押し目買い意欲継続、1~3月期GDP注視

著者:冨田康夫
投稿:2015/05/15 20:00

来秋の株式市場見通し

 来週の東京株式市場は、20日に発表される1~3月期の国内総生産(GDP)速報の内容と、それを受けての日銀金融政策決定会合の動向に注目が集まる。GDPの内容が市場予想を大きく下回れば、現状の市場コンセンサスが「現状維持」となっている日銀の金融政策に、追加緩和への期待感が浮上してくる可能性もある。

 今週で決算発表がほぼ終了することから、手掛かり材料不足のなか、売り買いともに手控え姿勢が強まりそうだ。ただ、株価面で依然評価不足となっている好業績銘柄を改めて見直す流れは継続しそうだ。

 懸念要因とされている欧米長期金利の上昇に一服傾向が見られることから、押し目買い意欲は持続しそうだ。日経平均株価の想定レンジは1万9400~2万円とする。

15日の動意株

 星和電機<6748>=ストップ高。
2月25日につけた年初来高値416円を上回った。同社は14日取引終了後に、16年3月期通期の連結業績予想を公表。営業利益は12億円(前期比33.0%増)を見込み、年間配当は10円(前期は8円)と2円増配する方針を示した。売上高は230億円(同2.2%増)を予想。照明機器事業の売り上げ増などを見込むほか、コスト削減や生産性向上が利益を押し上げる。

 ジェイホールディングス<2721>=ストップ高。
同社は午前11時30分に、プロサッカークラブを中心とした地域活性化事業などを手掛けるサポーターズスタジアム(東京都新宿区)に出資すると発表。これが材料視されているようだ。出資は4回に分けて実施し、計2万5000株(議決権所有割合は20.0%)を取得する予定となっている。サポーターズスタジアムは、イオン<8267>子会社のフェリカポケットマーケティングと提携して「サッカー大好きWAON」の販売促進などを行う。

 カネミツ<7208>=大幅高。
同社は14日の取引終了後、16年3月期の連結業績予想を発表。売上高89億円(前期比11.9%増)、営業利益は8億円(同24.3%増)と2ケタ増収増益を見込んでおり、これを好感している。タイでの自動車生産台数が回復、中国でも、主納入先である日系メーカーの販売台数増加が予想されており、主力の自動車用プーリ(滑車)の拡大が期待される。

 小野産業<7858>=ストップ高。
同社は14日取引終了後に、15年3月期決算短信において「継続企業の前提に関する注記」の記載を解消すると発表。15年3月期通期の単独営業利益が2500万円の黒字(前の期実績は1億1000万円の赤字)に転換し、16年3月期の営業利益1億2500万円を見込んでいることなどが背景となっている。また、前期に5円の復配を決め、今期の年間配当を5円増配の10円とする計画を示していることも買い手掛かりとなっているようだ。

 日本製粉<2001>=大幅反発。
14日の取引終了後に自社株買いを発表しており、これを好感した買いが入っている。300万株(発行済み株式数の1.81%)、20億円を上限としており、取得期間は5月15日から9月30日まで。また同時に発表した決算では、16年3月期連結業績は、売上高3100億円(前期比3.8%増)、営業利益95億円(同13.0%増)、純利益67億円(同4.0%減)を見込んでいる。製粉事業で自社原料サイロの収容力増強に取り組むほか、食品事業では中食関連食品や冷凍食品で新商品の開発と投入を行い売上高・営業利益の拡大を図る方針。

 日東工業<6651>=急反発。
同社は14日取引終了後に、16年3月期通期の連結業績予想を公表。営業利益は150億円(前期比8.3%増)を見込み、年間配当は70円(前期は56円)と14円増配する方針を示した。売上高は1135億円(同3.3%増)を予想。電力自由化や東京五輪需要などを着実に捉え中核市場でのシェア拡大に努めるほか、エネルギーマネジメントシステム(EMS)など今後成長が見込まれる分野で積極的に市場深耕を図る。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想