ROE重視の需要が高まる今、狙うべき銘柄は?

著者:小野山功
投稿:2015/05/11 19:29

小野山功が見通す「今週の株価材料」~【株式投資の醍醐味】ROE重視の需要が高まる今、狙うべき銘柄は?

上場株式を多く保有する信託銀行や生保などプロの投資家が、投資先企業に対して企業価値向上を求める動きが広がっています。

投資家から預かった資金を、いかに効率よく運用しているかを示す指標として自己資本利益率(ROE)があります。日本企業は資金効率が欧米に比べ見劣りしているといわれており、ROEの向上が課題になっています。

*ROE(%)=(当期純利益÷自己資本)×100

■ROE重視の動きが顕著に

5月8日付の日本経済新聞では、りそな銀行(信託部門)が、3年平均で5%のROE基準を設定するなど、機関投資家のスタンスの変化が報じられています。

ROEが5%に満たない場合、取締役の選任に賛同しない等の対応が想定されるため、経営陣の意識が変わり、株主に目を向けた経営が期待されます。

また、そうしたプロの機関投資家だけではなく、個人投資家の間でも投資尺度として、ROEを重視する動きが広がっているようです。

野村アセットマネジメントが設定した「日本企業価値向上ファンド」は、3月25日に募集を開始しましたが、当初の見込みを上回る2000億円超の資金が集まったことから、運用に支障が出かねないとして、3週間余りで募集が打ち切られました。

日本企業価値向上ファンドは、企業価値の向上が期待される銘柄を選別して投資するアクティブ・ファンドです。

■ROEが5%未満の銘柄に注目を

時価総額が5000億円以上、自己資本比率=20%超の企業のうち、前期のROEが10%を超える銘柄は、5月8日現在70社あります。

(7203)トヨタ(2914)JT(9433)KDDI(6954)ファナックなど、いづれも超がつく優良企業です。ただ、これらの銘柄はすでに市場では相応の高い評価を受けており、さらにROEを向上させる伸びしろは高くありません。

一方、上の条件で、ROEが5%を下回る企業は24社ありました。(4324)電通や(7733)オリンパス(7912)大日本印刷などです。

このうちJPX日経400から漏れた企業が、9社あります。これらの企業は、投資家から資金効率の改善を求める圧力が高まりそうです。

コード番号順に、(1803)清水建設(6723)ルネサスエレクトロニクス(7733)オリンパス(7911)凸版印刷、(7912)大日本印刷(7974)任天堂(9005)東京急行電鉄、(9502)中部電力(9706)日本空港ビルデング

トヨタなど“優等生”に投資をするのが王道ですが、今後、経営効率が高まることを期待して、市場の評価を受けていない銘柄群に投資するのも、株式投資の醍醐味かもしれません。


小野山 功
小野山功
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想