目標達成感から一服、中期買い意欲は持続

著者:冨田康夫
投稿:2015/06/24 20:29

明日の東京株式市場見通し

 25日の東京株式市場は、24日にITバブル期の2000年4月12日につけた日経平均株価の高値2万833円を上回ってきたことで、短期的な目標達成感から買い手控え姿勢が強まり一服商状となりそうだ。

 きょうまでの4日続伸で日経平均株価は合計877円の急騰をみせており、目先的な過熱感が高まっている。ギリシャ債務問題で、ひとまずデフォルト(債務不履行)を回避できる可能性が高まっていることや、米議会上院で米大統領貿易促進権限(TPA)法案可決の可能性が高まり、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が前進するなどの好材料もほぼ織り込んでおり、手掛かり材料不足も予想される。

 24日の東京株式市場は買い先行で始まり、その後も目先的な達成感からの売り物をこなしながら高値圏を維持したが、大引けにかけて伸び悩んだ。日経平均株価終値は、前日比58円61銭高の2万868円03銭と4日続伸した。

24日の動意株

 ホットリンク<3680>=動意。
同社はきょう、中国内で統合モニタリングおよび各種データ分析サービスを手掛ける普千(上海)と資本提携したことを明らかにした。同社は、7月末までに普千の発行済み株式数の19.9%を取得する予定。両社は2014年7月に業務提携しており、協業関係をさらに深めることを目的に資本提携を締結。中国ソーシャル・ビッグデータ活用事業の拡大により一層注力したビジネス展開を図る。

 中外製薬<4519>=5日続伸。
同社は23日に血友病治療剤「ACE910」のフェーズ1/2試験データを開示し「良好な忍容性と有効性が確認された」と発表した。この結果を受け、市場では買いが先行しているが、ゴールドマン・サックス証券では23日、今回の発表を受け、開発成功確率を50%から70%に引き上げた。同剤について「年内にグローバルのフェーズ3試験開始、17年申請、18年上市、グローバルでのピーク時売上高2500億円」を想定している。同社株の投資判断は「中立」としているが、目標株価は3800円から3950円に引き上げている。

 エムケイシステム<3910>=後場に入り急騰。
午後1時15分ごろに、7月31日を基準日として1対5株の株式分割を実施すると発表しており、これを好感した買いが入っている。投資単位当たりの金額を引き下げることで、より投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大と流動性の向上を図ることを目的としているという。効力発生日は8月1日。

 フジクラ<5803>=大幅高で3日続伸。
収益主力のスマートフォン向けフレキシブル配線基板が好調なほか、電線大手としては後発組のワイヤーハーネスにも注力、欧米自動車メーカー向けなどで受注を拡大させ、業績に反映させている。16年3月期はフレキシブル配線基板の生産体制の整備に伴い一段の需要取り込みから、営業利益は前期比2割増の300億円台乗せが有力視される。自社株買いに積極的な姿勢をみせていることも、機関投資家などの買いを誘導しているとみられる。

 システムズ・デザイン<3766>=ストップ高。
同社は23日の取引終了後、シェアードシステム(東京都豊島区)を子会社化することを発表、これを好感している。シェアードシステムは物流・流通業向けにシステム受託開発やパッケージソフトウェアの開発、販売、保守、サポートを行っており、ハンディターミナルやスマートフォンに対応したミドルウェアパッケージソフト「HaiSurf」シリーズが物流業界で高いシェアを誇っている。今回の子会社化により、物流・流通業向けのシステム開発などで事業拡大を図っていく。

 林兼産業<2286>=大幅高。
ハム・ソーセージなどの食肉加工や機能性食品、養魚用飼料などを手掛け、スターゼンとの協業効果や商品価格転嫁の寄与で業績は急回復傾向にある。また、TPP関連としての位置付けもある。米議会上院は23日、TPP交渉の合意に必要な大統領貿易促進権限(TPA)法案の審議を打ち切り、法案採決に移るための動議を可決した。採決は24日までに行われるが、TPA法案は可決・成立する可能性が濃厚で、同法案の可決により、TPP交渉は今夏の大筋合意に向け大きく前進する。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想