アジア新興国でブーム、「習い事」の海外展開に注目

著者:冨田康夫
投稿:2015/02/25 18:05

子どもの習い事の世帯割合80~90%

 アジア新興国で「習い事」ブームが起こっている。経済発展に伴う生活水準の向上で、富裕層の親たちが子どもに習わせてきた音楽教室や学習塾が中間所得層に広がってきたことが背景にある。富裕層の多い大都市で広がったブームは、地方にも広がっており、さらなる拡大が見込まれている。

 日本総合研究所が2012年に行った「アジア主要都市コンシューマインサイト比較調査」によると、アジア主要7都市では、子どもが習い事をする世帯の割合は80~90%で、東京(80%強)と同等かそれ以上だという。なかでも上海、ムンバイ、ジャカルタ、ホーチミンは東京を10ポイント以上上回っており、習い事のニーズの大きさがうかがえる。特に近年人気なのが英語教育で、「上海では30%以上が英会話教室に通っている」(上海在住の業界関係者)という。また、スポーツや楽器も人気で、バランスのとれた教育を子ども達に受けさせたいという希望も強いようだ。

 日本では、1970年代から80年代の「1億総中流」時代にピアノ教室や塾通いが流行した。今、アジア新興国でも同様の動きが始まっており、教室展開のノウハウを多く有する日本企業にとってもビジネスチャンスが大きい。

◆「習い事」を海外展開する主な企業

ルネサンス<2378>  13年から現地企業との合弁によりベトナムで水泳教室を開始。今年は自社でプール設立も
早稲アカ<4718>   現地学習塾と提携し海外展開。1995年からはシンガポールで学習塾を運営
レアジョブ<6096>  インターネットを活用した英会話学習サービス展開。アジア展開も検討
ヤマハ<7951>    シンガポールを皮切りに1960年代後半から東南アジアで音楽教室を展開
河合楽器<7952>   13年からの中期経営計画で成長戦略として音楽教室のアジア展開本格化
学研HD<9470>   インドやタイで科学実験教室を展開。ベトナム、ミャンマー展開も計画
ベネッセHD<9783> 89年の台湾進出を皮切りに台湾・中国で通信教育を展開。ジャカルタでも新教室を開設予定
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想