物色意欲強く上値指向、買わざるリスク再浮上

著者:冨田康夫
投稿:2015/03/24 20:04

明日の東京株式市場見通し

 25日の東京株式市場は切り返し、上値追い再開となりそうだ。24日は欧米株安と目先の円高傾向が利益確定売りを誘導する展開だったが、途中プラス圏に切り返すなど、買い気の強さを改めて認識させる局面もあった。

 今の株式市場は世界的な過剰流動性が基盤となっており、下げても容易に崩れない大地のような安定感を投資家も感じとっているはず。それが買わざるリスクの本質である。ひと頃なら手掛かり材料不足が指摘される場面だが、現状はまさにハヤリの「自動運転相場」で、黙って保有していれば自然に日経平均2万円を通過点とする上昇に乗れるようなイメージがある。

 目先的にも、国内年金系資金と海外投資家を買い主体の両輪として、26日の権利取り最終日に加え、3月期末の評価を意識したドレッシング買いの思惑が、駆け込み的な株高要因として作用する可能性がある。テクニカル的な過熱感は払拭されないままだが、騰落レシオ125%台、25日移動平均線との上方カイ離4%強は、上昇トレンド過程では十分に許容されるレベルだ。

24日の動意株

 ACCESS<4813>=一時ストップ高。
同社はこの日、あらゆる機器にネットワーク対応機能および操作パネル機能を容易に実装できる、組み込み向けUⅠ(User Interface)エンジン「paneE(パネイー)」を開発し、機器メーカーに向けて提供を開始することを発表した。「パネイー」はアンドロイドやLinuxといったOSが搭載できないメモリーが限られた機器にも、優れたネットワーク対応機能とスマートフォンのような直観的な操作を可能とするタッチパネル機能を容易に低コストで実装できる、UⅠデザインに特化した組み込み向けソフトウェア。

 藤田観光<9722>=急動意。
椿山荘や小涌園、ワシントンホテルを経営するほか、不動産事業にも展開し、含み資産関連の切り口でデフレ脱却をテーマとする上昇相場で存在感が高まっている。訪日観光客の増加に伴うインバウンドの追い風も強力。また、桜の季節も同社のテリトリーであり、椿山荘では2万坪に広がる起伏豊かな庭園を舞台に随所に桜の花弁が咲き誇る。

 MUTOHホールディングス<7999>=後場に入り上げ幅拡大。
同社は午後1時30分に、従来5円を予定していた15年3月期の期末一括配当について、2円増額して7円にすると発表しており、これを好感した買いが入った。なお、前期実績は5円だった。

 古河機械金属<5715>=急伸。
同社は23日の取引終了後、15年3月期の連結業績見通しについて、売上高は従来予想の1705億円(前期比4.6%増)、営業利益は同85億円(同23.4%増)を据え置きつつ、純利益を同45億円から100億円(前期比2.5倍)へ大幅上方修正したことを好感した買いが入っている。豪連結子会社のポート・ケンブラ・カパー(PKC)社の事業撤退の完了に伴い、これまでPKC社で計上していた環境浄化費用、解体撤去費用のうち一部が不要となることから、特別利益約6億円を計上するほか、PKC社事業の撤退完了で今後、PKC社では収入を得る見込みがなくなり、債務の弁済が不可能となったことから債権放棄を実行し、これに伴い税金費用が約80億円減少する見込みであることなどが要因としている。

 魚喜<2683>=一時ストップ高。
同社はきょう、全国農業協同組合連合会(JA全農)と業務提携すると発表。これが材料視されているようだ。 同社は昨年、奈良県農業協同組合が展開しているファーマーズマーケット「まほろばキッチン」への出店、JA全農グループ会社のAコープ近畿の2店舗に出店。これを機に話し合いが行われ、このほど双方のもつ経営資源やノウハウを相互活用することなどで合意した。

 ニュートン・フィナンシャル・コンサルティング<7169>=後場に入って上げ幅を拡大。
この日昼休み時間中、15年3月期末に20円配当を実施すると発表した。前年の新規公開時から将来の成長に向けた財務基盤の強化と内部留保を優先してきたが、今後の成長に向けた投資と業績に応じた配当を実施する体制が整いつつあることから初配当に踏み切る。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想