あの投信設定が需給面で相場の下支えに

著者:小野山功
投稿:2015/05/18 18:51

小野山功が見通す「今週の株価材料」~【前回はわずか3週間で“売り切れ”】あの投信設定が需給面で相場の下支えに

先週15日(金)で、主要な3月期企業の決算発表がほぼ出そろいました。

円安による輸出採算の改善で、市場では今期(16年3月期)の経常利益は前期比15%程度伸びるとの事前予想でしたが、保守的な見通しを発表する企業が多く、結果は10%程度の増益にとどまったと見られます。

■増配や自社株買いなど、株主還元強化の動きが

詳しい数字については、証券会社などが集計したものが近く開示される見通しです。

ただ、業績の伸びは期待に届かなかったものの、日本企業は空前のカネ余り状態ですので、増配や自社株買いなど、株主還元強化の動きが広がっています。

銀行大手7行の決算が15日までに出そろいましたが、公的資金が残る(8303)新生銀行以外の6行は、前期の配当金をそろって引き上げています。

先週だけで、1800社を超える企業が業績(四半期決算を含む)を発表しました。投資家だけではなく会社をカバーしている証券アナリストもてんてこ舞いで、業績面の分析がとても追い付いていないのが実情だと思われます。

4月末に一足早く決算を発表していた(6981)村田製作所が、今週年初来高値を更新しましたが、5月11日の証券会社のレポートが手掛かりになった面があります。

今週以降は、レポートの発表が活発になることが予想されますので、引き続き好業績銘柄を中心とした相場展開になりそうです。

■今週はあの大型投資信託が募集を開始

また、野村アセットマネジメントの「日本企業価値向上オープン」が18日(月)に設定されました。

同投信は3月25日に募集を開始し、わずか3週間で“売り切れ”となった「日本企業価値向上ファンド」の第2弾です。

第1弾は2000億円以上の資金が集まった人気の投資信託ですので、大型投信設定が需給面で相場の下支えになる可能性があるでしょう。

なお、前回のコラムで、資金効率の改善が期待できる9銘柄としてご紹介したうち、2社(大日本印刷、東急)が自社株買いを発表しました。

「JPX日経インデックス400」の銘柄入れ替えが、6月最終営業日を選定基準日として行われます。同指数に採用されるために、自社株を取得する動きも期待できるかもしれません。


小野山 功
小野山功
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想