大台割れで自律反発も、外国人売りには警戒感

著者:冨田康夫
投稿:2015/06/18 21:51

明日の東京株式市場見通し

 19日の東京株式市場は、日銀の金融政策決定会合の内容発表を横目でにらみながらの神経質な推移となりそうだ。ただ、きょう日経平均株価が1カ月ぶりに2万円の大台を割り込んだことで、ある程度の調整一巡感が出て、自律反発につながる可能性もある。

 市場関係者からは「ギリシャ債務問題が6月末の期限を控えて大詰めを迎えており、リスク回避を狙った海外投資家のポジション調整売りは今後も想定される。東証発表の6月第2週(8~12日)の投資部門別売買動向で、外国人投資家は6週ぶりに売り越しに転じた。ただ、国内の企業業績などで目立ったマイナス要素は見当たらず、2万円割れが大崩れのきっかけになるとは考えにくい」との見方が出ていた。

 18日の東京株式市場は後場下げが加速し、日経平均株価終値は、前日比228円45銭安の1万9990円82銭と大幅安で4日続落。5月18日以来、1カ月ぶりに終値で2万円の大台を割り込んだ。一方、外国為替市場では一時、1ドル=122円台後半と円高・ドル安が進行した。

18日の動意株

 トランスジェニック<2342>=後場ストップ高。
同社はきょう、「臓器ヒト化マウス」に関して国際特許出願を行ったことを明らかにした。この技術は、従来の免疫不全マウスを用いることなく、臓器ヒト化マウスを確立するもの。これにより、遺伝性疾患なども含めよりヒトに近い病態モデルを作製でき、より精度の高い創薬や臓器機能の研究に利用することができる。

 日本ビューホテル<6097>=3日ぶりに大幅反発。
日本政府観光局(JNTO)は17日に、5月の訪日外国人数が前年同月比49.6%の164万2000人と、前月に次ぐ過去2番目の記録になったと発表。訪日客需要の取り込みなどを期待した買いが流入しているようだ。なお、同社は今16年4月期通期の売上高は190億9300万円(前期比5.0%増)、営業利益は9億6100円(同10.5%増)と2ケタ増益を計画。ホテル事業の売上高は158億7100万円(同4.0%増)を見込んでいる。

 ダイヤモンドダイニング<3073>=後場一段高。
この日正午ごろ、8月上旬に東京最大級の面積を持つ「KAWAII MONSTER CAFE」をオープンすると発表しており、同店による業績への期待感から買いが入っているようだ。新店は、プロデューサーとしてきゃりーぱみゅぱみゅの美術などを手掛け、世界に「KAWAII」文化を発信するアーティストの増田セバスチャンが就任している。

 MrMax<8203>=大幅高。
訪日外国人観光客急増が確認されるなか、九州を地盤に大型ディスカウント店を展開する同社にもアジア系外国人の需要取り込みが期待されている。インバウンド対応の免税店拡充にも前向きに取り組んでおり、16年3月期営業損益は5億円の黒字転換を見込む。PBRがわずか0.5倍台と解散価値の半値近くに放置されていることに注目する向きがあり、「前日に玉仕込みの形跡があった」(市場関係者)ことも短期筋の追随買いを誘う伏線となったようだ。

 ホロン<7748>=ストップ高。
同社はきょう、中国のDJEL社と戦略的パートナーシップ契約を結んだと発表。これが材料視されているようだ。このパートナーシップにより、DJEL社の半導体回路設計技術と、ホロンの電子ビーム技術を結びつけ、世界の最先端半導体製造市場向けに新たなソリューションを開発する。

 寿スピリッツ<2222>=大幅高。
日本政府観光局(JNTO)が17日に発表した5月の訪日外客数が5月として過去最高、単月でも4月に次ぐ、過去2番目の記録となったことを受けて、菓子大手で子会社を通じて地域ブランド菓子を販売する同社がインバウント関連として人気を集めている。2016年の主要国首脳会議(サミット)が伊勢志摩サミットとして三重県志摩市で開催されることから、子会社の三重寿庵を通じて販売している「伊勢えびせんべい」などの販売増も期待されている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想