米雇用統計前に手控え、25日線回復は評価材料

著者:冨田康夫
投稿:2015/04/02 21:58

明日の東京株式市場見通し

 3日の東京株式市場は、週末に伴うポジション調整の動きに加えて、米3月の雇用統計の発表を目前に控えていることもあり、利益確定の売りが先行しそうだ。ただ、1日に割り込んだ25日移動平均線(1万9179円=2日)を1日で回復した点は評価できそうだ。

 2日の東京株式市場は買い優勢で始まり、取引時間中は一段の上値をみせた。一時、日経平均株価は前日比400円近い上昇をみせたものの、大引けにかけ伸び悩み、終値は前日比277円95銭高の1万9312円79銭と大幅反発した。

 1日に、日本郵政が発表した中期経営計画で、傘下のゆうちょ銀行が今後、外国債券や株式などリスク資産への投資を積み増す方針を示したことが買い手掛かり材料となり、株価指数先物市場で買い戻しを誘発し上昇が加速した。

 市場関係者からは「手掛かり材料が少ないなかで、最近は株価指数先物のボラティリティ(変動性)の大きさ自体が材料視される相場が続いている。その意味で、売られても買われても、地に足のついていない地合いとなっている」との見方が出ていた。

2日の動意株

 DMG森精機<6141>=急反発。
日本工作機械工業会によれば15年の工作機械の受注額は1兆5500億円とリーマン・ショック前の過去最高額に迫る水準が見込まれており、工作機械メーカーには追い風が強い。そのなか、ドイツの同業態企業(旧ギルデマイスター)の株式を市場外で買い付けることで合意し、直近、3月31日に発表した株式保有比率が50.8%と、当初目標であった過半を占めることに成功したこともあって改めて買いを誘っている。これにより売上高規模で世界最大級の工作機械メーカーとなる。

 北陸電気工業<6989>=反発。
同社はこの日午後2時に、15年3月期の連結業績予想の修正を発表。売上高を従来予想の430億円から480億円(前の期比12.1%増)へ、営業利益を12億円から8億4000万円(同3倍)へ、純利益を8億円から12億円(同7倍)へ修正した。市場価格の下落を主因に、営業利益は下方修正となるが、情報通信機器向けが好調に推移。加えて円安がさらに進行し、為替差益約11億円を計上することなどから、売上高や純利益は上方修正となる。

 4℃ホールディングス<8008>=続伸。
5日移動平均線を絡めた大勢上昇波を継続している。インバウンド消費の恩恵を取り込み、消費増税の影響をこなして業績好調、15年2月期は14年2月期に続き2ケタ前後の増益を確保したもよう。銀素材を使用しながらも若年層をターゲットに低価格帯の宝飾品を展開し、収益に反映させている。

 大泉製作所<6618>=大幅続伸。
同社は1日取引終了後に、盛岡市産学官連携研究センター(コラボMIU)内に研究拠点(エレメント部品事業部技術開発部門分室)を開設したと発表。今後の研究成果などへの期待感が高まるかたちとなっているようだ。コラボMIUは、2007年8月に盛岡市が岩手大学の知的財産と産学官連携ノウハウを活用し、大学の研究成果の企業への技術移転、新規創業支援および研究開発型企業の誘致を促進するため同大学工学部内に建設された。

 ペプチドリーム<4587>=急反発。
同社は1日取引終了後に、独自の創薬開発プラットフォームシステム「PDPS」をノバルティス社に非独占的ライセンス供与すると発表。業績への寄与などが期待されているようだ。同社はライセンス契約に伴い、契約一時金を段階的に分けて受け取るほか、その後の技術導入開発の進捗に応じてあらかじめ設定しているマイルストーンの達成によりマイルストーンフィーを受け取る。また、PDPSによる創製された各化合物が市販された場合、当該医薬品の売上高に応じたロイヤルティーを受け取ることになる。

 アニコム ホールディングス<8715>=4日続伸。
ペットを家族の一員として考える「コンパニオンアニマル化」が巷間浸透するなか、ペット保険市場の急成長が同社の収益の伸びに反映されている。15年3月期は前期比68%増の12億3200万円を会社側では予想しているが上振れて着地する可能性も。また、直近IPO銘柄でイヌ・ネコ向け高度医療を専門で行う日本動物高度医療センター<6039>が公開価格1130円に対し1630円で初値を形成した後、セカンダリーでも物色人気となり、時価は3000円を上回る水準まで上値を伸ばしており、これもコンパニオンアニマル化を象徴する動きで、アニコムHDの株価にも大きく影響を与えている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想