信用売り残増の好取組銘柄に注目

著者:冨田康夫
投稿:2015/06/23 13:24

外部要因懸念のなか個別物色に活路

全体相場は、5月半ばから6月初めの日経平均株価12連騰の反動もあり、高値圏でのこう着状態が続いている。ギリシャ債務問題を巡る協議が 大詰めを迎えているのに加え、欧米での長期金利の上昇傾向など、外部要因の不透明感が上値圧迫要因として意識されている。

業績面では、3月期決算企業の第1四半期(4~6月)の業績動向がまとまる7月半ばまでは、個別銘柄についてのニュースフローが出にくい状態が予想される。そこで注目したいのが、株式需給面からのアプローチだ。

個別銘柄ベースでは、年初来高値をつけてから微調整している銘柄が多いなか、信用需給面で買い残の多い銘柄は、戻り売りにさらされる可能性が大きい。そこで、今回は、6月12日申し込み現在で、信用売り残が増加した銘柄のなかから、東証信用倍率が拮抗している取組妙味のある銘柄に絞込んで検証した。

東京製綱<5981>は5日取引終了後に発表された公募による1522万株の自己株処分と上限228万株のオーバーアロットメントによる売り出しが嫌気され売り圧力が高まった。関連して、株価下落を見込んだカラ、売りが急増した。

ただ、株価が落ち着き、下値固め完了以降は反転上昇の可能性がある。調達金額は約38億4730万円で、子会社への投融資や鋼索鋼線事業での国内工場の設備投資、借入金の返済などに充てる。同社はワイヤロープなどの製造および販売を手掛けている。特に、スチールコード事業の収益改善が進んでおり、16年の連結業績を売上高800億円(前期比5 . 1%増)、営業利益84億円(21.2%増)を見込む。米州ではメキシコ工場での車体シール部品増産や、防振、ホース部品生産開始が貢献。

中国工場でも欧米完成車向け供給拡大が寄与する。5月22日提出分の大量報告書で、米ファンドのエフエムアール エルエルシーが鬼怒ゴム株式377万7000株(発行済み株式数の5.61%)を保有していることが判明したことも買い支援材料となりそうだ。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想