外部環境警戒し続落、銀行株の動き注視

著者:冨田康夫
投稿:2015/05/14 19:57

明日の東京株式市場見通し

 15日の東京株式市場は、引き続き株価指数先物主導の展開となりそうだ。そのなかで、欧米の長期金利上昇など外部環境に対する警戒感に加え、週末特有のポジション調整の動きとあいまって、売りが先行し日経平均株価は続落となりそうだ。

 ただ、1万9500円を下回る水準では押し目買いも予想され、底堅い推移が見込まれる。また、きょうはメガバンクを中心に、ほぼ全面安商状で全体相場の足を引っ張った銀行株の動きも注視したい。

 14日の東京株式市場は、前日の欧米株式相場の下落や外国為替市場での円高進行などを受けて売りが先行。日経平均株価は徐々に下落幅を広げる展開となり、終値は前日比194円48銭安の1万9570円24銭と急反落した。

 前日までの4日続伸で、日経平均株価が472円高と短期間に急上昇していたこともあり、利益確定売りが出やすい地合いのなか、一時、1ドル=119円10銭台と円高に傾いたことも売りを誘った。また、株式市場の大引け後、14日夕刻には一時、1ドル=118円台後半へとさらに円高が進行する場面もあった。

14日の動意株

 第一三共<4568>=後場急伸。
午後1時に決算を発表し、16年3月期の増配や自社株取得枠の設定などを公表し好感された。15年3月期の連結営業利益は前の期比34.1%減の744億2200万円だったが、今3月期は前期比34.4%増の1000億円と急回復する見込み。今期配当も前期比10円増の年70円(うち記念配当10円)を計画している。また、2800万株(発行済み株式数の3.98%)、500億円を上限とする自己株取得枠の設定も発表。取得期間は15日から8月31日としている。

 東京製綱<5981>=後場一段高。
前日、取引時間中に発表した15年3月期の連結営業利益は前の期比16.5%増の39億4800万円、続く16年3月期は前期比6.4%増の42億円予想と連続増益を見込んでおり、株高を支援している。ワイヤーロープは橋梁向けで新興国のインフラ整備需要などが後押し。国内も安倍政権が掲げる国土強靭化をテーマに橋梁の補修需要などで今後需要を取り込んでいくことが想定される。

 アズワン<7476>=大幅高。
13日取引終了後に、今後の株主還元方針について配当政策はこれまでの配当性向30%から50%に変更すると発表。また、今後3カ年平均の総還元性向が70%になることをメドに株価水準に応じて機動的な自己株式取得を行うことも示しており、評価材料となっているようだ。同時に発表した16年3月期通期の連結業績予想は、売上高545億5000万円(前期比4.8%増)、営業利益60億2000万円(同0.6%増)を見込み、年間配当は103円(前期は71円)と32円増配する方針を表明。

 コニカミノルタ<4902>が急騰。
13日に発表された15年3月期の連結純利益は前の期比49.6%増の327億600万円と大幅増益だった。また今期配当は前期比10円増の年30円を予定。同時に上限1000万株(発行済み株式数の2.0%)、100億円を上限に自己株取得枠を設定したほか、900万株(同1.8%)の自己株消却も発表した。

 日本エマージェンシーアシスタンス<6063>がストップ高カイ気配。
13日の取引終了後に発表した第1四半期(1~3月)連結業績が、売上高7億5300万円(前年同期比20.2%増)、営業利益4800万円(前年同期400万円の赤字)、純利益3900万円(同400万円の赤字)となり、15年12月期通期の営業利益予想3000万円を上回ったことが好感されている。大型搬送案件などの好調で、主力の医療アシスタンス事業の売り上げが増加したことが業績を牽引した。

 銀座山形屋<8215>が一時ストップ高。
13日の取引終了後に発表した決算で、15年3月期連結業績が売上高48億1500万円(前の期比6.5%増)、営業利益1億6200万円(同2.0倍)、純利益1億9000万円(同44.0%増)となり、従来の5.3%最終減益予想からい一転して増益で着地したことに加えて、7期ぶりに3円で復配したことが好感されている。また、16年3月期は、売上高50億5000万円(前期比4.9%増)、営業利益2億600万円(同26.7%増)、純利益2億2000万円(同15.7%増)を見込み、年間配当は前期比2円増の5円を予定している。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想