ドル円の「押し目買い」とユーロドルの「戻り売り」がワークする19日・・・?

著者:津田隆光
投稿:2015/03/19 18:08

イエレンFRB議長「ドル高懸念」は勇み足的解釈か

19日未明に発表された米FOMC声明文とその後のイエレンFRB議長の会見内容を受け、事実上の利上げ開始後ズレ(いわゆる“ビハインド・ザ・カーブ”)観測と金利引き上げペースの緩慢見通しというフォワードガイダンスもあり、一時株高・ドル安の流れに。

声明文では、事前予想通り「辛抱強く(be patient)」が削除されたものの、「(声明から)忍耐強くの文言を削除したからといって、我々が忍耐強くならないという訳ではない」とのイエレンFRB議長の“禅問答”のようなコメントもあり、女史お得意の“市場との対話”と言う名の玉虫色表現に終始した格好。

その“ハト派”的発言がNY時間の株高・ドル安の誘発材料となりましたが、その一方で、昨今のドル高懸念を示したのではないかとの見方も一部材料視された側面があるのも事実。

ただし、イエレンFRB議長のコメントを聞く限り、昨今のドル高基調は彼我比較(=日米欧金融政策スタンス)の上でのあくまで副次的要因としての理解を示しており、ドル高懸念というのはやや勇み足的解釈と考えます。

当面はミクロ材料に都度反応する相場展開となりそうですが、マクロの観点では「為替レートは二国間の通貨総量の比で決まる」という、オーソドックスかつシンプルなマネタリーアプローチから勘案すると、ドル/円の押し目買いスタンスとユーロ/ドルの戻り売りスタンスが再度確認できたとものと考えます。

ユーロドル、“パリティ割れ”は時間の問題

ドル円相場の一時120円台割れとともに、ユーロドル相場も一時1.1000ドル台回復が見られましたが、繰り返しながら「為替レートは二国間の通貨総量の比で決まる」というルールに従えば、早晩金融引き締め(=利上げ)が行われる予定の米国と、およそ2ヵ月前に量的金融緩和(QE)を行うことを決定した欧州の金融政策上の方向性の相違は明白。
特にユーロドルの下落基調は現時点では不変と見ており、ユーロドル・週足・ボリンジャーバンドを見てみても、ローソク足が-2σ~-1σラインの間で推移する【下降バンドウォーク】が継続している状況が確認できます。

早ければイースター(復活祭)休暇明けの4月上旬にもパリティ(=等価)、つまり1ドル=1ユーロ割れをするのでは?との見方もありますが、テクニカル面のみならず金融政策面においても<パリティ割れ>はもはや「なる・ならない」ではなく、「いつ」実現するかが俎上に。

日足レベルでも、2/3高値の1.1532ドルと3/13安値の1.0457ドルを結んだフィボナッチ・リトレースメントの50%戻しが1.0995ドルということもあり、昨日NY時間に付けた1.1000ドルレベルが当面の戻り高値と考えますが・・・。どうなのでしょうか?
津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想