2万円を前に足踏み、先物主導の上昇に警戒感

著者:冨田康夫
投稿:2015/04/09 20:21

明日の東京株式市場見通し

 10日の東京株式市場は、日経平均株価が3日続伸で急ピッチな上昇となっていることに加え、週末特有のポジション調整の動きも予想され、全体相場は反落基調となりそうだ。

 9日の東京株式市場は、前日の米株式の上昇や外国為替市場での円安・ドル高進行などを手掛かり材料に買いが先行。一時は前日比167円高の1万9957円まで買い進まれるなど、2万円の大台乗せにあと一歩に迫った。

 ところが、市場関係者からは「あすの株価指数オプションとミニ日経平均先物4月物の特別清算指数(SQ)算出をにらみ、株価指数先物への思惑的な買いが現物相場も押し上げたかたち」との声が出ていた。それを裏付けるように、東証1部の値上がり銘柄数は786と、値下がり銘柄数の938を大きく下回り、東証株価指数(TOPIX)は前日比5.72ポイント高の1594.19と上昇率は0.36%で、日経平均の上昇率0.75%の半分以下にとどまった。

 きょうまでの3日続伸で日経平均の上昇幅は合計539円に達しており、2万円回復を前にして足踏み状態となっても不思議ではない。

9日の動意株

 フロイント産業<6312>=新値追い。
同社は8日取引終了後に、16年2月期通期の連結業績予想を公表。営業利益は13億5000万円(前期比17.4%増)を見込むとしていることが買い安心感につながっているようだ。売上高は185億円(同6.2%増)を予想。機械部門および化成品部門の営業力強化に努めるほか、新製品の早期発売や主力製品の販売拡大、開発・販売のグローバル展開をより積極的に推進していく。

 インフォメーションクリエーティブ<4769>=ストップ高。
金融機関向けや自治体向けのシステム開発に強みを持つことから、マイナンバー制度関連と位置づけられており、マイナンバー制度へのシステム対応の遅れが問題視されている中で、今後、需要の増大が見込まれることから、注目度が高まっているようだ。3月にもマイナンバー制度関連として急騰した経緯があることから、今回も値動きの軽さに期待した短期資金が流入している。

 ラック<3857>=後場に入り大幅高。
午後1時ごろに、米ダイナトレース社と日本国内における総販売代理店契約を締結し、4月1日からダイナトレース製品の販売や製品サポートを開始したと発表しており、これを好感した買いが入っている。ダイナトレース社は、業務システムや提供サービスを支えるさまざまなシステムのアプリケーションを快適に使えるように総合的に運用管理する「アプリケーションパフォーマンス管理(APM=Application Performance Management)」の分野で、全世界で5800社以上の企業で使われている、世界トップシェアを誇るリーディングカンパニー。

 東京個別指導学院<4745>=ストップ高。
8日取引終了後に発表した2016年2月期の単独業績見通しは、売上高169億円(前期比7.5%増)、営業利益23億円(同33.4%増)と増収大幅増益を予想。配当性向50%以上を目指すとして、16年2月期の年間配当を普通配当16円に創立30周年記念配当8円を上乗せ、24円(前期8円)に引き上げると発表したことを受け買い気が強まった。16年2月期は首都圏中心に6教室を新規開校、既存教室の生徒数を増やすことで、売り上げを拡大し、収益力を強化する。

 マルカキカイ<7594>=8日続伸で連日の年初来高値更新。
この日は、いちよし経済研究所が投資判断「A」を継続しつつ、フェアバリューを2200円から3100円へ引き上げたことが観測されている。第1四半期(12~2月)は部品売上高の拡大などにより38%の大幅営業増益と順調な立ち上がりとなった。これを受けて同経研では、アフターサービスの取り組み強化によりさらなる営業利益率向上が可能と判断し、15年11月期の営業利益予想を26億円から28億円へ、16年11月期を同31億円から33億円へ上方修正している。

 ファーストブラザーズ<3454>=一時ストップ高。
同社は8日の取引修了後、今15年11月期の業績予想を修正。通期連結売上高で従来予想の36億700万円から41億1800万円(前期比61.6%減)へ、営業利益で20億4500万円から23億2100万円(同3.8%増)へ、純利益で10億6600万円から12億4900万円(同90.1%増)へ上方修正したことを材料視。投資運用事業で、第2四半期累計期間中の売却を想定していた複数の不動産投資案件について、実際の売却益が想定を上回っている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想