主力大型株でも押し目買い乏しく極端な下げに

著者:冨田康夫
投稿:2015/05/05 11:17

<株式トピックス>

5月1日の東京株式市場は、前日の日経平均株価が538円安と今年最大の下落幅となったにもかかわらず、自律反発の動きは乏しく日経平均株価終値は、前日比11円62銭高の1万9531円63銭と小幅反発にとどまった。さらに、東証株価指数(TOPIX)は続落で、東証1部の値下がり銘柄数は1431に達し、値上がりは353(変わらずは98銘柄)にとどまっており、地合い好転の兆しは見えていない。

1日の東京株式市場で、売りの標的となってしまったのが富士通<6702>。予想外の16年3月期営業減益見通しを公表したことが嫌気され、一時前日比150円ストップ安の643.2円まで売り込まれる過酷な反応となった。
同社の15年3月期の連結営業利益は、1786億2800万円(前の期比21.3%増)と大幅増益となったものの、会社計画の1850億円に達しなかった。さらに、16年3月期の営業利益を1500億円(前期比16%減)と減益見通しを表明したが、市場予想では2000億円前後がコンセンサスとみられていた。

減益予想としたのは、ドル高・ユーロ安の進展に伴い米ドル建ての欧州ハードウェア事業の採算が急速に悪化したことに加え、ユーロに対する円高の影響や、約300億円のビジネスモデル変革費用が発生することが要因とされているが、特殊要因を除いても業績は低調とみられている。前提となる為替レートは、1ドル=110円、1ユーロ=125円を想定している。

市場関係者は「富士通が下落率20%近くのストップ安まで売られたのに対して、当然行き過ぎとの見方もある。ただ、標的にされて朝方から大量の売りを浴びると押し目買いの手が引っ込んでしまい、最近は大型株でも極端な下げに見舞われるケースが目立つ」としている。

4月30日に急落したリコー<7752>ホンダ<7267>の戻りが小幅にとどまっていることも、押し目買い低調の表れか。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想