9日続伸を受け一服、買い疲れ感濃厚に

著者:冨田康夫
投稿:2015/05/27 18:42

28日株式相場見通し

あすの東京株式市場は、きょうまでの9日続伸で、日柄的にはさすがに過熱感が高まっていることから、日経平均株価は利益確定の売りに押されて一服商状となることが予想される。

9日間の日経平均株価の上昇幅は合計902円に達しており、サイコロジカルラインも11勝1敗と高水準にある。市場関係者からは「大型連休明けから、ほぼ3週間急ピッチな上昇が続いており、市場参加者の買い疲れ感はかなりたまっているようだ」との見方が出ていた。

ただ、日経平均株価の25日移動平均線(1万9900円=27日)との上方カイ離率(2.87%)や、騰落レシオ25日移動平均(104.34%=同)には高値警戒感が感じられないことが、継続買いにつながっている面もある。

27日の東京株式市場は、前日の米国株大幅安を受け売り先行でスタートしたものの、1ドル=123円台前半への円安・ドル高進行を背景に押し目買い意欲は強く、日経平均株価終値は、前日比35円10銭高の2万472円58銭と9カ月ぶりの9日続伸となった。

円安・ドル高の進行を好感した主力自動車株や、株価指数先物主導で、日経平均寄与率の高い銘柄に買いが集まった。

28日の動意株

三信電気<8150>後場上昇加速。
ルネサスエレクトロニクス<6723>系の電子部品商社で、車載やスマートフォン向け電子部品需要が高水準で同社の取引拡大につながっている。これまで収益性重視の相場で低PBR銘柄は見送られがちだったが、全体指数の上昇とともに個別にリターンリバーサルの動きが顕在化、つれて物色の矛先が向かうようになった。同社の1株純資産は2328円と高く、そこから換算されるPBRはPBR0.5倍以下と解散価値の半値以下に放置されており、商社という業態を考慮しても見直し余地の大きさが意識されている。

アンジェスMG<4563>=後場一段高。
前引け後に同社が大阪大学と共同研究している高血圧DNAワクチンについて、大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座の森下竜一寄附講座教授、同健康発達医学寄附講座の中神啓徳寄附講座教授および郡山弘寄附講座助教らの研究グループによる研究成果が米国心臓協会の高血圧分野の学術誌である「Hypertension」に掲載されたと発表しており、これを好感した買いが入っている。

日本ヒューム<5262>=後場急上昇。
午後2時に自社株買いを発表しており、これを好感した買いが入っている。60万株(発行済み株式数の2.23%)、5億円を上限としており、取得期間は5月28日から来年3月31日まで。株主還元および資本効率の向上と機動的な資本政策を遂行するためとしている。

ユーシン<6985>=急伸。
26日の取引終了後、自己株式の消却を発表。消却前発行済み株式数の19.55%に相当する640万株を6月22日に消却することを明らかにした。現在保有する全体の2割近い自己株式のほぼすべてを消却することになり、この日は需給関係の改善を評価する買いが流入している。

ITbook<3742>=4連騰。
来年1月から開始されるマイナンバー制度に関連する銘柄群のなかでも一頭地を抜く値動きの軽さをみせている。同社は官公庁や自治体向け、民間企業向けなど広範囲にわたるコンサルティング事業で強みを持ち、クラウド案件の伸びが顕著で収益成長を支えている。同社の最高値は株式分割考慮で上場時の04年7月につけた3587円と天井も高い。

スター精密<7718>=大幅高。
精密部品や工作機械を製造、16年2月期はモバイルPOS向け小型プリンターの好調が続くほか、自動旋盤が収益を牽引し営業利益段階で前期比11.4%増の61億円を予想、会社側見通しはやや保守的でなお増額余地も指摘される。今期からスタートさせた中小規模店舗向けサービス「電子レシートサービス」も評価材料のひとつ。買い物客は従来の紙のレシートに代わりスマートフォンを使って買い物の中身を確認したり管理したりできる。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想