【日経1万9000円台に】ラオックスはじめ相次ぐ「公募増資」。逆に【買い】要因となることも?- 小野山功が見通す「今週の株価材料」

著者:小野山功
投稿:2015/03/16 19:22

小野山功が見通す「今週の株価材料」~ラオックスはじめ相次ぐ「公募増資」。逆に【買い要因】となることも?~

公募増資の発表が相次いでいます。シリコンウエハー大手の(3436)SUMCOが、今月3日に公募増資で最大600億円を調達すると発表。発表翌日に株価は一時14%安と急落しました。

また、9日には東証2部上場で、インバウンド消費関連として人気化した(8202)ラオックスが、発行済み株式の3割にあたる大規模な増資を発表し、株価は一時20%安と急落した経緯があります。

公募増資を行うと発行済み株式数が増加するため、既存の株主にとっては、一株価値の希薄化につながります。

そのため、「公募増資=売り」というイメージを持ちがちですが、調達資金の使途によっては増資が好感されるケースもあります。


■「将来の収益向上」への期待ができる公募増資ならば≪ストップ高≫も?

買っても良い「増資」とはどういった場合でしょうか?

前述のとおり、増資は短期的には一株価値の希薄化になりますが、一方で調達した資金を成長のための投資に充て、将来の収益向上が期待できる場合は、買っても良いケースに該当します。

わかりやすいのは、昨年2月の(2121)ミクシィの例です。同社は昨年2月28日に新株の発行で63億円を調達すると発表しました。取引時間中の発表でしたが、株価は下げるどころか、なんとストップ高まで買われたのです。

スマートフォン向けゲーム「モンスターストライク」に係る広告宣伝費に使うとしたことで、将来の業績拡大を期待した買いを集めました。


■調達資金の「規模」と「用途」を確認し、買うべきか否かの判断を。

成長投資のための増資はすぐに評価されない場合でも、時間が経てばいづれ好感されるケースが多いようです。ただ、調達資金の使途が借金の返済だと買ってはいけない増資にあたります。

3日の日本経済新聞朝刊で、(6753)シャープが有利子負債の削減のために、負債を株式に転換するデット・エクイティ・スワップを検討していると報じられました。

借金を減らすために株式を発行する場合、一株利益の向上は期待できないため、投資家から評価されるのは難しいでしょう。

調達資金の規模は当然ながら、調達した資金が何に使われるか、使途について注意深く確認する必要がありそうです。


小野山 功
小野山功
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想