利益確定売りで一服、売買代金低下が気懸り

著者:冨田康夫
投稿:2015/06/22 21:55

明日の東京株式市場見通し

 23日の東京株式市場は、直近2日間で急上昇した後だけに、値ごろ感からの利益確定売りが優勢となり一服商状となりそうだ。前週末ときょうの2日間で、日経平均株価は合計で437円と急上昇をみせており、2万400円台を回復し8日以来2週間ぶりの高値水準に復帰している。一気に25日移動平均線(2万340円=22日)もクリアしてきた。

 市場関係者からは「きょう日経平均株価が上昇した理由として、政府が近くまとめる成長戦略で企業の持ち合い解消が促進されることへの期待感や、ギリシャ債務問題での進展思惑が挙げられていたが、いずれも買い材料としては説得力に欠ける。何より売買代金が低迷していることが気にかかる」との見方が出ていた。

 22日の東京株式市場は、寄り付きから買い優勢で後場後半に入って一段高に買われ、日経平均株価終値は、前週末比253円95銭高の2万428円19銭と大幅続伸した。ただ、東証1部の売買代金は2兆1791億円と低水準だった。売り物薄のなか、株価指数先物主導の買いが目立った。

22日の動意株

 ニチレイ<2871>=大幅続伸。
市場関係者によると「ここ強気の投資判断が相次いでおり、きょうはみずほ証券が『買い』でフォローするとともに目標株価を910円に引き上げたことが人気を加速させた。18日には子会社製品に蛾の幼虫とみられる虫が混入していたとの報道を受けていったん下押したが、16年3月期営業利益は前期比6.2%増の187億円を予想するなど業績自体は好調で、なお増額含みという状況から下値を拾う動きがことのほか目立った」(国内準大手証券情報部)との指摘。格好の仕込み場提供となったかたちだ。

 オプティム<3694>=後場一段高。
この日は前週末19日に発表された、トータル電子雑誌サービス「タブレット使い放題・スマホ使い放題(タブホ)」のバージョンアップを材料に朝方からしっかりの展開だったが、午後2時ごろ、「京都ICT教育モデル構築実証研究プロジェクト」に参画し、モバイルデバイス管理アプリ「Optimal Biz」を提供すると発表しており、これを好感した買いが株価を押し上げている。「京都ICT教育モデル構築実証研究プロジェクト」は、京都大学学術情報メディアセンターや京都市教育委員会、日本マイクロソフト、NEC<6701>、その他協力企業各社が連携して開始したプロジェクトで、1人1台のタブレットPCを生かし、持ち帰り学習することで、学校と自宅での生徒の日々の学習の変化を捉えて分析し、持ち帰り学習でのICT教育モデルを構築する実証研究。

 ツカモトコーポレーション<8025>=後場一時ストップ高。
経済産業省の「和装振興研究会」が16日、政府による「着物の日」の設置を提言したことを受け、和服関連銘柄が一斉高、その流れが依然として続いている。先導役のさが美<8201>も連日のストップ高に買われており、相対的に出遅れる同社株にも投機資金の攻勢が波及するかたちとなった。同社は和装の大手商社で業績は低調ながら損益は黒字を確保しており、都内に不動産を保有するなど含み資産株としての素地を内包することも物色人気を喚起している。

 大阪有機化学工業<4187>=急騰。
前週末19日の取引終了後、15年11月期の連結業績見通しについて、売上高は従来予想の239億7000万円(前期比0.8%増)を据え置きつつ、営業利益を同13億3700万円から17億4600万円(同28.6%増)へ、純利益を同9億1900万円から12億500万円(同35.2%増)へ上方修正したことが好感されている。電子材料事業の半導体材料の販売が好調に推移していることが利益を押し上げるという。

 ジョルダン<3710>=ストップ高。
同社はきょう、日本マイクロソフト(東京都港区)と連携し、月次の交通費申請処理を助ける「乗換案内Biz for Office」を今月にリリースすると発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。「乗換案内Biz for Office」は、ジョルダンの「乗換案内Biz API」と、マイクロソフトのクラウド型グループウェア「Office 365」と連携したアプリ。外出先までの経路を検索した際、経路をOfficeアドインに登録保存するだけで、ボタン一つで登録された交通費情報を交通費申請書に反映することができる。

 コニカミノルタ<4902>=続伸。
この日は岩井コスモ証券が19日付で投資判断を「B+」から「A」とし、目標株価を1600円から1730円へ引き上げたことが観測されている。今期に入って一段の円安ユーロ高が進行したことが、今期業績の上振れ要因になることが十分に評価されていないと判断。同社の欧州圏の売り上げはドイツなど主要3カ国が中心で、ギリシャ問題などの影響は小さいと判断しているという。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想