャショックによる世界同時株安が一巡して迎えた30日の東京株式市場で、日経平均株価が反発をみせ、世界的連鎖安のストッパーの役割を果たしたことから、あすもある程度の安心感が持続しそうだ。日経平均株価は続伸を予想する。

 ただ、市場関係者からは「現地7月5日に実施される、緊縮策受け入れの是非を問うギリシャの国民投票の結果が出るまでは、株価指数先物も含めて思惑的な売買により全体相場が波乱展開となる可能性がある」との見方が出ている。

 30日の東京株式市場は、前日の急落の反動から主力株中心に買い戻しが優勢となり、日経平均株価終値は、前日比125円78銭高の2万235円78銭と4日ぶりに反発した。また、上海総合指数が午後になって反転上昇に転じるなど、アジア株が総じて堅調に推移したことも買い支援材料となった。

ギリシャ問題、リスク抑制の動きに関心

 この日の東京株式市場では、ギリシャ債務問題についての過剰なマイナス反応を和らげるような見方が話題となった。

 まず、ギリシャの債務は、欧州中央銀行(ECB)など公的機関が70%程度を保有している点だ。過去のギリシャ危機を経て、民間銀行はギリシャ債務をかなり圧縮しており、金融システムが動揺するリスクはかなり抑制されているという。またサブプライムローンなどの証券化商品と違い、債務の金額や所在が明確であることからマイナスの波及効果は軽微で、信用収縮は限定されるという。

 また、もしギリシャ問題によって金融市場の動揺が拡大したとしても、デフレ懸念が強まれば、ECBと日銀は追加緩和を実施し、米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げ開始時期を先送りすることも想定されるという。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想