円安加速受け買い先行、利益確定売りをこなす

著者:冨田康夫
投稿:2015/05/26 18:49

あすの株式相場見通し

27日の東京株式市場は、きょうまでの8日続伸を受け、当然ながら利益確定の売り圧力は強まるものと予想される。ただ、外国為替市場で、26日の株式市場大引け以降、急速に円安・ドル高が進行。一時、1ドル=122円80銭台まで円が下落していることを考慮すると、自動車、電機、精密機器など輸出関連の主力銘柄を中心に買いが優勢となる可能性もある。

市場関係者からは「主要な輸出関連企業の今期想定為替レートは、1ドル=115円前後に集中している。もし、現状かそれ以上に円安が進めば、想定外の円安メリットが業績に上乗せされる可能性も浮上する」との見方も出ている。

26日の東京株式市場は、利益確定売り圧迫が顕在化したものの、円安進行を手掛かりに買いも継続し、日経平均株価終値は、前日比23円71銭高の2万437円48銭と8日続伸となった。8日続伸は、14年8月11~21日の9日続伸以来、約9カ月ぶりのこと。ただ、東証1部の値上がり銘柄数は703、対して値下がりは1024(変わらずは157)と値下がりが大きく上回った。

26日の動意株

北川鉄工所<6317>=後場上昇加速。
8年ぶりの高値圏でじりじりと上値を指向している。首都圏再開発の動きが加速するなかでクレーンなど土木機械や生コンプラントなどが収益に貢献、スマートフォン向けでは中国など工作機械に加工物を固定する工具(アタッチメント)が好調だ。同社はメキシコに生産拠点を擁するが、昨年7月に鋳造から加工までの一貫製造を開始、今期はこれがフル稼働で業績に寄与する見通し。

竹内製作所<6432>が急反発。
前週末22日は野村証券の目標株価7500円という強気の投資判断を背景に急騰、週明け25日は目先筋の利食いで朝高後に軟化しマイナス圏で引けたが、きょう改めて買い直されている。外国為替市場では取引時間中に円安が進行、足もとは1ドル=121円80~90銭の推移となっている。それに歩調を合わせるように同社株も寄り後は次第高の展開に。同社の通期想定為替レートは1ドル=115円であり、実勢と7円近いカイ離が為替差益への思惑を呼んでいる。

ディップ<2379>=4日ぶり急反発。
アルバイト求人情報サイト「バイトルドットコム」や派遣求人情報サイト「はたらこねっと」を運営、企業の業績回復を背景とした求人需要の高まりが同社株を高みへといざなっている。アルバイト・パートの平均時給は一貫した上昇傾向にあり、三大都市圏では4月時点で22カ月連続前年同月を上回っている状況。そのなかアルバイト情報はスマートフォン需要対応強化でニーズを囲い込み、時流をとらえた高単価プランの売り込みで業績拡大路線をひた走る。16年2月期は営業利益段階で前期比14.4%増の55億円と、前期の2.8倍の高変化に続き2ケタ成長をキープする見込み。

宝印刷<7921>=急伸。
25日に提出された大量保有報告書で、投資ファンドのストラテジックキャピタルが同社の発行済み株式数の5.02%を保有する大株主となったことが分かった。ストラテジックキャピタルは、旧村上ファンド幹部の丸木強氏が代表を務めている投資ファンド。保有目的は「純投資および状況に応じて重要提案行為などを行うこと」としており、同ファンドの動向が市場の関心を集めている。

研創<7939>=連日のストップ高。
同社は企業向けに金属製サインプレート(看板)を手掛けるが、景況感の回復を背景に16年3月期は最終利益段階で4.2%増の2億2500万円と増益転換する見通し。発行株数402万と小型で浮動株比率も低く、流通株式の品薄感から折に触れ投機資金のターゲットとなりやすい。昨年11月下旬から12月下旬にかけても同様の動きをみせ、株価は短期間で3倍化した経緯がある。前日の前場に仕掛け的な買いが入り、きょうはこれに短期筋が追随したかたちで商いも一気に膨らんでいる。

東邦チタニウム<5727>=上げ足鮮烈。
東証1部値上がり率で首位を争う勢いをみせている。航空機向けスポンジチタンの在庫調整が進捗し生産量が回復しており、16年3月期は7期ぶりの黒字転換が見込まれる状況。上場来高値は株式分割後修正値で2006年2月につけた9730円。非鉄株の特長でもある天井の高さが投機筋の食指を動かしている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想