買い手控えで続落、外部環境に手詰まり感

著者:冨田康夫
投稿:2015/06/03 19:40

明日の東京株式市場見通し

 4日の東京株式市場は、全般に手詰まり感が色濃くなるなかで、買い手控えムードが強まり日経平均株価は続落となりそうだ。

 きょうの外国為替市場で、一時1ドル=123円台後半まで円高・ドル安が進行するなど、円安一服傾向が鮮明となっているのに加え、くすぶり続けるギリシャ債務問題や週末の米5月の雇用統計発表など、外部環境の不透明感が強まっている。

 韓国での中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスに対する懸念拡大を材料視して感染防止対策関連銘柄の一角に物色の矛先が向いているものの、長期化すれば全般相場にマイナス影響を与えかねない。循環物色は出遅れ感の強かった非鉄、鉄鋼、石油・石炭などに移行して継続しているものの、先週までと比較して買いエネルギー面では盛り上がりを欠いている。

 3日の東京株式市場は、売り優勢でスタートしたあと、途中下げ渋る場面があったものの、結局一度も前日比でプラスに転じる場面はなかった。日経平均株価終値は、前日比69円68銭安の2万473円51銭と続落した。

3日の動意株

 新日本電工<5563>=後場一段高。
新日鉄住金<5401>が同社株の20%強を握る筆頭株主で、新日鉄系の合金鉄トップメーカーとしてマークが強まっている。15年12月期第1四半期は中央電工との経営統合効果でハイブリッド車向けにニッケル水素電池用水素吸蔵合金が拡大、磁石用合金も収益に貢献し本業の儲けを示す営業利益は前年同期比3.1倍に膨らんだ。通期営業利益は40億円と前期比5割近い伸びが見込まれているが十分に達成可能。PBR0.5倍台は水準訂正余地の大きさを暗示する。

 大幸薬品<4574>=4日続伸。
韓国でMERS(中東呼吸器症候群)の感染が拡大していることを受けて、関連銘柄として人気化している。同社では、昨年1月23日に「二酸化塩素ガス溶存液が、コロナウイルスを99.9%不活化することが確認できた」と発表しており、今後の製品開発への期待が高まっているようだ。

 日本冶金工業<5480>=急動意。
ニッケルステンレス鋼を主力とする専業大手メーカーで、精錬から圧延まで一貫生産体制を構築していることが特徴。原料高による影響を製品価格転嫁で相殺、16年3月期は合理化努力による採算性改善も利益を後押しする。ここチタンやアルミなどを手掛ける非鉄株に物色の矛先が向いており、中長期波動で底値圏となる200円台半ばに位置する同社株に、先高機運が台頭している。

 日本カーボン<5302>=大幅高。
同社は2日取引終了後、米GE社と仏サフラン社との3社合弁により設立したNGSアドバンストファイバー(富山県富山市)が炭化ケイ素連続繊維を生産する新工場建設の仕様を決定し、建設に着手すると発表した。これを好感する買いが集まった。NGSアドバンストファイバーでは、航空機エンジン素材としての炭化ケイ素連続繊維の需要増に伴い、既設工場の隣接地に約60億円を投じ、新たに第2工場を建設、16年末の稼働を予定している。

 ダルトン<7432>=ストップ高。
韓国でMERS(中東呼吸器症候群)の感染が拡大していることを受けて、東証1部の日本エアーテック<6291>や東証2部のアゼアス<3161>などが関連銘柄として物色人気を集めているが、同社もその一角。研究室などに設置するバイオハザード設備などを手掛け、過去にはエボラ出血熱関連としても急騰した経緯があるだけに、関連銘柄として今回も人気づいているようだ。

 シンデン・ハイテックス<3131>=大幅続伸。
16年3月期は連結営業利益7億7000万円(前期比37.7%増)と大幅増益を見込み、期末一括配当も110円(前期90円)へ増配を計画している。東証が2日から日々公表銘柄に指定したが、3月上場IPOで需給が良好なことから、株価の足かせにはなっていない様子で、値動きの軽さが短期資金を呼び込んでいる。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想