決算前に買い手控え、円高進行へ警戒感継続

著者:冨田康夫
投稿:2015/04/16 20:01

明日の東京株式市場見通し

 17日の東京株式市場は、引き続き方向感に乏しい地合いが続くものと予想される。来週後半から本格化する15年3月期決算や16年3月期業績見通しの発表を目前にして買い手控え姿勢が強まり、日経平均株価は反落となりそうだ。

 16日の東京株式市場は、大引け間際に買い戻されて、日経平均株価は前日比16円1銭高の1万9885円77銭とプラス圏に浮上して終了したものの、取引の大半の時間帯はマイナス圏に沈んでの推移となっていた。1ドル=118円台後半へと円高・ドル安が進行するなかで、一時は前日比127円安の1万9742円まで売られる場面もあった。

 市場関係者からは「きょうの相場では、銀行株や原油価格の戻りを手掛かりに石油関連銘柄など出遅れセクターが相場を牽引したが、原油価格の上昇は他の日本企業にとってマイナス面も多く、全体への影響は判断の難しいところ」との見方も出ていた。

16日の動意株

  岩谷産業<8088>=後場一段高で年初来高値を更新。
午後2時に集計中の15年3月期連結業績について、売上高は従来予想の6920億円(前の期比1.7%減)を据え置きつつ、営業利益を同95億円から111億円(同40.1%減)へ、純利益を同43億円から61億円(同41.7%減)へ上方修正しており、これを好感した買いが入っている。主力商品のLPガス輸入価格は、下落傾向で推移していたが、2月以降下げ止まり傾向となり、相対的に高値の在庫を販売することで、減益要因が縮小するとしている。

 オプティム<3694>=急伸。
15日の取引終了後、シンガポールのモバイルセキュリティーサービス開発・販売会社の「TreeBox  Solutions」と業務提携すると発表した。TreeBox社の企業向けセキュアコミュニケーションソリューションである「OnTalk」とオプティムのモバイル管理サービス「Optimal Biz」を組み合わせることで、アジア圏で企業向けモバイルセキュリティーサービスの開発・販売を進める。

 アトラ<6029>=続急伸。
この日、広島県府中市に「ほねつぎ府中はりきゅう接骨院」を、広島県福山市に「ほねつぎ緑町はりきゅう接骨院」をそれぞれオープンさせたと発表しており、これを好感した買いが入っている。同社では、昨年12月の東証マザーズ上場を機に、新規出店を加速しており、17年末までに上場前の3倍以上の約170店舗に増やす方針。今後も新店に関する話題の増加が見込まれている。

 スリー・ディー・マトリックス<7777>=ストップ高。
同社は15日取引終了後に、自己組織化ペプチド技術の創傷治癒・皮膚再建材への適用に関する特許が欧州(EU圏)で成立したと発表。これが材料視されているようだ。この特許は、自己組織化ペプチドを創傷部に塗布することで、治癒後の瘢痕(正常の皮膚の状態より機能に劣った状態)を残さず、患部の美観が損なわれない有用性が示されている。

 HIOKI<6866>=急伸し3連騰。
15日の取引終了後に発表した第1四半期(1~3月)連結決算で、売上高49億400万円(前年同期比21.7%増)、営業利益8億6100万円(同61.2%増)、純利益6億1500万円(同71.9%増)と営業利益が6割強の増益となったことが好感されている。主要顧客の自動車や電子部品メーカーの設備投資拡大を受けて国内売上高が好調に推移したほか、アジアやヨーロッパでも代理店網の再編や販売子会社の販路拡大を進めた結果、売り上げを伸ばすことができたとしている。

 ハイブリッド・サービス<2743>=一時ストップ高。
15日の取引終了後、「LUXONIA(ルクソニア)」ブランドでLED照明の製造販売を手掛けるルクソニア(東京都港区)を5月6日付で簡易株式交換により完全子会社化すると発表しており、これを好感した買いが入っている。環境関連事業の業容拡大を図るのが狙いで、割り当て比率はルクソニア株式1株に対して、ハイブリッド株式64.95株を割当交付する。今回の完全子会社化により、太陽光発電システムやLED照明に関するシナジーなどが期待されているという。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想