好条件を背景に続伸、5日・25日線がGC達成

著者:冨田康夫
投稿:2015/05/20 21:52

明日の東京株式市場見通し

 21日の東京株式市場は、株式需給関係の改善を背景に買い気優勢の状態が継続する見通しで、日経平均株価は続伸となりそうだ。テクニカル面では20日終値で、5日移動平均線(1万9883円)と25日移動平均線(1万9808円)がゴールデンクロスを達成しており、先高期待感が高まっている。

 きょうの東京株式市場では、欧州中央銀行(ECB)による量的緩和規模拡大への思惑が浮上して前日の欧米株式が堅調に推移したことに加え、寄り付き前発表の1~3月期の国内総生産(GDP)速報値が前期比年率2.4%のプラスと市場予想の1.5%程度のプラスを上回ったことや、外国為替市場で1ドル=120円90銭台と急速に円安が加速するなど、好材料が重なった。

 こうした強烈な追い風を背景に、日経平均株価終値は、前日比170円18銭高の2万196円56銭と4日続伸し、4月23日につけた取引時間中の年初来高値を更新。終値では2000年4月14日以来、15年1カ月ぶりの高値水準となった。また、東証1部の売買代金は2兆9955億円と3兆円近くまで膨らんだ。

GDPで個人消費は小幅ながら伸びる

 GDPの実質成長率の速報値は、年率換算でプラス2.4%となった。去年4月の消費増税後、4半期ベースで2期連続のマイナスだったが、今回は前の期に続いてプラスとなった。市場予測は1.6%程度のプラスだったが、これを上回ったことで消費増税によるダメージが和らいでいるムードが浮上した。これまで低迷を続けていた冷蔵庫やテレビなどの家電に回復傾向がみられるなど、個人消費がプラスになったことに加え、住宅投資や企業の設備投資も増えたことが背景となっている。

 ただ、厚生労働省によると、2014年度の1人当たりの1カ月の現金給与総額は、前の年度に比べて0.5%増加し、31万5984円と4年ぶりに上昇したものの、物価の影響を加味した「実質賃金」は、前の年度に比べて、3.0%減少し、4年連続のマイナスとなっており、今後の個人消費の動向からは目が離せない
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想